国民一人一人の夢を実現できる社会を実現したい

江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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「カジノ横浜誘致」を断固阻止する市民運動を起こそう! ・・・横浜は横浜らしい魅力で街づくりを!

2019年9月20日  tag: , ,

(はじめに) 市民を欺く横浜市長のカジノ誘致表明


 林横浜市長が8月22日、案の定、カジノ(IR)の横浜誘致を表明した。候補地は山下ふ頭だ。「案の定」と言ったのは、この表明が、あらかじめ想定されたシナリオ通りのタイミングだったからだ。


 そして、この表明を受けて、横浜市議会では9月20日、たった二日間の審議だけで、市長が提案したカジノ誘致関連経費(2億6千万円)を含む補正予算を、自民。公明による賛成多数で可決、成立させたのだ。そこに「市民の声」を聞こうという姿勢は微塵もない。


 林市長は当初は誘致に積極的だったが、市長選(17年7月)に不利とみると「白紙」に豹変。そして、重要な選挙(統一地方選、参院選)が終わる頃合いを見計らって、今回の「表明」になったのだ。もちろん、その背景には、地元横浜選出の菅義偉官房長官との連携があることは言うまでもない。


 その国政の方でも、9月に入って、参院選に悪影響があるからと先送りしてきたカジノ(IR)の選定、認可手続き(「カジノ管理委員会」の国会同意人事や立地場所の選定基準等を定める「基本方針」の策定等)を、この横浜市長の「表明」に呼応するように、一気呵成に進めだしたのである。そう、すべてが「出来レース」なのだ。


 思い起こしてほしい。2016年末、カジノ(IR)推進法(カジノを賭博罪の適用除外とする法律)を安倍政権が強行採決したことを。あの時、連立政権を組む公明党まで置き去りにして、日本維新の会と自民党が共闘して、この法案を強行成立させたのだ。およそ憲政史上、連立与党の意向を無視して重要法案を採決するなどあり得ない。当時、山口公明党代表も井上幹事長も「反対票」を投じた。これを「異常事態」と言わずして何と言おう。


 その「意味」は、賢明なる皆さんならお分かりになるはずだ。そこまでして、カジノは大阪と横浜に落としたかったのだ。その背景には「菅官房長官・松井大阪府知事(当時)」の関係があったことは疑いようもない。


 なぜ、私が「カジノ」(IR)に反対するのか。失敗例の韓国カンウォン、成功例のシンガポール、双方を視察してきた結果を踏まえ、これまでも多々論じてきたが、ここで改めておさらいをしていきたい。


第一章 カンウォンランドの悲劇・・・自殺率トップの奇怪な風景の街


 私は一昨年6月、同僚議員とともに、韓国で唯一内国人が入場できるカジノ、カンウォン(江原)ランドを訪問した。そこで見たものは、カジノ誘致に対する当初の期待とはほど遠い、呻吟し苦悩する街の姿だった。

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(炭鉱が閉鎖され、カジノ誘致は地域振興の目玉だったが...風俗店と質屋が建ち並ぶ「奇怪な風景の街」に...)

 「若者世代に顔向けできない」。地元自治体の職員が私に発した言葉だ。「この町は、韓国でも『奇怪な町』ということで有名になってしまった」。そう、風俗店と質屋が立ち並ぶ光景。それが韓国でもテレビで放映され、「奇怪な街」というレッテルを貼られてしまったのだという。


 この町は1980年代、炭鉱の町だった。日本でもそうだったが、産炭地域は炭鉱の閉鎖で一気に存亡の危機に直面する。ほとんど唯一の地場産業がなくなり、失業者があふれる。地域社会や雇用の維持のために、この町にとって、カジノ誘致は「必要悪」だった。


 しかし、その目論見は見事にはずれた。当時、15万人だった人口は、現在3.8万人にまで落ち込んだ。風俗店(マッサージ店)が立ち並び、カジノですったお金を取り戻そうと質屋で借金する、その担保に供された車が路上に放置される。身ぐるみ剥がされた中毒症患者が野宿し、地域住民と諍いを起こす。あまりの風紀や治安の乱れに、小学校が隣の町に移転するほどの町になり果てた。


 「この町は、自殺率、たばこと酒の摂取率が韓国トップの町です」と自治体職員が嘆く。「カジノ場内で自殺した人も48人に上るという話があるが」とのこちらからの問いかけに、カンウォンランドの社長ですらそれを否定しなかった。「ギャンブルもいくつかあるが、中毒症になる比率が一番多いのがカジノ。10人に7人という統計もある」とカジノ中毒症対策センターの所長。その結果が、この町の自殺率と犯罪率アップに如実に表れる。


 カンウォンランドの社長は、最高検検事出身で国会議員もつとめた著名な方だ。パチンコを韓国で禁止した張本人でもある。彼が社長であるのは、このカジノに公的資金が半分以上入っているからだが、逆にいえば、唯一内国人が利用できるカジノ(韓国にカジノは17カ所)には、それだけ公的性格を与え、しっかり規制、取り締まる必要があるということだろう。


 その社長が、横浜にカジノを誘致するという計画があるという私の話を聞いて問うた。「江田さん、あなたの住む横浜は人口何万人ですか?」。「約370万人です」と答えると、「江田さん、絶対にカジノを誘致してはいけません」と。そして続けた。「この山あいの田舎町でもこれほどの問題が起こっているのです。そんな都会に設置したら、規制すればいい、取り締まればいいといったレベルを超えた、大変な問題が起こりますよ。政府も含めて、我々がここにカジノを誘致したのは、100万都市(大都市という意味)からアプローチしにくい、車で3時間以上かかるところに必要悪として導入するという考えだったのですから」。


 これは政府当局者や中毒症患者対策センター所長の言葉ではない。そう、カジノ経営者の言葉だからこそ、私は大変重い言葉だと受け止めて帰国の途についた。「横浜には絶対にカジノを誘致してはいけない」という確信をもって。こういう強い思いが、その直後に行われた横浜市長選(17年7月。林現市長が三選した選挙戦。ここで私はカジノ反対を争点に自前の候補者を擁立)に私を駆り立てていったのだ


第二章 シンガポールは例外的成功例 その訳とは?


 昨年夏、私はシンガポールのカジノを視察してきた。それが、安倍首相をはじめ「カジノ推進派」の「成功例」とされているからだ。2014年5月、安倍首相がここを訪問し「成長戦略の目玉」と述べたことは記憶に新しい。


 なぜ、韓国・カンウォンランドが「自殺率トップで奇怪な風景の町」と化し、なぜ、シンガポールのカジノは成功例とされているのか。この違いはどこから来るのか。それが私の視察に課せられた主要課題だった。


 その意味で、幸運だったのは、議員交流の一環で会った国会議員の一人が、シンガポールで二つのカジノ(IR)を所轄する警察署長出身だったことだ。早速、私は、時間の制約上、ある推論を立て、なぜシンガポールでカジノは成功しているのかを問いただした。

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(3人のうち、一番手前の方が警察署長出身の国会議員)

 その「推論」とは、シンガポールでカジノが成功しているのは、人口が570万人(200万人の外国籍を除けば370万人で横浜市並み)の都市国家で、かつ島国(東京都並みの面積)、個人情報が厳格に管理され、カジノへの出入りにも周到なチェックが行える等々の「規制・取締り・監督国家」だからこそではないか、というものだった。そして、その推論は見事なぐらいに当たったのである。


 まず、シンガポールは巷では「明るい北朝鮮」と称されるように、公権力による個人情報の把握と、それに基づく規制や取締り、監督が極めて厳しい国だ。「ポイ捨て」につながるタバコやガムの持ち込み禁止もその象徴だが、それだけでは、もちろんない。顔認証や指紋認証をはじめ、個人情報は国家に広範に把握され、その情報に基づきカジノへの出入りは正確に管理できる。この点、マイナンバーカードですら普及率が一割程度の日本とは大きな違いだろう。


 また、町中の植栽の陰に監視カメラが設置されている「監視国家」でもある。その証左として、タクシーを乗り逃げしても、その現場が監視カメラに写っているから犯人も翌日につかまるという説明も、その議員からあった。個人情報管理も含め、こうした公権力による監視は、人権意識の高い先進国で受け入れられるだろうか。


 さらに警察のカジノ取締りも周到だ。警察にカジノ犯罪調査部門があり、カジノ場にも警察のオフィスがあるという。カジノがらみの「闇金」対策にも警察に専門部署があり、そのペナルティーも重く、高利貸しや非合法融資には刑期だけでなく「むち打ちの刑」(先進国では禁止)すらあるという。そして、カジノのセキュリティーリーダーは警察OBが務めている。


 その他、説明を受けたものをあげれば、内国人には100シンガポール$(約8000円)の入場料、カジノ(IR)への無料シャトルバスは禁止、生活保護者等の入場禁止、国家公務員のカジノ利用は月二回に限定し、利用した場合は事後的に上司に報告等々の規制があるという。


 そして、全般的なカジノ規制と取締りは「カジノ規制庁」が行い、カジノがらみの犯罪は、一定の要件の下、裁判を経ることなく行政(大臣)命令で逮捕・有罪にもでき、裁判になる場合も迅速な裁判システム(一週間以内の結審)があるという。


 私は議員会合の最後に、その警察署長出身の国会議員に一番聞きたかったことを問うた。カジノ(賭博)の最大の懸念の一つが、組織的犯罪集団(暴力団)との結びつきだ。それが原因で、売春の横行や治安の乱れ、マネーロンダリング等の問題が起こる。シンガポールに一体、組織的犯罪集団(暴力団)は存在するのか否か。


 彼の答えは明確だった。「たしかにシンジケート(組織犯罪集団・暴力団)は、1980年~90年代には存在したが警察力で壊滅させた。シンガポールには犯罪集団といっても『ひったくり』の類しか存在しない」。そう、カジノ(賭博)と結びつこうにも、その土壌すらがそもそもないのだ。


 これで氷解した。そう、シンガポール・カジノの成功は、こうした「特殊な環境」下での成功なのだ。たかだか小一時間だけここを視察し、やれ「成長戦略の目玉だ」とか、「日本でカジノを導入しても大丈夫」と言い切るのは、あまりに浅薄で短絡的な物言いと断ぜざるを得ないだろう。


第三章 人の不幸を踏み台に経済成長? 観光立国?

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(ハマのドン、藤木幸夫氏「死んでもカジノは阻止する!」)

第一節 カジノは一時的な経済効果よりマイナス効果の方が大きい!


 それでは具体的に、政府の主張するカジノの効用も含めて、そのメリット、デメリットについて、具体的に論じていこう。


 まず、その「経済成長」効果だ。林横浜市長も、その効果を「獲らぬ狸の皮算用」のように高めにはじいている。カジノ(IR)をつくれば、一時的に建設投資等でGDPに寄与するのは当たり前のことだろう。しかし、賭博は所詮、人から掛け金を巻き上げる「ゼロサムゲーム」、儲かる人がいれば、必ずその分だけ損する人がいる。いや、それ以上損をするからカジノ企業(胴元)に利益が出るのだ。そう、付加価値は産み出さない。


 そして、ギャンブル中毒(依存症)になれば、家庭内暴力や離婚で家庭崩壊、一家離散、はては自己破産、自殺等々の悲惨な現実が進行していく。その対策経費、救済経費も莫大なものになるだろう。韓国では全部で7.7兆円の損失という試算もあるし、米国ニューハンプシャー州の報告では、その社会的コストは「病的ギャンブラー」1人当たり5144ドルという推計もある。


 こうしたカジノが生み出す負の側面、コストも踏まえた総合的評価が欠かせないのに、安倍政権は全くそういう評価やシミュレーションすらしていないということが、一連の国会審議で明らかになった。これではとても「カジノGO!」という判断はできないはずだ。ちなみに、横浜市長も会見でこの点を突かれ、まったく答えを持ち合わせていなかった。


 政府が目指す「観光立国」には大賛成だ。しかし、なぜ今、外国人観光客が増え続けているのか。それは日本の伝統、文化、豊かな自然、他の国にない、その魅力に惹かれてのことではないのか。観光庁の調査でも、「日本食」や「温泉」、「古民家が建ち並ぶ町並み」等が外国人がとらえる「日本の魅力」となっている。何も、どこの国にもあるカジノに頼る必要はない。「観光立国」を目指すなら、日本らしい魅力とポテンシャルを活用していけば良いのだ。

(外国人観光客の増加)
 2012年836万 2015年1974万 2016年2404万 2017年2869万 2018年 3119万
(人気の高い景勝地)
・飛騨高山(人口5倍の外国人が訪れる。古い町並みや里山、田園の風景を好む。「飛騨里山サイクリング」では参加者の80%以上は外国人旅行者)
・新倉山浅間公園(山梨県富士吉田市。五重塔と富士山のコントラストが人気)
・高野山奥の院(外国人観光客が毎年増加。浮世と全く違う幻想的な時間が流れている。特に西洋人にとって神秘的。スピリチュアルな場所として人気)
・白谷雲水峡(屋久島町。原生林に覆われ、苔むす幻想的な雰囲気が人気)


第二節 カジノには「共食い現象」。地元から消費を吸い上げる!


 カジノ(IR)には「カニバリゼーション(共食い)」という問題もある。米国では、カジノ創設により、周辺地域での消費減少、地場産業の倒産による雇用喪失や税収減が報告されている。ニューハンプシャー州では、カジノ開業で周辺地域から40%~60%の「消費の吸上げ」が発生するとされているのだ。


 安倍政権や横浜市は、しきりに、カジノ(IR)による経済効果を強調する。しかし、カジノを作っても巨大ホテルでカジノ客を囲い込むだけで、周辺地域に金は落ちない。浦安市にあるディズニーランドを思い起こしてほしい。ディズニーランドは連日、入場者でにぎわっているが、その客のほとんどは、ディズニーランド内で食事をし買い物をし、そのまま家に帰ってしまう。わざわざ園外に出て、浦安市で買い物、食事をしようという人が何人いるのか。


 また、そもそも、カジノで金を使って、金をすって、どうやって周辺地域で買い物をするのか、観光をするのか。どころか、従来なら、地元商店街に落としていたお金が、カジノ(IR)という巨大ショッピングセンターに吸い尽くされてしまうのだ。これでは地域振興どころか地域衰退に拍車をかけるということにもなりかねない。しかし、安倍政権や横浜市は、こうした地域経済への悪影響についても、全く評価・分析していないのだ。


 カジノ推進の横浜商工会議所も、この点をよく考えた方が良い。カジノの地域振興への寄与ばかりを喧伝するが、実はその逆で、これまで、元町商店街や中華街で買物や食事をしていた客が、カジノ(IR)に吸い上げられていくのだ。市や利権で潤うことになる地元財界の通り一遍の説明で、何となく賛成している商店(飲食店)主や地元住民の皆さんは騙されないでほしい。先にふれた米国の例、現状をみれば理解していただけるはずだ。


 現在、カジノを運営できるノウハウを持っているのは外資系企業(特に米国企業。その中にはトランプ大統領に多額の献金をしている企業もある)だけだ。やっと、数年前から、一部の日本企業(ゲーム機器メーカー等)が外国のカジノで研修を始めた程度の段階だ。次に述べるように、外国人客もほとんど期待できず、結局、カジノは、日本人から掛け金を巻き上げ、外国(特に米国)に送金するシステムと化していくだろう。そして、日本には、依存症患者と治安・風紀の悪化だけが残るのだ。


第三節 カジノは周回遅れのビジネスモデル


 そして、カジノはもう、世界的に「過当競争で飽和状態」なのだ。今更、日本に新設しても、後発で既存のパイの奪い合いになることは必定だろう。


 アトランティックシティでは1/3のカジノが閉鎖され、地域おこしの象徴だったトゥニカ(ミシシッピー州)でも最大カジノが倒産した。過当競争とオンラインカジノ普及がその背景と言われている。日本周辺のカジノ新設の動きをみても、韓国・仁川国際空港にはパラダイスシティーカジノ(私も視察)が一昨年開業。済州島にも新設計画がある。台湾でもカジノが合法化され、その競争環境には極めて厳しいものがある。


 安倍政権と横浜市は、しきりに「観光立国」「インバウンド客(外国人客)」狙いを強調するが、一体、どこの国の人が来てくれるというのか。米国やヨーロッパの人たちが、わざわざカジノをしたくて来日するとは考えにくい。日本独特の奇想天外?なカジノがあるのならまだしも、そもそも日本のカジノも既に米欧で展開している外資系企業の運営になる。前にもふれたが、最近の外国人観光客の増加は、日本らしい歴史や文化、伝統にふれたくて来るのであって、何も「パチンコ」をしたくて来るのではない。


 一応、可能性があるのは、韓国カジノもその過半がそうであるように、中国人客であろうが、「爆買いブーム」はとっくに過ぎ、習近平政権の「綱紀粛正(腐敗撲滅)」や「外交政策」にも観光客数は左右される。そして、そもそも中国人なら、中国語が通じるマカオや、より近い韓国のカジノに行くだろう。


 そう、まさに、今回の日本でのカジノ解禁は、「観光立国」とか「インバウンド客狙い」ではなく、完全に「日本人客狙い」なのだ。その証拠に、超党派のカジノ推進議連も、当初は、依存症や治安・風紀の乱れへの懸念等から、「外国人専用」のカジノを想定していた時期もあったが、それではペイしないということで、日本人も対象にしたという経緯もあるのだ。


 前にもふれたように、結果、カジノは、日本人から掛け金を巻き上げ、外国(特に米国)へ送金するシステムとなる。そして、開設しても、国際競争力のない「周回遅れのビジネス」となる。このどこが「経済成長」に資するというのだろうか。


第四章 何が「世界最高水準」のカジノ規制か!


 他にも、カジノには多々、問題点がある。


 規制法は、週3回(月10回)まで入場を制限すると規定するが、週3回も行く人は、既にギャンブル依存症だろう。我が国は特に依存症患者が多い(320万人・成人の3.6%・仏1.2%伊0.4%独0.2%)とされている。韓国では、すべてのギャンブルの中で、カジノが一番依存症になる比率が高く、10人中7人という統計もある(江原カジノ中毒症対策センター所長)そうだ。


 入場料6000円も効果があるだろうか?一般の人が行きにくくはなるだろうが、依存症患者は入場料を高くしても、それ以上、元をとれば良いと考えるので「▼6000円」から賭けを始めるだけの話だ。それを取り返そうとのめりこむ危険さえある。依存症患者(その可能性のある人)はカジノに通い続けることだろう。


 こうした規制や監督を含めて、安倍首相は「世界最高水準のカジノ規制」と胸を張る。どこかで聞いた言葉ではないだろうか。そう、原発の安全規制でも安倍首相は「世界最高水準」と言う。しかし、米国等が安全審査の対象としている「住民の避難計画」を外して自治体任せにしておいて、どこが「世界最高水準」なのか。


 カジノ規制でも、前述したように、韓国では「内国人利用可のカジノ」は「公営」に限り、手軽にカジノを利用できる周辺の地域住民は月1回しか入場できない。また、「大都市(100万都市)」から車で2.5時間以上という設置基準も設け、日本より厳しい規制をしている。そもそも、大都市にカジノは、弊害が大きすぎるので韓国では想定されていないというのが、カンウォンランド社長(最高検検事出身)の説明だった。


 ここまで書いてきて、それでは、競輪、競馬等の「公営ギャンブル」はどうなんだ!パチンコはどうなんだ!という声が聞こえてきそうだ。

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(2017年2月1日 予算委員会/競輪・競馬等は「公設・公営・公益」という厳しい条件の下に賭博罪の違法性阻却。カジノは民間会社経営でこれまでの政府の説明と全く整合性がとれないと指摘)

 まず、いわゆる「公営競技(ギャンブル)」だが、競馬を除いて、競輪や競艇等は、戦後復興期、財政ひっ迫を受けて、特に地方自治体の財政難にこたえるためにやむをえず解禁されたという背景がある。ただ、そこでは、今回のような「民営(民間企業)賭博」は許さず、「公設」「公営」「公益」に限定という法的措置をとって、刑法上の「賭博」という犯罪の違法性の阻却をはかったのだ。

(特別法による違法性阻却)
① 施行者が地方自治体または政府全額出資の特殊法人であること(公設)
② 運営機関が非営利法人(自治体や国の外郭団体を含む)であること(公営)
③ 収益は社会貢献活動に使用すること(公益)


 今回初めて「公設・公営」「公共団体」以外の者、純粋民間事業者(しかも外資系企業)に「民営賭博」を認めたのだ。それがなぜ、従来の刑法の「賭博罪」の保護法益、法秩序と整合性のあるものなのか、私には到底、理解できない。従前の特別法,すなわち,競馬法,自転車競技法,小型自動車競争法,モーターボート競走法とは全く相違している。こうした刑法という基本法ですら、法務省による政権への「忖度」でゆがめられてしまうのだ。


 次に、パチンコ(パチスロ)があるじゃないか、それはどうするんだという意見もよく聞く。日本のギャンブル依存症患者の多くもパチンコが原因だ。ただ、カジノは、射幸心をあおるという点からも、パチンコ(パチスロ)の比ではない。


 パチンコ(パチスロ)の依存症患者が、月平均使うお金は約58000円と言われる。一方、カジノの掛け金は桁が違う。富裕層は一晩で数千万~億単位で賭けるのだ。だからこそ深刻な依存症患者を生む。また、夜間は閉店するパチンコと違い、カジノは24時間、没頭することができる。クーリングオフの(頭を冷やす)時間がないのだ。そう、パチンコ(パチスロ)とは次元が違うのだ。少し前、某製紙会社の御曹司がカジノで大負けして、最終的には100億円以上を会社から引き出し、「特別背任罪」に問われたことは記憶に新しいはずだ。


(従来の政府見解)
「(賭博罪は)国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあることから、社会の風俗を害する行為として処罰することとされている」

(刑法第35条=法令行為)
①賭博行為に伴う収益を公的主体が独占できること
②公的主体が担うことにより、限りなく不正を防止することが可能となり、公正さ、透明性を担保することができること
③悪や組織悪の介在を防ぎ、健全な賭博行為を国民に提供できる可能性が高まること
④射幸心を煽る行為を自制的に管理できること。


第五章 有史以来、賭博、博打はご法度。カジノは日本の国柄か?


 カジノ。賛成、反対、それぞれの立場からの理由はあるだろう。しかし、その「根っこ」には、日本の「国柄」「国の有り様」「国の品格」というものをどう捉え、どう考えるのか、政治家や人それぞれの「感性」の違いがあるのではないだろうかか?

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(民権かながわ記念講演会/多くの市民の方々がカジノ誘致に不安を感じている)

 カジノは「バクチ」「賭博」「ギャンブル」だ。一体こうしたものが、日本の悠久の歴史、伝統、文化というものに照らしてどうなのか、それにそぐわない、その「美風」に反するものではないのか、といった本源的な問いかけを避けて通るわけにはいかない。


 安倍首相も、最近はつとに口に出さなくなったが、第一次政権時には、国会演説等で「美しい国・日本」を目指すとして、「世界に誇りうる美しい自然に恵まれた長い歴史、文化、伝統を持つ国」「四季折々の風景、伝統が織り成す技や文化、日々の生活の中にある日本の美しさ」「その静かな誇りを胸に、今、新たな国創りに向けて、歩み出すとき」としていた。私は安倍首相とは、その政治理念や多くの基本政策で立場を異にする政治家だが、この点だけは首肯しうると考えていたものだ。カジノは、その「美しい国」にふさわしいものなのか。


 そう、古来、日本では「賭博はご法度」とされてきた。7世紀、持統天皇の「すごろく禁止令」以来、1300年の歴史があるという人もいる。どうしても賭博は、この日本で、「裏社会」「闇の世界」「社会の暗部」で生息してきたことは否めないだろう。それを堂々と表に出して「やれ、経済成長だ!」「観光立国だ!」ということに、大いなる違和感を覚える人が俄然多いというのが現実なのだ。


 それは、カジノ解禁に対する各種世論調査をみれば一目瞭然だ。どの調査をとっても、見事に、賛成は20%前後、反対は60%前後なのだから。「カジノ反対理由」についても、多くの人が、「治安が悪化する」「青少年に悪影響がある」「依存症が増加する」「反社会的勢力の資金源となる」等をあげている。「カジノに行ってみたいか」との問いには、「思わない」が四人に三人、「行ってみたい」は五人に一人にとどまる。


 私は、二年前の横浜市長選に自前の候補者を立て、身銭を切って「カジノを争点化」して戦ったが、その時の地元紙(神奈川新聞)の調査でも同じ傾向だった。65.2%が反対で、賛成は22.7%だ。その秋の衆院選時でも68.0%が反対 賛成は24.5%だった。


 興味深いのは、カジノ解禁に対しては、全世代、全党派、男女とも、反対が圧倒的多数だということだ。そして、世代が上になるほど、女性ほどその傾向が顕著になる。男性では反対が56.9%、賛成が24.2%。女性では反対が66.1%、賛成がたったの8.1%。年代別では賛成(24.6%)が一番多い30代でも反対が52.4%。60代では賛成(10.4%)が一番少なく、反対が71.6%だった。自民党支持層に限っても、賛成が29.8%、反対が44.4%なのだ。


 また、めずらしく全国紙すべてが、基本法審議の頃は、カジノには反対または慎重だった。例えば、読売は社説で「他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全」「深刻な副作用を踏まえ再考せよ」。産経も「多くの疑問を残したまま駆け込みで事を進めている」「懸念解消を先送りするな!」「国の無責任さ見過ごせぬ」。日経も「拙速なカジノ解禁は問題が多い」。安倍政権には日頃優しい?読売、産経までが、カジノ解禁には厳しい論評をしていたのだ。


 このように、多くの国民が反対し、すべての大手メディアが多くの疑問を呈する中、それでも、安倍政権、与党・自民党は、刑法上の犯罪であるカジノを有史以来、はじめて合法化したのだ。


第六章 カジノは横浜と大阪に? あの加計問題の構図と同じ


 以上、カジノについて論じてきたが、このカジノについては、全国で「上限3つまで」とされたことと相俟って、「もう、大阪と横浜で決まっているのではないか」との懸念が消えない。そう、あの加計問題と同じ構図で、獣医学部新設で加計学園しか通れない「穴」(特区)をあけたように、カジノについては横浜と大阪しか通れない「穴」をあけたのではないか、との疑惑だ。

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(横浜市へのカジノ誘致反対シンポジウム/横浜各地で阻止への運動、ムーブメントが起きている)

 その証拠に、和歌山県知事が、政府が当時「IR整備推進本部」で行っていた検討状況に、抗議の会見(一昨年5月)を開いたことがあった。「地方でペイする(稼働日数を確保できる)国際会議場を設けるのは至難の技」で、これでは地方にIR(カジノ)は誘致できないと、ルールの見直しを求めたのだ。ちなみに、和歌山県は市南部の人工島「和歌山マリーナシティ」への誘致を進めている。


 そう、政府のIRの運営ルールに関する報告(17年8月1日)や、それを受けて成立した法律、政令でも、カジノ誘致の基準で、国際会議場、展示場、ホテルなどとの「一体整備」を条件としたのだ。特に大規模な「国際会議場の併設」を義務づけることによって、需要が少ない、ペイしない地方都市を排除し、大都市、大阪、横浜に落とそうとしているのではないかとの抗議の声なのだ。


 現に、その後、制定された施行令や基本方針では、認定を受けるための前提、「規模要件」として、まず、国際会議場と展示場は、「会議場の収容人数が6000人以上の場合は、展示場を2万平方メートル以上」とするなど3種類の基準が設けられた。政府の資料によると、国内の会議場では東京国際フォーラムとパシフィコ横浜の約5000人収容が最大であり、それ以上の大規模会議場の併設が求められる。また、2万平方メートル超の展示場となると、東京ビッグサイトや幕張メッセなど5カ所程度にすぎない。しかも、その両方の要件を満たす必要があるのだ。


 さらに、ホテルの客室総床面積は10万平方メートル以上とされ、単純計算で50平方メートルの部屋が2千室必要となるが、国内の主な大規模ホテルにも10万平方メートルを超える客室総床面積を持つものはなく(帝国ホテルでも3万9千平方メートル)、客室数も平均約1500室にとどまる。


 そう、田舎や地方では、いくらカジノの収益でその他施設を支えるからといって、会議場であれ、ホテルであれ、到底、地方や田舎ではペイしない「規模要件」が規定されている。そう、あらかじめ、大都会、特に、横浜と大阪に落とすように設計されているのだ。


 既にふれたように、それは、16年末、カジノ推進法を強行成立させた背景を探ってみても自明だろう。連立与党たる公明党さえ置き去りに、公党としての意思決定の暇も与えず、自民党と維新の会が賛成して成立させたのだ。「自主投票」となった公明党は、山口代表や井上幹事長までが反対票を投じた。こんなことは従来の国会運営の常識では考えられないことだった。そこにどういう力学が働いたのか、想像に難くないだろう。


 その横浜が、私の地元なのだ。横浜は、横浜らしい魅力で臨海部開発をしていけばいい。官邸と自民党、地元財界が目論むカジノ誘致、その予定地、山下ふ頭を仕切る「横浜港運協会」も、「ハーバーリゾート構想」を掲げ、カジノ抜きの臨海部開発を訴えている。大型クルーズ客船が接岸できるバースをつくり、そこに中長期滞在型ホテルや劇場ホール、保税国際展示場を併設する。その効果は、年間来場者2000万人、経済効果2兆円、雇用規模1万人とはじいている。そう、カジノは必要ないのだ。

(社)横浜港ハーバーリゾート協会.png
(カジノ抜きの山下ふ頭開発案を、(社)横浜港ハーバーリゾート協会が提案)

(最後に) カジノ阻止のため、あらゆる手段を行使する!


 それでは、カジノ阻止のために、具体的にどういう手段、選択肢があるのか。市民の間には、既に、市長が誘致を表明し、そのための補正予算も成立した以上、既成事実として、もう今さら止められないのではないかとの声もある。しかし、それは「早計」だということを、ここではっきりと申し上げておきたい。


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(自由民権会議@神奈川(民権かながわ)は8月31日「断固反対する」とした緊急アピールを表明)

 まず、第一の選択肢としては、「住民投票」で、市民の「反対」の民意を市長に示すという手段がある。カジノ(IR)は、法律の建て付け上、市長が国に認定を申請しない限り、国(安倍政権)が勝手に設置できないのだ。そこで、市長に「翻意」してもらうために、市長に、住民による「直接請求」で「住民投票条例」を制定させ、市民の声を直接聞いてもらうようにするのだ。その「直接請求」には、横浜市の場合、約6万人の有権者の署名が必要となる。


 しかし、めでたく署名が集まり、市長がその「住民投票条例」を市議会に提案しても、その議会がまた自公の反対多数で否決、あるいは否決もせず「棚ざらし」にすれば、「住民投票」は実施されない。ただ、市長や議会が、住民の直接請求を無視すれば、それがまた、全国ニュースになり、カジノ推進派にはある程度の打撃となるだろう。


 第一の手段が功を奏さなければ。次の選択肢は「市長のリコール(解職)」請求となる。これには約49万人の署名が必要でハードルが高い。しかし、仮に、それが成功し、その後の市長選で「カジノ反対派」が誕生すれば、確実にカジノは阻止できる。しかし、失敗すれば、現市長をはじめカジノ推進派からは「民意は我にあり」と、その材料に使われることだろう。そのリスクも含め、この手段を行使する場合は、慎重な総合的判断が必要となる。


 そして、最も現実的、かつ「最後の手段」が、二年後の市長選(21年夏)で「カジノ反対派」を当選させることだ。その時に、カジノ(IR)認定手続きが進んでいても、もっと言えば、既に認定され、カジノ業者による建設工事が進んでいても、「損害賠償請求」覚悟でカジノにストップをかければ、法律上、国が強行することはできない。問題は、市民、有権者が、そこまでの「覚悟」をもってカジノを阻止するか否かにかかっているのだ。


 このように、横浜へのカジノ誘致阻止のプロセスは、二年後の市長選までを見据えた長期戦になる。そこまで、いかに市民の関心をつなぎとめ、高め、かつ、阻止への運動、ムーブメントを維持、拡大していけるか。それが極めて重要となる。そう、いずれにせよ、カジノ阻止は、「市民の力」なくして決して実現することはできないのだ。


 最後に、もう一度言う。「横浜は横浜らしい魅力で臨海部開発をしていけばいい!」。日本も「日本らしい魅力で観光立国、経済成長を目指せばいい!」。私は、政治家の前に、一国民、一横浜市民、二人の子供を持つ親、一人の人間として、カジノ阻止に向けて、全力をあげていくことをここにお誓い申しあげたいと思う。

最後に カジノは横浜と大阪に。あの加計の構図と同じ/市民を欺く市長は絶対に許さない!/「カジノ横浜誘致」を断固阻止する市民運動を起こそう!!
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