トランプ関税交渉で、国益に照らして、一体、日本は何が取れたというのでしょうか?
2025年8月25日 tag:
皆さん、教えていただけませんか? トランプ関税交渉で、国益に照らして、一体、日本は何が取れたというのでしょうか?どこがWin-Winなのでしょうか?
私も、日米自動車交渉をはじめ、数々の通商・貿易交渉に携わってきましたが、お互い国益をかけた交渉では、60対40で大勝利、55対45でもまあまあ、100対0はありません。
こういう観点から、今回のトランプ関税交渉の結果を見れば、トランプの術中に見事にはまり、結局はあり得ない高めの球をブラフ(脅し)で投げられて、それに怖じ気づいて、ひたすらトランプにおもねり、少しまけてもらったということで胸を撫で下ろす。何か日本が得をしたような思いにさせられ、事をおさめてしまう。しかし、実際はこれまでよりも高い15%の関税をかけられたわけです。
まあ、あのトランプが相手ですから、また、EUはじめ他の諸国首脳も50歩100歩ですから、石破さんだけを責めようとは思いません。しかし、中国を見て下さい。中国が巨額の対米黒字を抱えながら、なぜ、今でも米国と引き続き交渉を継続しているのか。その大きな理由の一つが、米国産業にとっても死活的に重要な「レアメタル」という「切り札」があることは言を俟ちません。
その意味では、日本も、中国のレアメタルに匹敵する「切り札」を持っているんです。そう、米国債を百数十兆円も日本国民のお金で買いながら、米国の巨額の財政赤字を支えてきた。
これこそが、日本の強みなんです。その証拠に、昔、橋本龍太郎首相が「米国債を売りたい誘惑にかられる」と講演で発言した途端に、米ドルが急落して、当時の米財務次官が赤い顔をして怒鳴り込んできたことがありました。
そうした事実を、今、日本が声高に「公に」主張しろとは私も言いません。市場に大きな影響を与えますからね。しかし、トランプ関税交渉の中で、内々に「机の下」でトランプやベッセントに対して突きつける。
「わかりました。同盟国の日本にさえ、こうした高関税をかけるのであれば、これまで米国債が満期になって返ってくる償還金ですら、その全額をまた米国債に投資してきた。しかし、今、日本も財政が厳しく、物価高対策の財源でも困ってますから、この償還金(ドル)を円に替えて使わせてもらいます、その為替差益(6兆円前後)を国民に還元したい」とでも言えばいいんです。
その程度のことも言わずして交渉は成り立たない。それが、私が経験させていただいた通商・貿易交渉から得た教訓です。
しかし、交渉はとりあえず妥結しました。問題は今後です。同じように苦渋を呑まされた諸国と共同戦線を張り、自由貿易を基軸とした国際秩序を取り戻すために、CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)でもASEM(アジア欧州会合)でも何でも良い、多国間の枠組みの中で日本が主導し、米国包囲網を張り巡らせることで、いずれ、トランプ後も睨んで、米国をその枠組みの中に取り込んでいく。時間がかかることではありますが、それが日本の中長期的国益に資することだと思います。
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