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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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「総理秘書官」とは?・・・「奥の院」/上司は総理だけ

2018年4月15日  tag:

 加計問題で、にわかに「#総理秘書官」というポストが脚光を浴びています。そこで、そのポストについて、わかりやすく解説していきます。

「総理秘書官」とは?①・・・「奥の院」/上司は総理だけ。
 そもそも各省庁の官僚ですら、滅多にその中に入れない首相官邸にあって、そのまた「奥の院」(総理執務室の横の部屋)に座するのが「総理秘書官」。上司はただ一人、内閣総理大臣だけです。

「総理秘書官」とは?②・・・「政務秘書官」
 秘書官には政務(政治)担当と事務(政策)担当がいます。前者は、俗に「首席秘書官」とも呼ばれ、秘書官室を束ねます。政権の重要政策や総理日程等を総合調整します。
 私が橋本龍太郎政権で務めていたのがこのポスト。現在は、今井尚哉氏。たまたま私と同じ経産省(通産省)出身の官僚ですが、これは異例で、通常は「おやじ」「おやじ」と言って数十年その政治家に仕えた古参議員秘書が努めます。

「総理秘書官」とは?③・・・「事務秘書官」
 政務のほかに、「事務秘書官」が現在5人います。財務、外務、経産、警察、防衛各省庁からの出向です。将来、事務次官を狙える超エリート官僚が就きます。
 事務秘書官には、それぞれ分担省庁があり、政策的に総理を補佐するのが役目です。総理演説の推敲や国会答弁調整、政権の重要政策の立案・調整もします。

「総理秘書官」とは?④・・・「政務」と「事務」の違い
 「政務」は、その総理に添い遂げるポスト(私も政権終了後退官)であり、総理への忠誠心も高く、それだけ総理の信任も厚いのが通常です。
 一方、「事務」は、政権が終われば出身省庁に戻り出世街道を歩むので、総理よりも母屋のために働く「スパイ」「お目付け役」的な人も時には出てくる。したがって、真の国家機密や政治家たる総理の機微にふれる事項については、総理と政務秘書官の二人だけで共有され、そこに「政務」と「事務」の決定的(本質的)な違いがあります。

「#総理秘書官」とは?⑤・・・秘書官の日常
 早朝から深夜まで働きづめです。休みもほとんどありません。
まず、朝は全紙を読み、総理の頭に入っていないニュースがあれば担当省庁に問い合わせ、その情報を朝一番で総理に入れます。
 事務秘書官には「曜日当番」があり、5人の秘書官が輪番で担当します。これが「同行秘書官」です。総理車で移動する場合は、後部座席、総理の右側に座り、歩きの時は、総理の背後につきます。
 政務秘書官は、総理の「政治案件」に同行します。例えば、与党政治家との会合や週末の遊説などです。
 その合間に、それぞれの秘書官は、担当事項で詰めた方が良い案件を各省庁の担当から聞き、また総理にあげてほしいと各省庁の官僚が「ご進講」に来ます。
 この「秘書官室」に、民間人や自治体職員等の外部の方々が頻繁に来るということはありません。「奥の院」ですから。また、官邸にも内閣府にも担当部署があり、会うならその担当が会います。そこから必要なら秘書官に伝えれば良いだけの話です。
 にもかかわらず、もし外部の人が来るとしたら、それは特別の案件(総理案件等)だからなのです。

「#総理秘書官」とは?⑥・・・総理の国会答弁作成
 前日までに官邸の内閣総務官室が司令塔になって、各省庁の担当者と質疑者の議員に「質問とり」を行います。そして、どこの省庁が答弁を作成するかを内閣総務官室で「割り振り」ます。私は、海部・宮沢内閣時(1990年6月~92年6月)、この総務官室(当時は内閣参事官室)にいました。
 この総理答弁が各省庁から官邸に出揃うのは翌朝。総理秘書官は午前4時頃に出勤し、各省庁作成の膨大な答弁資料をチェックし、必要があれば修正します。質疑者の議員は必要以上に総理答弁を求めますが、その質問を大臣や局長答弁に「振る」のも総理秘書官の仕事です。そして、朝一番、予算委員会開会(午前9時)までに総理にその答弁資料に基づいてレクするのも総理秘書官なのです(たまに政務の官房副長官が同席しますが各省庁はしません)。
 この過程で、総理と秘書官の間で、森友問題のように、担当省庁と答弁の整合性を図る作業も行われます。佐川局長答弁のような、ひとたび間違えれば政権を揺るがすような答弁について、総理秘書官が財務省と調整するのは当たり前のことなのです。

「#総理秘書官」とは??・・・日程調整と昼食
 総理と総理秘書官は、総理夫人よりも時間を長く共有します。「スープの冷めない距離」という言葉がありますが、総理の息遣いや体温までも感じる「間合い」で日々仕事をします。官邸には官房長官や副長官がいますが、その「身近さ」は彼らの比ではありません。「側近中の側近」と呼ばれる所以です。
 総理を秘書官が囲む機会は、日に最低二回はあります。一つは、一日の総理日程が終わった後、通常は夕方、総理が外出(帰宅)する前、翌日の日程調整を行う場です。もう一つは、官邸内で昼食を総理ととる場です。ここで、秘書官はわざわざ総理の時間をとってレク(説明)する必要のない「雑件」を総理に上げます(耳打ちします)。
 ですから、加計問題で、柳瀬秘書官が15年4月2日に今治や加計関係者に会っていたとすれば、安倍首相が「(加計申請を)はじめて知った」17年1月20日までの1年9カ月の間、総理と秘書官の間でまったくこの話題が出なかったとは到底考えられないことなのです。

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