クレアのブックナビ ナビゲーター岸本裕紀子 「誰のせいで改革を失うのか」江田憲司著
あなたはこれからも日本に住み続ける予定ですか? 答えが「イエス」なら、この本をおすすめします。快適な生活を 手に入れるために必要な基礎体力をまずはつけておきましょう。
「行革の思い熱く語る」 通産官僚から橋本龍太郎元首相の首席秘書官に抜擢され、同元首相の懐刀として活躍しながら 、橋本退陣とともに霞ヶ関を離れて充電を図っていた江田憲司氏が初の著書
「橋龍の元秘書官が問う改革」 なかなか衝撃的なタイトルがついている。内容もまた衝撃的だ。彼が定義する行革とは、日本という国自身の基盤であり、骨格である。行革とは、日本を変えることだった。
「ミニ橋龍、改革への思いを抱え、どんな次の一歩を踏み出すのだろうか」 「首相官邸に橋本龍太郎が2人いる」とささやかれ、 「身長180センチのミニ橋龍」と呼ばれた江田憲司氏。政務秘書官は首相の親戚縁か古参秘書が起用されることが多く、通産官僚から就任したケースは異例。橋本内閣退陣と同時に公務員を辞して単身日本を脱出。今年9月までハワイで読書と運動に励むかたわら、秘書官時代の記録を整理して書き下ろした。
「橋本前総理秘書官が書いた行革戦争」 橋本前政権最大の収穫と言えば、2001年から始まる行政改革だろう。その橋本行革を陰で支えた元総理秘書官の江田憲司氏が、行革の理念と経過を綴った著書を上梓した。1年半の沈黙を破り、いま初めて明かされる行革戦争の真実とは。
「この国の病巣を指摘し、改革案を次々に示していく」 著者は国家公務員試験をトップの成績で合格、通産省に入省し、39歳の若さで橋本龍太郎首相の首席秘書官に抜擢される。順風満帆、「官邸には二人の総理がいる」 とも称された。98年7月、参議院選挙に大敗、橋本首相は退陣するが、著者は霞ヶ関に帰らなかった。日本はこのままでいいのか。南の島にひとり旅立ち、この本を書いたという。橋本政権での経験をもとに、著者はこの国の病巣を指摘し、改革案を次々に示していく。
「元首相秘書官が書く改革の挫折からつかんだこと」 早速一読。面白い。本書を読めば、著者が秘書官としてというより、橋本前総理と一心同体、わがこととして 橋本内閣が打ち出した6大改革の実現に取り組んだことがわかる。だから、本書は、秘書官として知り得たことを書いたのではなく、自分のこととして取り組み、 十分に出来なかった悔しさで書いたのだ。 著者は官邸・内閣機能の強化や霞ヶ関改革の具体的な対策も提示していて、これもおおむね首肯できる。 「世は正論の時代である」と言っているようにいいセンスをしているので期待してみたくなる。
竹村 健一
たまたま、昨日こういう本がでた。これは橋本政権時代の政務秘書官が書いた物である。 政務秘書官とは,他の秘書官とは少し違う。5人秘書官がいるが、政務秘書官はだいたい身内の人がなったり、いわゆるアメリカ的なポリティカル・アポインティであり、他の秘書官は、大蔵省や通産省から出ている。
この人が思いきった事を書いている。橋本総理時代の改革を、そして『官僚が悪い、政治家も悪いがそれだけでなく、国民にも欠点がある』と。三者に言っているのは珍しい。 今日の話でたりない人は、この本を読んであげて下さい。私は、この人に会った事がないが。 非常に役に立つ本でした。
福武 總一郎
「今回の行政改革の要諦は、肥大化・硬直化し、制度疲労のおびただしい戦後型行政システムを根本的に改め、自由かつ公正な社会を形成し、そのための重要な国家機能を有効かつ適切に遂行するにふさわしい、簡素にして効率的かつ透明な政府を実現することにある。われわれの取り組むべき行政改革は、もはや局部的改革にとどまりえず、国民になお色濃く残る統治客体意識に伴う行政への過度の依存体質に決別し、 自律的個人を基礎とし、国民が統治の主体として自ら責任を負う国柄へと転換することに結び付くものでなければならない。
私は、以上の、橋本行革の前文をいつもポケットに入れ、折あるたびに読み返し、また人に紹介している。私の問題意識にぴったりであるし、この認識から逃げていたのでは、いつまでたってもこの国はよくならないと思うからである。しかし、こうした本質をついた改革は、周囲との軋轢を生み、推進者は傷つくことが多い。
「今回、江田憲司さんが上梓された『誰のせいで改革を失うのか』を読み、あらためて、小さな政府であればよいという、薄っぺらな行政改革ではなく、国民も変わり、 政府もその規模の縮小にとどまらず、仕事の内容も変えていくという、本格的な行政改革推進の重要性を、感ぜざるを得なかった。よくぞここまで書いて下さったと思う。しかも、当時の実質的な推進者であった江田憲司さんの立場を思うとあり得ないことだが、感情的にならず冷静で客観的な筆致である。私は、霞が関の全ての官僚にこの本を購読してもらいたいと願う。政治家にも、マスコミにも、そして一般国民にも。
寺島 実郎 三井物産 戦略研究所 所長
出版おめでとうございます。「正論の時代」を志す貴兄の思いもかけぬほどの「権力」に対する恬淡とした姿勢に敬意を表します。思考を収斂させ作品にする作業も容易ではありませんが、貴兄がこの作品を基盤として、いかなる「場」において行動し変革に関わるのか、注目するとともに、何らかの形で力を合せることのできる機会を期待しています。なにしろ、この国の政治を笑うことは、自らの未来を笑うことになるのですから。私は、小林秀雄の「人間はその人の性格にふさわしい出来事にしか出会わない」という言葉を気に入っています。「自己充足的予言」ということです。 何をなすべきかについての確信のようなものを固めた人間が世の中を変えていくのだと思います。再見。