表面的に見れば、「高市色」の出た人事と言えるのではないでしょうか
2025年11月 2日 tag:
あまり褒めると、また、皆さんから批判されそうですが、今回の組閣や官邸人事をみると「なかなかやるな」というのが私の率直な感想です。
もちろん、みそぎは済んだと裏金議員を党幹部や副大臣等に登用したのは言語道断ですが、高市総理にとっては、あくまで彼女の立場に立てばとの断りを入れた上で言うと「適材適所」という点を否めないと思います。
まず、閣僚人事ですが、トランプ対策、関税対策として、茂木外相、赤沢経産相は、私がその立場でも登用する人事です。この問題に経験豊富で精通してますからね。また、片山財務相は、まだ予断を許しませんが、私と同じ「積極財政・減税派」らしいので、その真贋は早速、財務金融委で確かめたいと思いますが、前の加藤、鈴木大臣よりはましでしょう。
ちなみに、自民党税調人事で言えば、「ラスボス」と言われた財務省べったりの宮澤洋一氏を会長からはずし、インナーと言われる財務省系税制通も降格、ないしは、はずしました。
また、政務秘書官に、飯田祐二前経産事務次官を登用したのも、適当な秘書が高市事務所にいなかったのでしょうが、適材です。
私がその走りでしたが、近年、安倍政権の今井尚哉氏、岸田政権の島田隆氏と経産出身者が政務秘書官に就くのには理由があります。
政務秘書官は、総理の意向を直接受けて、政策立案やその調整・根回し、与党政治家との連絡役等を担うのですが、はっきり申し上げると、大臣よりも国政への影響力は甚大だということです。特に、総理の信頼が厚い側近中の側近である場合は、法令上の権限はともかく、政権運営や政策立案において、政権内で大臣より大きな影響力を持つものなのです。
それではなぜ、経産官僚出身が重用されるのか。それは昔、通産省のことを「インベーダー官庁」と称した田原総一郎さんの著書もありましたが、私に言わせれば「通産(経産)省は旗本退屈男」「色男、金も力もなかりけり」で、だからこそ、通産(経産)省は、他人(他省庁)の土俵に、他人(他省庁)のふんどしを締めて平気で上がって、相撲を取ることのできる人種だからです。
すなわち、他省庁の権限領域の政策ですら、産業構造審議会という自省の場を通じて、自ら勉強し、そして、他省庁の政策にまで踏み込み政策提言をする。例えば、文部科学省の所管する知的財産権、法務省が所管する企業法制、外務省が所管する政治外交等々。そう、いわば「政府内野党」のような立場で、他省庁の権限、政策を荒らしまくるのです。
その結果、政府全体の政策にも精通している。そして、一応、財務省に次ぐ有力官庁である通産(経産)省は、政治家への根回し能力も高い。こうした利点を買われて、その出身者が近年、政務秘書官に登用される例が多いと私は考えています。
最後に、事務の官房副長官(霞が関トップ)に元警察庁長官を据えたのも、私は、その危険性を感じていますが、あくまで高市総理にとっては、「国家情報局」の創設や「スパイ防止法」の制定では適任でしょう。
どこまで、自分自身で考えた人事かはわかりませんが、「人事」でつまづく総理が多い中、とりあえず、表面的に見れば、「高市色」の出た人事と言えるのではないでしょうか。
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