| 小泉改革は中身がともなっていない
―いまの永田町が抱える最大の問題点はどういうことなのでしょうか。
(江田) 数だけの党利党略の政権奪取ゲームは90年代からやっていましたが、政界再編がことごとく失敗したのは再編軸がなかったからです。非自民の細川内閣にしても、結局は自民系から社会までの連立。私が首相秘書官としてかかわった橋本政権も自社さの連立政権でした。いまもごった煮ですからね。土井たか子さんと小沢一郎さんが同じ選挙カーに乗って、同じ候補を応援するなどということに国民はうんざりしているはずです。新保守対リベラルでも、大きな政府対小さな政府でも、タカ対ハトでもいいから、とにかく背骨がしっかり通った2大政党制への政界再編が必要です。
―政界再編のチャンスは、いままでもことごとく逃しているように思われます。
(江田) 本当に残念だったのは、民主党結成にともなう、旧さきがけの瓦解でしょう。鳩山由紀夫さんは最初、船田元さんと鳩船新党をつくろうとしたが、ケンカ別れして、社会党系の人とくっついて、民主党をつくった。もう少し辛抱できなかったのか。比較的しがらみのない、良質な議員が集まっていただけに残念です。
―その民主党も、政権奪取どころか所属議員の足並みが乱れっぱなしです。
(江田) 政党の体を成していない状態です。鳩山さんは代表選で勝ったあとの幹事長人事、新党騒動をふくめて、独断専行とカラ回りばかりが目立った。労組依存という古い体質も露呈してしまった。野党第一党とはいえ、結局は人数を集めただけのごった煮で、自民党との違いもわからず、うちわもめばかりが目立つ。相当な閉塞感と憤懣やるかたないという気持ちを抱いた民主党の若い議員が、これからどう動くのか、期待しながら、注意深く見守らなければならないと思います。。
―他の政党はどうでしょうか。
(江田) 社民党はもう終わった政党ですし、自由党は小沢私党だと思っています。党内民主主義があるのか、よくわからないところがある。いずれにせよ、自民、民主、自由あたりでもう一度リシャッフルする必要があるでしょう。とくに外交安全保障という、国を守り、国民の生命と財産を守る基本的な政策について一致できる政党をつくらなければならない。
―小泉首相には「きっかけとして改革の旗印のもとに解散をしてくれればいい」という期待しかできないのでしょうか。
(江田) 改革に懸ける意気込みはいいが、中身がともなっていないんです。デフレ政策も迷走しています。支持したはずの竹中案が党の反発ですぐに後退する。経済財政諮問会議で民間議員の提言を認める発言をしたかと思えば、財務省幹部にご進講されて、翌日には全く別の言葉を口にする。小泉さんに問われているものが、リーダーシップとクレディビリティ(=信用性)であるにもかかわらず、すべてが中途半端。軸がないことは、とくに外国の投資家などの目には率直に反映されています。だから、株も経済も金融も浮上しない。現在約60%ある支持率も、次の総裁選までにはジリジリと下がるのではないでしょうか。
私も橋本内閣で構造改革を打ち出してきたわけですから「改革なくして成長なし」のスローガン自体は支持します。しかし、もはや小泉さんは、改革の旗を半分降ろしている。どっちつかずだから、ダメなんです。小渕政権はばらまき型でしたが、企業や投資家の予測可能性はあったから、それなりの業務計画や戦略、戦術が立てられた。いくら支持率が高くても、金融経済はクレディビリティが大事ですから好転はしません。
また、小泉首相は、自分の得手分野であるはずの医療や年金の問題にさえ、
リーダーシップがない。医療制度、年金制度ともにパンク寸前であり、とにかく抜本改革をするべきなのに、いまだ小手先だけの帳尻合わせをしている。
厚生大臣経験者の小泉さんが、少子高齢化社会で医療費、年金の負担が莫大になることを知らないわけがない。何に気兼ねしているのか知らないが、坂口厚生労働大臣に丸投げしているのは、極めて不可解です。 |