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週刊ポスト11月11日号 インタビュー記事

 ―北朝鮮問題、経済問題と危機の真っ只中にありながら、小泉政権は迷走を続けている。いま、小泉政権の何が一番問題と考えるか。

 最大の問題は小泉総理に「定見」がないことですよ。特に気になるのが、経済・金融問題についてですね。デフレ致策でいえば、竹中案を貫き通すのか、それとも修正するように指示するのか、最終的に小泉総理がこうするんだというメッセージを対外的に出すべきなのにそれがなされていない。 竹中さんを強硬路線で走らせたと思ったら、与党内から反発を食ったとたんに修正する。ペイオフだって3月くらいにはもう大丈夫だから解禁しますといっておきながら、反発を受けると手のひらを返すように2年延期するという。しかも、最近は、後退を「むしろ改革の強化だ」と強弁し、国民をあざむく。見直すならはっきりと見直すといえばいい。
 僕は政策転換はいいと思うんです。いい意味で臨機応変にやるならいいんだけど、いまの小泉総理はそうなっていない。ただ、場当たり的に、自民党がいったから、財務省がいったから、とその日暮らしに変わっていく。こういうのが一番問題だと思いますね。もはや小泉政権は末期症状を呈していますよ。

 ―江田さん自身、橋本元首相の政務秘書官を務め、官邸の政策決定のメカニズムはわかっているはずだが、小泉首相にはなぜ定見がないのか。

 小泉首相が抱える問題点を率直に申し上げると、まず第1に不得意分野が多い。普通の議員なら朝、党本部の勉強会に出たり、議員立法に携わって研鑚を積んでいくのに、そういうことはあまりされてこなかった。第2に、その結果として、学界や財界に人脈を形成されてないから、ブレーンが非常に片寄ってしまうし、しかもその数が少ない。
 総理大臣はスーパーマンではないので得手、不得手があるのはやむを得ないと思います。ただ、不得手の部分はしっかりとブレーンを外部から登用する必要がある。しかし、小泉首相に関していえば、そのブレーンが財務官僚で包囲されているんですね。だから、医療制度改革など財務省に都合のいい改革はできても、本体改革が全くできていない。
 もちろん、財務省に不利な改革などできはしない。

 ―官僚、特に財務官僚が官邸を牛耳っていると?

 端的な例でいえば、塩川大臣が具体的な減税幅を示唆したら、すぐさま、官僚が否定したことがありましたよね。はっきりいいますと、僕が橋本総理の秘書官をしていた頃は大蔵スキャンダルの嵐が吹き荒れて、そこでは非常に反省の色を示していたのに、3〜4年したらもう復権しているわけです。そういうなかで、官僚は増長していると思うんです。
 それと小泉さん自身がこれまでの経歴をみると大蔵族だから、大蔵省、いまの財務省の官僚と親しい。今日は竹中さんや経済財政諮問会議の民間委員の話を聞いて、Aという答えを出しても、翌朝にはすぐに財務省が根回ししてBという答えをいってみたり。
 小泉政権は、極めて財務省主導の政権なんですね。官僚主導の改革だから小手先の帳尻合わせになってしまう。だから経済も浮上しないし、危機はますます募っていく。

 ―抵抗勢力への擦り寄りは国民にも見え始めたが、官僚との関係は見えにくい。

 改革が中途半端になってしまっている最大の要因は自民党のなかで8割を占める抵抗勢力の存在と、そうした族議員を背景とする官僚の抵抗ですよ。小泉さんがそこに切り込めるかといえば現状では悲観的ですね。
 僕は総理大臣というのは、毅然として、俺はこれをやるから、責任も俺が取るから、お前ら存分にやれ、というのがリーダーシップだと思うんですよ。お前らに任せた、でも責任は俺が取る、俺が守ってやるというのがね。そうしたリーダーシップを発揮していないから、いつも海に漂う船のように、その時々の力関係で、あっちにいったり、こっちにいってみたりしている。だから、小泉政権の信用力、信認がなくなってきている。ただ、小泉さんをダメだといっても他に人がいないんですね。仮にポスト小泉で囁かれているような人が出て政権を作っても支持率20%ですよ。長持ちしません。だから、小泉さんは自民党政権最後の総理だと思います。

 ―一方、野党第1党である民主党の評価はどうか。

 僕は民主党は死んだと思いますね。

 ―それは鳩山再選で?

 いや鳩山再選プラス人事で。要するに自民党以上に旧態依然とした人事、つまり、論功行賞と労組依存という、もっとも悪い民主党の体質を露呈した人事だったでしょ。先の統一補選でも自民党がなぜ5勝したかというと、低投票率と民主党に対する失望感ですよ。僕自身、街頭でそれまで民主党の支持者だったという多くの人から、そういう話を聞いた。みんな民主党にソッポを向いている。もう民主党は政権奪取能力はゼロだと思いますよ。

 ―死んだ民主党を生き返らせる方法はあるのか。

 それは旧社会党と労組を切るしかない。外交・安全保障問題ですら一本化できない政党は、政党じゃないと僕は思ってます。結局、いまも自治労をはじめとする労組に依存していて、それじゃ行革なんてできないですよ。

 ―旧社会党と労組を切れば鳩山代表でも再生は可能か。

 ムリムリ。鳩山さんはまず軸がないんですよ。申し訳ないけど、鳩山さんのモットーである、「友愛」というのはね、政策というか、理念の軸にはならないですよ。鳩山さんて何を考えているかわからないでしょ?そういうイメージが民主党の支持率を下げてますよ、確実にね。民主党は女性の支持率が低いですが、それも鳩山さんの印象が強いんじゃないかな。

 ―米国では政治家の魅力や存在感という意味でセクシーという言葉が使われるが、鳩山代表はセクシーじゃない?

 そういうことだと思います。

 ―しかし、小泉政権はだめ、民主党もだめで日本の政治はどうなるのか。

 小泉政権の支持率は約60%ありますが、これはある意味、国民の皆さんが小泉総理をよくみている結果だと思うんです。確かに歴代総理でこれだけ頑固に「改革」「改革」といっている人はいない。その点が評価されているんですが、逆にいえば、これだけ頑固な総理でも抵抗勢力と官僚がいたら改革は進まない。
  つまりは、これをぶっ潰さないかぎり本当の構造改革はできないわけです。だから、私は無所属で出ました。もう既存政党の中から変えるのは無理ですよ、外からしかない。

 ―「外から」とは、具体的にいってほしい。

 国会にしがらみのない勢力を一人でも多く作ることです。なかなか困難だけど、そのためにまず私がしがらみのない形で出ることが大事だった。ただ現状では国会議員に危機感がない。選挙が迫って、尻に火がつかないと動かないんですね。だから、今後のチャンスは「小泉解散」だと思っています。今や小泉さんに期待するのは、改革の旗印の下に解散という引き金を引き、政界再編の「うねり」のきっかけを作ってくれることぐらいです。世界は若手政治家の時代ですよ。もう30代、40代、いって50代前半の人が主流になっているんですから。
 小泉解散の暁に、民主党の若手がどう行動するかに特に期待しています。数10人が動けば、一気にうねりができる。できるかできないかじゃない。できないと、もうこの国は終わってしまうんです。

 

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