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北方領土返還を巡る日露交渉に関する質問主意書を提出しました。(2/18)

2021年2月18日 国会活動 | 活動報告 | 質問主意書 tag:

北方領土返還を巡る日露交渉に関する質問主意書


一 報道によれば、ロシアのプーチン大統領は今月、日本との北方領土交渉について「憲法に違反する行為は一切しない」と述べ、昨年七月に発効した改正憲法に盛り込まれた「領土割譲の禁止」条項を念頭に、日本の領土返還要求に応じない立場を表明したという。これが事実とすれば、今後のロシアとの交渉に重大な支障となると考えるが、政府の認識如何。

二 そのロシア改正憲法には、「国境の再画定」を「領土割譲の禁止」の例外とする規定もあるというが、政府はどう解しているか。この例外規定について、ロシア外交当局と意見を取り交わしたことはあるか。あるのであれば、この規定についてのロシア側の見解如何。

三 安倍前政権は、日露交渉における「新しいアプロ―チ」を提起したが、菅政権もそれを踏襲するのか。その場合、「新しいアプロ―チ」とは何を意味するのか。「共同経済活動」のことか。

四 「共同経済活動」自体は、何も目新しいものではなく、小渕政権時の「モスクワ宣言」(一九九八年十一月)で「共同経済活動委員会は、国境線確定委員会と並行して活動し、どのような共同経済活動ができるか検討する」旨が盛り込まれたが、結果、潰えたものである。その最大の要因は、「日ロ双方の法的立場を損なわない」ことが確保できなかったことにある。にもかかわらず、菅政権がこのアプローチを継承しているのなら、なぜ、小渕政権時にはできなかったことが、今後、できるようになるのか、説明されたい。

五 安倍前政権以降、政府は日ソ共同宣言(一九五六年)を基礎とするという方針を繰り返しているが、その意味するものは何か。あえて「東京宣言」(一九九三年)にも「イルクーツク声明」(二〇〇一年)にも触れていない理由如何。これは「二島のみ返還」を意味するのではないか。あるいは、「二島先行返還」を意味するものか。

六 ウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」(二〇一八年九月)で、プーチン大統領は「前提条件をつけずに平和条約を締結した後、すべての問題の議論を続ける」とし、領土交渉を後回しにする考えを示唆した。これで追いつめられた安倍前首相が、その後、シンガポールで開催された首脳会談(二〇一八年十一月)で「二島のみ返還」に舵を切ったのではないか。

七 そのシンガポール合意以降、安倍前首相がこの問題で頼った鈴木宗男氏のブレーンである東郷元オランダ大使、佐藤元外務省主任分析官が、口裏を合わせたかのように「二島返還+α」論(歯舞群島、色丹島は返還するが、国後島、択捉島の主権はロシアに認め、この二島とは経済的人的交流等を自由にするという案)をメディアに発信していたことがあったが、これは、当時の官邸との連携プレーではなかったのか。

八 そもそも、この日露交渉が暗礁に乗りあげた発端が、安倍前首相の故郷、長門市での日露首脳会談(二〇一六年十二月)である。この時、「共同声明」どころか、最も格下の「プレス向け声明」しか発出できず、しかも、そこに「領土」の二文字すらなかった。なぜ、わざわざ、ロシアの大統領が久々に訪日し、安倍前首相の故郷で会談したにもかかわらず、この程度の対外発表しかできなかったのか。この事実自体が、領土問題でロシア側が譲歩しないという意思を表明した証左ではないか。

九 クリミアを併合したロシア、力による領土拡大を図ったロシアに、「法と正義」が通じると政府は考えているのか。

十 このクリミア併合に対し、政府は「ウクライナの統一性、主権や領土の一体性を侵害するものであり、非難する」と表明したが、その制裁は、査証(ビザ)発給要件緩和に関する協議停止や両国間の新投資協定など三点の締結交渉開始凍結にとどめている。ロシアが北方領土を、先の大戦の結果、ロシアの領土になったと認めろと言い続け、領土交渉に誠意を見せないなら、「お百度を踏む朝貢外交」ではなく、先進七カ国(G7)を含む各国と歩調を合わせ、より厳しい措置を検討すべきではないか。

十一 今年二月七日の「北方領土の日」に行われた「北方領土返還要求全国大会」が採択した大会アピールでは、返還を求める北方四島について、「法的根拠のないままに七十五年間占拠され続けていることは誠に遺憾」と明記されている。政府も同じ認識か。

十二 最後に、あくまで「四島の帰属問題を解決して平和条約を締結する」という、歴代政権の方針に変更はないか。はっきりと答えられたい。

右質問する。

首相公邸に関する質問主意書の答弁が届きました。(2/16)
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