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「誰のせいで改革を失うのか」

誰のせいで改革を失うのか
新潮社 ; ISBN: 410433801X ; (1999/12/01)

官邸発国家改造…総理秘書官の国造り論

 この本は、ハワイで書いた。いわば、私の「第一の人生」の卒業論文である。昨年7月、参院選敗北の責任をとって橋本内閣が退陣すると同時に、私も内閣に辞表を提出し、「素浪人」としてハワイ・マウイ島に渡った。その一年間に書きためたものの集大成である。
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 私は、20年弱、霞ヶ関で「官僚」という人生を送り、特に、最後の4年間あまりは、橋本龍太郎通産大臣、総理大臣の「秘書官」という立場から、国政の動き、政治家や官僚のものの考え方というものをつぶさに観察、経験することができた。その立場は、純粋の官僚でもなく、また政治家でもない、そういう中間に位置する立場から、両者をある程度客観的にみることができたと思っている。この本は、これらの経験を基に書かれた「実践的政策提言集」であり、「辛口のマスコミ論、国民論」でもある。そういう意味では、他の学者や評論家の皆さんの著作とは、一口も二口も味わいが違うと考えている。
事象的には、96年秋に始まり、最近、その姿を明らかにしてきた、「中央省庁の再編」、すなわち「霞ヶ関半減構想」を題材にしている。しかし、私は、この本で、その戦後50年の澱がたまった霞が関の改革だけではなく、そうだからこそ、その背後にある日本という国の姿形、社会経済システム、行動様式、感情、それら全てに係わる、この国の実相と今後のあるべき姿をあぶり出したかった。それが成功しているかはともかく、この本が、我が国の「21世紀の骨格」というものに迫れていれば幸いである。

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私は、日本国民は自らの進路につき「選択」をすべきだと思っている。簡単に言えば、今後、東アジアの片隅で小市民的な幸せを求めてひっそりと暮らしていけばいいのか、それとも、再び、それを否とし、新世紀の骨格を毅然として示し、憲法前文でうたわれているような「国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う」のか、そういう選択を国民自身がすべきだと思っている。そして、我が国が民主主義国家である以上、それは、投票行動とかNPO(非営利団体)活動とか、そういう国民の直接の行動を通じて、政権や政策、政治家などを選別することによって実現されるのだ。
そういう覚悟が、今の日本国民にあるのだろうか? 私には、今の日本の現状をみると、「いいじゃないの幸せならば」という風潮が蔓延しているように思えてしかたない。この「閉塞感」を打破し、いち早く、日本という国が、新しい世紀に向かって大きく舵を切ることを切に願っている。
「中央省庁の再編」自身は、2001年1月から始動する。現在ある22省庁が「1府12省」に再編統合されるとともに、首相官邸(内閣)が抜本的に拡充強化され、総理や政治のリーダーシップが確立される。これまでの官僚主導、霞ヶ関主導の国家体制が、政治主導という、民主主義国家では、より正常な姿に戻されることになる。

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この新しい霞ヶ関体制は、少なくとも50年、いや100年続くかもしれない。その将来の人たちが、「一体国土交通省のような巨大官庁ができたのは何故なのか?」、「あの強大だった大蔵省の改革がどうしてここまで進んだのか?」「新しい官邸の姿はどのような考えで生み出されたのか?」等々の疑問を覚えたとき、例えば、国会図書館に行って調べたら、こういう本が昔あったと手にとってもらえればいいと思った。

残念ながら、この「霞が関改革」は今のところ大変低い評価でしかない。その捉え方も、大蔵官僚のスキャンダル的な側面やマスコミによる世論迎合的な皮相的説明にとどまっている。政権内で、その生い立ちから、行政改革会議での審議、その後の政治的プロセスでの決着まで、その過程を、表裏つぶさに見、参加してきた私としては、こういう大義名分の下に、こういうまじめな議論を経て、こういう結論になったということを書き残しておく必要がある、それは私の責務でもあるのではないか、と思った。そういう意味で、この本の第三章(霞ヶ関バージョンアップ計画)は、歴史的資料としての色彩も付与できたと考えている。

まだまだ書けないことも多い。その意味では内幕手記的な本ではない。しかし、極力わかりやすく、将来の国の選択を考える上での材料は提供し得たのではないかと考えている。国を想い、将来国を担いたいと考えている若者たちや、現に政権を担い、日々政策を立案している政治家や官僚の方々、そして、できれば、広く国民「一般」の方々に読んでいただければ、著者として、この上ない幸せだと思う。

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 第一章 霞ヶ関へのレクイエム

  官僚は何処へ逝くのか?
  不祥事は霞ヶ関の構造的問題
  ガールフレンドを相手に大言壮語
  志なき省益意識
  政治家と霞ヶ関の「間隙」
  「政治の時代」の幕開け

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 第二章 21世紀 日本の骨格

 第一節「選択と責任」の時代の到来
  新世紀「国家像とは?」国民の発想転換

 第二節 お役所造り事始め
  変革への胎動
  中央省庁再編のきっかけ
  国家百年の大計

 第三節 司令塔を創設せよ--官邸・内閣による政治主導体制の強化
  官邸のお寒い実態
  コピー、ファクスまで秘書官の仕事
  内閣五室は解体的出直ししかない
  総理秘書官とは何か?
  官邸・内閣機能強化の三つのポイント
  副大臣・政務官制の導入
  政府委員制度の廃止
  総理演説をガラリと変える三つの方法

 第四節 政治外交「虚構」からの脱却へ--戦略的思考外交への飛翔
  外務省は政治外交に特化せよ
  報道されざる橋本外交の真骨頂
  国連常任理事国入りが不可欠な理由
  外交の迫力はサッチャーを見よ
  顔の見える国際貢献とは?
  日本の資金協力が尊敬されないわけ
  外務省「経済協力庁」構想
  千載一隅のチャンスを逃したEAEC構想への対応
  沖縄問題の影にひそむ官僚の体質
  大使の半分は外務官僚以外から登用すべし
  国際機関、国際会議を日本へ誘致せよ
  在外情報酬集体制の強化
  外務省の「国内音痴」と「排他主義」

 第五節 大蔵改革その本当のねらいは--財政至上主義の是正
  霞ヶ関は隅々まで大蔵支配
  財政至上主義の悪弊
  財政と金融の分離--答えは簡単
  完全分離の論理と利点
  金融現場は分離を肯定
  財金分離は人材の分離あってこそ
  国税庁分離はすぐにでも可能
  内閣は予算編成権を握るべきか?
  新しい皮袋にはふさわしい名称を

 第六節 もう古い産業政策は要らない--伸びやかな市場経済機能の発揮
  「通産省MITI」とは何だったか?
  行政指導・ミクロ政策の典型
  ミマクロ経済政策の必要性
  経済官庁は何をなすべきか?

 第七節 郵政改革が目指したもの--国営資金環流の市場化
  郵政三事業の憂鬱
  郵政三事業改革の核心
  「郵政公社」の仕掛け

 第八節 国土を大きくデザインする--整合性ある公共事業の体系的整備
  公共事業一元化と地方分権
  新社会資本整備--景気浮揚策の決め手

 第九節 科学技術が国を創造する--科学技術による夢立国
  日本にCOEはあるか?
  科学と技術の接近共鳴
  頭脳流出を防ぐために
  日本の基礎研究を縛るもの
  産官学の人材交流を阻むもの
  大学の講座制の弊害 科学技術省の設置を!

 第十節 地球と人の安心・安全を求めて--環境・生活安全保障の確立

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 第三章 霞ヶ関バージョンアップ計画--行革再考試論

 第一節 統治機構の新デザイン
  改造のための四つの基本的視点
  プログラム1. 内角府
  プログラム2. 財政省
  プログラム3. 経済省
  プログラム4. 国土省
  プログラム5. 科学技術省
  プログラム6. 環境省
  プログラム7. 農林水産省…建設中
  プログラム8. 国民生活省
  プログラム9. 防衛省
  プログラム10. 教育文化省

  名称はいかに決められたか?
  お粗末に終わった地方ブロック機関の統合
  独立行政法人と特殊法人の整理
  公益法人という甘い汁
  地方分権はバラ色か?

 第二節 官僚を覚醒させる十カ条
  1.まず生活パターンを変えよ
   2.総合職国家公務員の一括採用を
   3.技官制度の廃止と専門職への移管
   4.特定官庁植民地化を禁止せよ
   5.霞ヶ関を国会業務から解放せよ
   6.「忙しぶりっこ」をやめよ
   7.各省折衝は内閣主導で即断即決
   8.前時代的な予算編成過程を廃止せよ
   9.若手官僚は一兵卒扱いせよ
   10.官僚の処遇を改善せよ

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 第四章 誰のせいで改革を失うことになるのか?

 第一節 霞ヶ関改革は日本改革
  改革は何処へ
  橋本内閣「六大改革」の意味するもの

 第二節 この国の在り様
  一億総無責任社会
  日本の地球史的位置
  「右向け右」体質とマスコミ
  レッテル貼りと思考停止の悪習

 第三節 マスコミは日本を滅ぼすか?
  最後の聖域
  誰もチェックできない第一の権力
  記者クラブ--最後の護送船団
  護送船団方式の屋台骨
  政治記者のモラルハザード 政治ジャーナリズムの偏向
  画一報道の弊
  それでも変わろうとしないのか?

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