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2008/07/07
 
「テロ支援国家指定解除へ・・・問題はこれからだ!」

 米国による、北朝鮮のテロ支援国家指定解除は、確かに拉致問題解決のための梃子を一つ失ったという意味では、日本にとっては痛手だ。ただ、悲観してばかりはいられない。今度こそ、日本外交の真価が問われる番だからだ。

 米国が言うように、指定が解除されても、米国内での北朝鮮への制裁はまだ数多残っている。人権や核実験、大量破壊兵器関係で、今現在、40〜60の制裁措置が北朝鮮に課せられているという。30億円以上ともいわれる在米北朝鮮資産の凍結等は最たるものだ。

 よく指定解除で国際機関からの北朝鮮への融資が可能になるとも言う。世界銀行やアジア開発銀行の融資が念頭に置かれている。確かに、実際に、莫大な融資資金が北朝鮮に流入すれば、日本のささやかな制裁など効果はないから万事休すだろう。

 しかし考えてもみてほしい。アジア開発銀行の総裁は日本人だし、最大の出資国は日本である。具体的な融資の決定を行う理事会にも、もちろんポストがある。世界銀行も同様に、日本は米国に次ぎ第二の出資国で、理事ポストもおさえている。米国にしろ、指定解除で融資に「反対する法的義務」はなくなるものの、実際の融資に賛成か反対かはフリーハンドを握ったということでしかない。

 したがって、北朝鮮が拉致問題で誠意を見せなければ、日本が本気で融資をストップさせようと思えばできるのだ。いや、しなければならない。まさに日本外交の真価が問われるのである。

 ただ、懸念材料はある。またまた役所の縦割り行政の弊害で、この国際金融の世界は財務省専属で、外務省等他の官庁はアンタッチャブルな領域なのだ。現に、世銀やアジア開銀等の日本人ポストは財務官僚の天下り先となっており、だからこそ、日頃、ろくな仕事をしていないものだから、日本の影響力は出資比率に比し極めて弱体化しているのだ。そこをどう乗り越えるか。

 しかし、そんなことを言っていてもはじまらない。今後は、福田首相が陣頭指揮をとって、拉致問題の進展具合に応じて、アクセルとブレーキを絶妙に踏んでいかなければならないのだ。まさに「対話と圧力」である。そうした外交スキルが福田首相にあるのだろうか。

 米国内での制裁措置、さらには国際融資、六者協議、非核化等あらゆる面で、今後とも米国との連携をとっていかなければならないことは自明のことだ。今回の指定解除で米国のことを口汚く批判する人たちがいるが、まったく四囲の状況を理解していない。

 むしろ心配なのは、仏独露である。中国市場への各国の攻勢をみれば、今後、米国が指定解除したことを良いことに、北朝鮮の権益や市場、資源等を狙って、早速、経済支援等の行動に出ることも考えられる。特に仏には、そうした兆候が既に現れている。時あたかもサミットが開催されている。日本外交は、このような動きにもしっかりとクギを刺していかなければならない。

 「拉致問題を決して忘れない」。ブッシュ大統領やライス国務長官から何度も発せられたこの言葉は、指定解除で日本に言質をとられたくないホワイトハウスと国務省で念入りにすり合わせられた言葉だった。要は、米国は、米国益に従って、既定路線どおり指定解除は行うというメッセージだったのだが、当然、半年以上前からその意味を知っていた福田首相や外務省が、今後の拉致問題解決に向けて無策とは考えたくはないのだが・・・。

 
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