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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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歴史の証言/消費税3%から5%への道程・・・①「既定路線」で「景気に最大限配慮」

2012年4月 2日  tag:

 野田民主党政権が、消費税10%への増税法案を閣議決定し、国会に提出した。我々みんなの党は結党以来、
一貫して「増税の前にやるべきことがあるだろう!」、①デフレから脱却し経済を成長路線にのせること、②国民に負担を求める前に国会議員や公務員が身を切ること、を訴えてきた。

 それは、そういう手順、プロセスを踏まないと、増税しても景気が悪くなり、かえって税収が落ち、財政再建にも社会
保障の財源調達にもマイナスになること、そして、何よりも、「増税」という国民に痛みを強いる政策に、その国民自身が
納得しない、結果として、増税は実現しない、ということになるからだ。

 そこで、今回の「直言」から、この後者、国民に増税への理解と納得を得るためには、我々みんなの党が言うような
プロセスをしっかり踏まないと絶対にできないということを、私が橋本龍太郎首相の秘書官(政務担当)として立ち会った、前回の消費増税(3%→5%)のプロセスを追いながら、説明、証言していきたいと思う。それが当事者の一人としての
責務でもあると考えるからだ。

 結論から言えば、増税への丁寧な手続きやプロセスをすべてすっ飛ばす、野田首相や財務省のやり方だと絶対に
増税はできないということだ。さらに誤解を恐れずにあえて言えば、我々みんなの党のようなやり方でないと、将来増税が本当に必要になった時に、実際に増税なぞできはしないということだ。増税推進論者は、この増税プロセスが極めて
政治的なプロセスであることを忘れている。

 まず、前回の増税、この消費税を3%から5%に上げる決定は橋本政権でなされたものではないという点を想起する
必要がある。前政権の村山富一内閣で閣議決定(94年9月)され、法案化(同11月に成立)されたのだ。そして、実施時期は97年4月からとされた。

 だから、橋本政権としては、この「既定路線」をくつがえすほどの経済状況の悪化がなければ、本来、粛々と増税を実施に移すことが要請されていたのである。当時の橋本首相も「5%でも大丈夫な経済運営をしていく」「増税しても景気を悪化させないような経済政策をとっていく」と対外的に度々口にしていた。この時も「経済状況」「景気」が最大の考慮要因
だったのである。

 ここで重要なことは、増税を決定した村山内閣は、その決定を下すにあたって、「増減税一体処理」を前提に、
増税をしても支障がでないよう具体的な景気浮揚策を打ったということだ。97年4月からの増税に先行するところの3年間、年間5.5兆円規模の所得・住民減税(3.5兆円の制度〈恒久〉減税+2兆円の定率〈特別〉減税)を先行的に実施したのである。

 この結果、当時の統計(後に補正。したがって数字は現基準のものと合わない)によれば、GDPは95年には2.2%、
96年には3.6%と景気は順調に回復していた。特に、増税の前年、96年には今では望むべくもない水準まで回復していたのである。そして、当時の株価はなんと2万円を超えていた!

 こうした経済状況下では、橋本政権として、前内閣で決めた「既定路線」をあえて覆すという政治的決断は下せなかったし、下すべきでもなかった、と私は今でも考えている。マスコミの論調もすべて「今、この景気の良い時に、財政再建を
せずしてどうするのか!」といった雰囲気だったし、国民的な支持もあった。橋本政権が、もし、逆の判断をしていたら、
橋本政権は確実に「総スカン」を喰い、支持率を大幅に落としたことだろう(次週に続く)。

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