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「巨大利権官庁誕生」
TBS系「エクスプレス」[11/Dec/00]

 建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁、この4省庁を歩いて回ると30分。移動するのも大変です。大臣秘書も4人。記者会見には4省庁の担当記者が集まり、会見場に入りきれないほどの混雑ぶり(100人)。なんでこんなことになってしまったのか。

 それは来年1月から、この4省庁が統合されて、「国土交通省」という一つの省になるから。統合までの間だけ、4省庁をかけ持ちしようということで、1ヶ月後には大臣室も一つになるので、移動の苦労はなくなりそう。

 しかし、実際の仕事の方はうまくいくんでしょうか。なにせ、新しくできる国土交通省は、職員6万8000人、予算7兆8千億円、国の公共事業の8割を占めてしまう超巨大利権官庁なんですから。こんなに大きな省の仕事を扇大臣一人でチェックできるのでしょうか。

「いかに有能な扇大臣でもかなり難しいでしょうね。」

 こう話す江田さんは、来年からの省庁再編を決めた橋本元総理大臣の首席秘書官として、省庁再編のデザインを描いた張本人。国土交通省なんて大官庁を作ったのは、そもそもどうしてなんですか。

 「簡単に言えば、4つの役所を一つにまとめて、効率化、合理化しようと。そういうことですね。1(建設省)プラス1(運輸省)プラス1(国土庁)プラス1(北開庁)が4ではなくて、限りなく1つ(国土交通省)の官庁にして身軽にする、それが本来の目的だったんです。」

 しかし、現実には4省庁合計の課の数は26課、15%削減できたものの、なぜ か、予算は昨年を9%上回ってしまったのです。この現実をどう思われますか。

 「具体的な執行の権限をですね、本来ならば地方におろす、地方の機関にほぼ全面的におろすことが前提だったのに、それが、その後中途半端におわっている。ですから、さっきの数式で言うと、1プラス1プラス1プラス1が4というのが、なかなか3や2になっていないのです。」

 結論;4省庁(大臣)かけ持ちはできるはず。しかし、職務のスリム化が前提。

 扇さんが、役所をダイエットできるかにかかっています。

(解説)当初の構想と、どこがどう変わったのか?(by 江田けんじ)

 建設省や運輸省の所管する公共事業を一元化すると、巨大な利権官庁になる、という指摘は、当時の行革会議での議論でも、当然あった。

 その一つの解決方法として、橋本首相(当時)は、建設省から河川局を分離し、それと農水省を統合して「国土保全省」とし、残った建設省と運輸省等を統合して、「国土開発省」とする、という案を提唱した。しかし、この案には、「開発」と「保全」の間のどこに線を引くのか、現在の公共事業は、開発、保全表裏一体で進めているのではないのか、といった反駁にこたえることができないという欠点があったのみならず、分離阻止に向けた建設族や河川技官等建設省等の猛烈な抵抗もあり、頓挫したのである。

 公共事業の一元化」自体は、それぞれの官庁が、十分な情報交換もせず、ばらばらに鉄道や道路、空港や橋をつくっているという現状を改め、より整合的な国土の総合デザインを描くという意味では、首肯しうる考え方である。問題は、その具体的な公共事業の執行権限を地方におろし(地方分権)、本省自体は「企画立案」官庁に純化する、という「統合の前提条件」が約束どおり履行されなかった点にある。これも、橋本政権崩壊後、急速に行革への関心が、政治的にも国民的にも消えていった、一つのあかしでもある。その後、地方分権推進委員会で検討された公共事業権限の地方委譲が、関係者の抵抗で極めて中途半端に終わったからである。

 従って、この残された課題は、引き続き、行革の最重要課題の一つとして検討されるべきである。

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