| (黒岩)
江田さんは、橋本前首相の政務担当秘書官でペルー人質事件も経験。官邸の危機管理に大変詳しいが、今回の最大の問題点は何か。
(江田)
最大の問題は、やはり「あらかじめ指定する大臣」、俗に言う副総理が事前に指定されていなかったこと。 ただ、官房長官への連絡が言われているように遅れたとすれば、これも問題。官邸の危機管理は、官房長官が「知る」ことから始動する。官房長官が政治判断して、必要に応じて、副長官、危機管理監、解散なら内閣参事官というように動いていく。まず、官房長官が知ることが重要。
(黒岩)
こういう事態では、やはり隠そうという心理が官邸には働くのか。
(江田)
正直いってある。それは、総理の健康状態は、マスコミも必要以上に注目しているし、政治家もことさら政変につなげようとする。そう言う意味では、大したことでなければ、無用の混乱を起こさないようにすることも重要だ。ただ、今回の事態は入院。総理の身体が物理的に公邸を出た以上、隠せるものではないし、はっきりと国民に事態を知らせるべき。
(黒岩)
本件は、システムの問題か。それが不備だったということか。
(江田)
危機管理というのは、本当の危機の時は実はマニュアルなんかないと思ったほうがいい。しかし、一方で必要最小限のマニュアルはある。今回も「副総理」、あらかじめ指定する大臣というのは、危機管理の一環として法定されていたし、要はそれを運用するかどうかが問題だった。危機管理はそれを運用する人、その資質、リーダーシップが一番大事。ゆめゆめ、マニュアル、制度の不備とか、人員を拡充するとか、そういったことで本質から目を背けるべきではない。
(黒岩)
どうして、副総理がいたりいなかったりするのか。
(江田)
副総理というのは永田町用語で俗語。本来は「あらかじめ指定する大臣」ということで危機管理の一環と位置づけられている。しかし、実際の政治の世界では、閣内ナンバー2とか連立政権の連立の相手方が、処遇されるポストとして位置づけられている。ここが問題。これからは、内閣発足と同時に、少なくとも一人は指定すべき。
(黒岩)
小渕総理が倒れた日のスケジュールは分刻み。海外でもこうなのか。
(江田)
このような過密なスケジュールは、平日は、アメリカやフランスの大統領もそうだと思う。ただ、週末はどうか、年末年始はどうか、ということになると、それはゆっくり家族とともにリフレッシュされている。ただ、そういった間にも国政の課題のことは頭から離れないものだ。
小渕総理のこの日程は、何も特別な日の日程ではないし、もっとひどい日々が続く。これに海外出張が重なると、国会の関係で、金曜日の夜日本を出て、月曜日の朝7時に帰国し、その足で国会に出席ということもある。橋本総理の場合も年、こういうことが5、6回あった。だから、今回のことを教訓にして、(何でも総理という)政治家やマスコミ、国民の意識変革をしていかないと、総理が自分の頭で国政のことを考える時間を与えないと、結局損をするのは国民だと私は思う。
|