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予算編成権を巡る政と官の攻防
テレビ朝日系「ニュースステーション」
[8/Dec/00]
(写真)「ニュースステーション」1

 中央省庁の再編を柱とした行政改革を打ち上げたのは橋本内閣でした。行政の効率化とスリム化、そして何よりも「官僚主導」からの脱却。しかし、そこには、官僚と族議員からの激しい抵抗がありました。

 官僚主導から政治家主導への転換、そのためには総理官邸の機能を強化しなければならない。それが橋本行革の狙いの一つでした。

(江田憲司元首相秘書官)
 「予算と人事を握る、これがやはり組織管理の要諦としてあるわけで、そういう意味で、首相官邸の機能強化を言うのなら、予算を握るというのが大事。それがポイントだった。」

 総理官邸の機能強化のために新しく設けられる内閣府。その中に民間人を加えた「経済財政諮問会議」があります。大蔵省が行ってきた予算編成権がここに移されるのです。

(石原信雄元内閣官房副長官)
 
「予算の規模をどうするか、またその性格はどうか、どういう経費に重点を置くか、そういった基本的事項を、総理大臣を議長とする経済財政諮問会議の場で議論して、それを踏まえて総理が指示を出す、発案する、これは大きな変化です。」

 この橋本行革の流れを変えたのが、98年の参院選における自民党の敗北。その仕上げは小渕内閣に引き継がれました。しかし、省庁再編のための法案化など一番肝心な作業は、各省庁から選抜された官僚の手に委ねられたのです。橋本行革を推進してきた水野さんが目を奪われたのが、次のような表現でした。

 「財政運営、予算編成等の基本方針の原案は、経済財政諮問会議が作成するものとし、事務局が補佐する」(退陣後)1年間沈黙を守ってきた橋本元総理に、その誓いを破らせたのも、この言葉でした。

 総理官邸の機能強化のために新しく設けられる内閣府。その中に民間人を加えた「経済財政諮問会議」があります。大蔵省が行ってきた予算編成権がここに移されるのです。

(橋本元総理)
「何故経済財政諮問会議にだけ事務局を特記し、しかもそれが補佐するという文言がいるのか」

(写真)「ニュースステーション」2

(江田憲司元首相秘書官)
 「事務局が補佐するというのは、ある意味で当然なことなんですね。しかし、当然なことをあえて書くということに、そこに意図があるんですね。やはり、自分たちが(原案を)作成するんだ、そして、経済財政諮問会議は他の閣僚会議と同じように、官僚の書いた作文の追認機関にするんだ、という意図の表れでしょうね。」

 予算編成権を手放したくないという大蔵省の巻き返しが始まっていたのです。

(橋本元首相)
 「予算編成について発言権を持つ経済財政諮問会議の事務局だけが特記され、補佐すると権能を強化して書かれる、それには今までと変わらない仕事の仕方をしたいということが、にじみでてるんじゃないのか。この条文であれば、決定をされたその瞬間から、私はタブーを破って批判の矢面に立つよと。 数時間後に、事務局が補佐するという表現が消えました。」

 1年後、政権は森内閣に変わっていました。ここでまた、霞ヶ関の仕掛けが表面化 したのです。

(森首相)
「政府と与党の中に財政首脳会議というものを設けようと思っている。この中で、来年度の予算措置をどうするかという基本戦略、基本方針を是非打ち立てたいなと思っております。」

 財政首脳会議で予算の基本方針を決めたら、経済財政首脳会議は形骸化します。この構想の裏にいたのが大蔵省。

(水野清元首相補佐官)
「あ、やられたと思いました。予算というのは自分たちで決めるんだと。」

(武藤敏郎大蔵事務次官)
「それはもう全くの誤解、事実ではないと思います。こちらから積極的にお願いしたというのではなく、むしろ総理の方から言われて…」

 予算編成権を巡る攻防と様々な思惑。

(江田憲司元首相秘書官)
「やはり予算というのは、そう言う意味では、一番枢要な機能ですからね、政府の。そこは、霞ヶ関村の掟の中で処理したいというのが、それが本音なのではないでしょうか。」

 霞ヶ関村の掟を打ち破るために設置される経済財政諮問会議。今、その内装工事が行われています。民間人を加えて活発な議論を行い、予算編成や財政運営など国の基本方針を決める新しい試み。霞ヶ関の出先機関となってしまうのか、それとも形骸化してしまうのか。発足まで、あと1ヶ月に迫りました。

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