国民一人一人の夢を実現できる社会を実現したい

江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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本会議代表質問(1/29)

2014年1月29日 国会活動 | 活動報告 tag: ,

2014年1月29日(水) 、衆議院本会議にて、代表質問に立ちました。

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施政方針演説に対する代表質問.pdf

※今回は時間の関係上、一部質問できない箇所がございました。
 以下が、江田けんじが安倍総理へ問い質したいことの「完全バージョン」です。


施政方針演説に対する代表質問

結いの党 江田憲司


 結いの党代表、江田憲司でございます。
 

 結いの党は、昨年末結党し、はじめての国会を迎えることができました。懸案だった会派離脱問題も、伊吹議長、逢沢議運委員長はじめ各党各会派の皆さんのご尽力のおかげで認められ、衆議院では晴れて一人前の政党として活動を開始することができました。この場をお借りして心から御礼を申し上げます。


 しかし、参議院では未だ会派離脱が認められず、現行法の枠組みの下で正当に認められた政党が、憲法や法律で保障された国会活動、政治活動ができないという前代未聞の異常事態を招来しています。こうした事態を一刻も早く解消するため、参議院が院としての自律機能、自浄作用を発揮していただくことを、党の代表として強くお願いする次第であります。

(結いの党の原点・使命)
 
 さて、党名の「結い」には、ふたつの意味を込めました。


 一つは、「政界再編をめざす政党」であるという性格づけです。この「一強多弱」と言われる政治状況の中で、政治理念と基本政策の一致を大前提に野党勢力を結集し、与党・自民党に代わりうる、政権担当可能な一大勢力をつくっていく、その結節点になるという意味合いが一点。


 二つめは、「結い」に込められた「助け合い」という意味です。古来、日本には、田植えや稲刈りといった農作業に、互いに無償で人を出し合うという習わしがありました。今の言葉でいうと、「共生社会」「協働」と言ってもいいかもしれません。東日本大震災以降、国民の間には、人と人との絆や、地域コミュニティの大切さが再認識されました。その思いを体現していこうという意味も込めています。


 そして、結いの党の「使命」は、「脱・官僚」「脱・中央集権」「脱・既得権益」、この「三つからの脱却」で「この国のかたち」を変えていくことです。


 「脱・官僚」。官僚主導の政治を変えて、国民主導、民間主導にしていく、我々が目指す「民間が主役」の国造りです。「脱・中央集権」。別の言葉で言えば「地域主権」。市町村をはじめとした基礎自治体に権限、財源、人間、この「三ゲン」を徹底的に移譲し、地域のことは地域で決める。「地域が主役」の政治です。そして、「脱・既得権益」。全くしがらみの無い立場から、国民本位の、既得権益を打破する改革を断行していく。


 既得権益と言えば、その最たるものが国会議員や公務員のそれでしょう。しかし、安倍政権になって、この「わが身を切る改革」がなぜか声高に叫ばれなくなった。消費増税を決めた政権であるなら尚更のこと、国民にだけ負担を押し付けるのではなく、国会議員や公務員の定数や給与の大幅カット、天下りの根絶や幹部公務員の身分保障撤廃等の公務員制度改革、特別会計や独立行政法人を中心とした無駄遣いの解消等に率先して取り組んでいくべきでしょう。総理の見解を求めます。


 総理は、この結いの党の結党大会に長文のメッセージをお寄せくださいました。政党の離合集散を牽制されながら、「安定した政権担当可能な一大勢力たる政党となって、我が党と国家国民の為に議論することを望んでいる」。なにか巨大与党の余裕すら感じられます。自民党の皆さん、皆さんも切磋琢磨できる、自民党に対抗しうる野党がなければ緊張感もないでしょう。何なら、自民党から出てきて一緒に再編をやりませんか?自民党も含め、基本政策すら一致しない寄り合い所帯の政党を整理整頓するのが真の政界再編です。総理、何かこの点、お考えがありますか?総理は、あらまほしき政党政治や政界再編のあり方についてどのような絵姿をお持ちですか?


 また、先の施政方針演説では、「連立与党は衆参両院で多数を持って」いるが「私の信念は今なお変わらない」とした上で、「政策の実現を目指す『責任野党』とは、柔軟かつ真摯に政策協議を行」う、とされました。その上で「憲法改正」にもふれられています。これは一部報道にもあるように「連立の組み替え」を意図したものなのか、「責任野党」とは一体何で、具体的にどの政党を指しているのか、お答えいただきたいと思います。


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(特定秘密保護法の見直し)

 いまの政治状況では民主主義は死んでしまう――。私は、強い危機感を抱いています。先ほどふれた「一強多弱」と言われる政治状況のことです。これでは本来あるべき野党のチェック機能も働かない、与党の数を恃んだ暴走も許してしまう。


 私がこのことを痛感したのは、先の国会会期末、安倍政権が強引に「特定秘密保護法案」を可決に持ち込んだ時のことでした。国の根幹である安全保障や国民の知る権利という基本的人権に関わる重要法案で、多くの問題点を残し、しかも、野党と建設的な法案修正が進んでいたにもかかわらず、安倍政権は審議を打ち切ってしまいました。猛省を促すとともに、今国会では丁寧な国会運営を強く求めます。

 
 この秘密保護法制について、米国では、公文書館内に設置された情報保全監察局が、国民の申し立てにより秘密の指定を解除する強制権限を持っています。実際にもこの機関は機能していて、申し立て件数の三分の一は全面公開、三分の一は一部公開という結果になっています。日本でも、立法府、行政府ともに、事前かつ事後の、こうしたチェック機関、第三者機関の創設が必要不可欠です。今のままでは、官僚統制を強めるだけです。総理、どう見直していくつもりですか?


(心情倫理と責任倫理)

 安倍総理はここにきて、これまで隠していた「タカ派色」を色濃く出し始めたような気がしてなりません。憲法改正や集団的自衛権の行使についての積極的な発言が、最近目立ちます。そして、昨年末には突如、控えていた靖国神社への参拝もされた。この、安倍総理の靖国参拝は、中国、韓国だけでなく、同盟国のアメリカですら「disappointed」(失望した)と厳しく論評し、さらにEU等からも否定的な評価が相次ぎました。


 M・ウェーバーの「職業としての政治」に、「心情(信念)倫理」と「責任倫理」という言葉があります。私の理解するところ、前者は「自らの信念に基づき行動し、その結果は神にゆだねて顧みない。その信念自体が尊いのだ」という考えです。後者は「起こるであろう結果を想定した上で行動し、その責任を負う」という考えです。


 今回の安倍総理の靖国参拝は、おそらく「心情(信念)倫理」に基づく行動だったのでしょう。安倍さんにとっては、一度ならず二度まで総理になった以上、実現できなくて「痛恨の極み」とまで表現していた靖国参拝は「信念」に基づく行動だったに違いない。


 しかし、M・ウェーバーは、政治家は「心情(信念)倫理」ではなく、「責任倫理」で行動すべきだと説きます。私も総理という地位にある方に間近でお仕えしましたが、一政治家とは違い、一国の代表である総理は、自らの信念だからと何でも押し通すことは控えなければなりません。四囲の状況を慎重に見極め、その結果起こるであろう様々な事態も総合的に勘案したうえで、国益のために何がベストなのかを決断しなければならないのです。


 最近の安倍総理をみていると、これからの幾多の国政の課題への対処は、もう、この「心情(信念)倫理」に基づき、決断、実行していこうと考えているのでは、とも疑ってしまいます。総理、このM・ウェーバーの、政治家は「心情倫理」ではなく、「責任倫理」で行動すべきという考えに対するご見識を、あればご披露ください。


(「市場主義」と「セーフティーネット」の構築)

 次に、経済政策についてお聞きしたいと思います。


 まず、好むと好まざるにかかわらず、これからは「国際大競争時代」を勝ち抜いていかなければなりません。そのためには、国際標準の制度、ルールで戦うしかない、日本だけ異質な制度やルールを企業に押し付けることはできないのです。そう、「フリーでフェアー、オープンな市場主義」が原則なのです。


 我々は、日本経済のポテンシャルの高さを信じています。その可能性を活かすには、規制改革等の環境整備が欠かせません。法人税の実効税率の引き下げも必要です。特に、直接の競争相手、中国や韓国といった国の法人税率は二〇パーセント台前半です。したがって一挙には無理でも、重要なのは、いついつまでにどこまで下げるといった行程表をつくることです。企業は将来の見通しさえ立てば、それに合わせて計画を立て行動していきます。それにより企業立地や設備投資が拡大していくのです。総理、この段階的な法人税引き下げの道筋を示してください。その最終目標は何%においていますか?


 一方で、市場主義社会は、基本的に優勝劣敗の世界でもあります。そのまま放置しては当然、非効率な衰退産業は市場から退場を迫られ、失業者は生まれ、格差も広がってしまう。そういう人たちのために、手厚いセーフティネットを構築しなければいけません。「政治は社会的弱者のためにある」のです。


 こうした考え方、「小さな政府で大きなサービス」の良い例がスウェーデンです。スウェーデンは社会福祉大国だと言われますが、衰退する産業を潰すことも厭いません。リーマンショックで経営危機に陥った自動車メーカー、ボルボやサーヴでさえ救済しなかった。もちろん、大量の失業者も出てきます。そこで、政府は三年ほどの時をかけ、職業訓練などを行って再就職先まで面倒を見る。そういうシステムが構築されているのです。この手厚いセーフティネットの構築についての安倍政権の政策は何ですか?具体的にお答えください。


(既得権益を打破する改革)

 景気に目を移すと、これまで、安倍政権の高支持率を支えてきた「アベノミクス」も、「大胆な金融緩和」というカンフル剤が効いて、今のところ順調に推移しているようにみえます。


 しかし、四月からの消費増税(五%→八%)、成長戦略の肝である「規制改革」の骨抜き等で早晩息切れし、残念ながら、このままでは年央以降、景気は失速する可能性が高い。この春先には、これまで15兆円も買い越してきた外国投資家が先行きを憂え、東京市場で株を投げ売りするという恐い話もあります。


 それを回避し、景気を本格的に回復させていくためには、「おカネ」だけでなく、実体経済、すなわち、「モノやサービス」を動かす「成長戦略」、安倍総理のいう「第三の矢」を力強く飛ばす必要があります。そう、「規制改革」や「地域主権(地方分権)改革」を断行していかなければなりません。


 しかし、規制で守られた「既得権益」から多くの組織票や献金をもらっている安倍自民党に、その「岩盤」を打破する改革が本当にできるでしょうか。地方に権限や財源を下ろすといっても、それに身体をはって抵抗する「中央官僚」や、その背後にいる「族議員」を押し切ることができるでしょうか。これまでの自民党政権は、ことごとく、その「しがらみ」に足をとられ、改革の後退を余儀なくされてきました。安倍政権でも同様に、我々から見ると官僚主導、族議員主導の政治が頭をもたげ始めた。例えば、デフレ下における増税の強行、国土強靭化と称する公共事業のバラマキ、さらには成長戦略の肝である規制改革の骨抜き等々です。そしてその結果、国民が置き去りにされつつある。


 衆院の解散権や内閣や党の人事権をもつ安倍総理が、身を捨てて「この改革に反対するなら俺の首を取れ」という覚悟を示さなければ、岩盤規制を打ち砕くことも、地域主権改革を断行することもできません。良い悪いは別にして、小泉元総理にはその覚悟があった。それが結果的に長期政権を導いたのです。残念ながら、安倍総理からはその覚悟、気迫が感じられません。長期政権ねらいで安全運転に徹しようと思った途端に、その政権は短命で終わるのです。総理、そうじゃないとおっしゃるなら、ここで、その覚悟のほどをお示しください。


(成長戦略の肝―「規制改革」)

 そこで成長戦略の肝「規制改革」の具体策についてお伺います。


 日本の将来を切り拓く成長産業は、電力・エネルギー、医療・福祉・子育て、農業といった分野から生まれます。しかし、これらの分野はどこも規制でがんじがらめ、新規参入が自由にできない。安倍総理は、この規制改革に前向きな姿勢に映ります。官邸主導で霞が関の官僚も抑えているようにも見える。しかし、その実態は竜頭蛇尾、最初のアドバルーンは高く上がりますが、族議員や官僚の抵抗に遭い、ことごとく骨抜きにされているのが現実です。


 一つ具体例を挙げましょう。「コメの減反制度の廃止」。初めて聞いたときには、いよいよ本気で改革するつもりかと私も期待したものです。ところが、政府がまとめた「農林水産業・地域の活力創造プラン」には、「減反廃止」という言葉はどこにもない。その代わり、来年度から、飼料用米などに転作した農家への補助金を最大で三割上積みする、結果、農家の所得は一三%増になるそうです。結局、税金で賄う補助金が今より増え、農地を手放す兼業農家も減り、農地の大規模化も進まない。これのどこが改革なのか。非効率な農家まで全部面倒を見るバラマキそのものです。「かたちを変えた減反政策」と言ってもいい。これでは日本の農業は弱体化するばかりです。総理の見解を伺います。


 減反を廃止すれば、当然、コメの値段は下がります。一時的に農家の所得は減るかもしれない。しかし、採算のあわない零細農家から農地が手放されることで、農家を大規模化、集約化できる。また、これからも農業で頑張るという人には税金で減収分は補てん(直接支払い)してもいい。欧米でもやっていることです。その上で、積極的に米を作ってもらうようにすれば、日本のコメは安全で美味しいので、北京やシンガポールでも飛ぶように売れることでしょう。このように農業を輸出型の産業にしなければ将来はない。そのためには、農業の担い手に新しい血を入れていく、規制を緩和し新規参入を促進していくことです。株式会社の農地取得を可能にしたり、事実上、既存農家の協力を得なければ設立できない農業生産法人の要件(役員・出資制限など)を緩めて、市場志向型の農業へと転換していけばいい。こうした改革が進めば、農業は成長・輸出産業化できる。総理、このような農業分野の規制改革をどう進めるおつもりですか。


 電力の分野も、送電線を分離して民間に開放すれば、いろいろな会社が参入してきます。あたかも、NTTの通信回線を開放したら、いろいろな電話・通信会社が参入してきたのと同じです。そして、競争効果で料金も格段に下がった。そうした機会、チャンスさえ与えれば、地域分散型の電源開発や電力の地産地消も可能となり、それが地域の活性化にもつながるはずです。「総括原価主義」のような「親方日の丸」のコスト算定方式もあらため、競争で電気料金も下がっていけば、もう、安くもない安全でもない原発は、市場淘汰で近い将来ゼロにしていくことができると結いの党は訴えています。


 こうした電力の再編自由化に向けた決意と具体的方策、スケジュールについて、総理はどうお考えですか?また、もう安くもない安全でもない原発を、もう世界でも米国でも、原発は一番高い電源だと位置づけられているというのに、なぜ「再稼働させないと国民負担が重くなる」と言って「重要なベース電源(基幹的な電源)」と位置付けようとするのか、その理由をお聞かせください。


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(「地域主権」は日本底上げの切り札)

 次に「地域主権(地方分権)改革」について伺います。


 成長戦略にもう一つ必要なのは、地方へ〝権限、財源、人間〟の「三ゲン」を徹底的に移譲していくことです。それにより、各基礎自治体、つまり市町村が、地域の実情に応じたきめ細かい行政を行うことで日本全国が活性化していく、というのが「地域主権」の考え方です。そう、「地域主権」は日本底上げのための切り札になるのです。


 ところが、そう簡単にはいきません。既得権益を譲りたくない霞が関や族議員といった抵抗勢力がいるからです。民主党は政権末期、国のブロック機関の一部である国土交通省の地方整備局、経済産業省の経済産業局、環境省の環境事務所を地方の「広域連合」へ移管する法案を策定しました。ところが、安倍自民党政権になってから、この程度の法案でさえ見向きもしない。一体どうなったのでしょうか。施政方針演説でも、この地域主権については総論的なことしか書かれていません。総理の地域主権にかける決意と具体策、あわせて「道州制」を実現する気があるのかないのか、お聞かせください。


 国土交通省の地方整備局は、公共事業のバラマキマシーンで、まさに自民党が推し進める国土強靭化計画の手足となる組織です。いわゆる自民党の"国土強靭化族"は、十年間で二百兆円の公共事業を行うと言います。しかし、どこにそんなお金があるのか?何のための消費増税だったのか、社会保障の財源にあてるはずではなかったのか?こんなことでは、来年秋に想定されている消費税の一〇%への増税はとりやめるべきではありませんか?経済を本格的な成長軌道に乗せることの方が先決でしょう。以上、総理の見解を求めます。


 また、この全国的な公共事業のバラまきが、東北の被災地の復興の明らかな足かせになっています。資材・人材の不足、そのコストの急上昇等がその大きな要因です。総理、「日本の再生は被災地の復興から」ではなかったのでしょうか?ご見解を伺います。


(外交・安全保障―多様な脅威に万全)

 最後に、外交・安全保障についてお聞きします。


 日本を取り巻く安全保障環境は、近時、ますます厳しくなっています。テロやミサイル、サイバー攻撃等多様な脅威に対する備えには万全を期していかなければなりません。特に、北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題については、国際社会と連携して厳しく対応していく。尖閣諸島はじめ南西方面の対処も喫緊の課題です。さらに、国連によるPKOや災害救助、人道援助等にも積極的に参加し、唯一の被爆国として、核軍縮や核不拡散にも主導的役割を果たしていく必要があるでしょう。


 そうした中で、安倍政権になってからクローズアップされているのが「集団的自衛権」の問題です。この議論で危惧するのは、「対米追従」や「普通の国」「一人前の国」論といった観念論から、結論が導かれていくのではないかということです。


 この点で、我が結いの党は、「現行憲法下でまずは可能な自衛権の行使のあり方を具体化し、必要に応じて法整備」すべきだと考えています。重要なのは、まずは、今の枠組みの中で、日本自身が自ら国を守る体制、方途を整備していくことです。その上で日米同盟や国際的な連携がどうあるべきかを検討する。そういう手順で議論を進めるべきでしょう。


 その意味では、「集団的自衛権の前にやるべきことがある」、いわゆる「マイナー自衛権」と称される、武力攻撃に至らない様々な危機、事態への対処について万全を期していく必要があります。例えば、武装漁民による離島占拠や不審船による奇襲、レーダー照射への対処等の具体的ケースに即し、その効果的な対応について検討していくべきです。近年、深刻な問題となっているサイバー攻撃への対処もそうでしょう。総理、こうした「マイナー自衛権」についてのお考えと、それに万全を期す具体的な方策についてお答えください。


 そのうえで、集団的自衛権行使の可否については、まずは、「日本の防衛」及び「日米同盟の効果的運用」という観点から何が一体支障となっているのか、具体的なケース毎に検討すべきです。その上で、現行の憲法解釈で不都合があるのかどうかを慎重に検討していく。「はじめに憲法解釈の変更ありき」という立場はとるべきではありません。要は、これまで、自民党政権を含む政府の憲法解釈で、長年「個別的自衛権」と「集団的自衛権」との間に引いていた一線(ルビコン川=歯止め)をこえるには慎重にということです。


 その意味で、総理はどのようなケースが支障になっているとお考えなのか、具体的にお示しください。その上で、どうしてそれが「個別的自衛権」ではなく「集団的自衛権」でないと可能とならないのか、その理由をお示しください。大事なことは、同盟国の米国ですら、決して自衛隊と前線で戦うことまでは求めていない、せいぜい、その後方支援を中心とした協力を求めているにすぎないということを認識しておくべきでしょう。


 普天間飛行場の返還。それは、当時の橋本総理がまさに心血を注いで成し遂げたものです。こんな戦略的要衝の地を米国が返すはずがないという外務省の反対を押し切って、九六年四月、クリントン大統領との直談判で確約を取りつけました。それから一八年近く、この問題が解決していないことに、当事者の一人として誠に憂慮に堪えません。


 普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去するために、辺野古移設は万やむを得ない措置であるにしても、私は同時に、その「出口戦略」を並行して検討しておくべきだと考えます。「出口」とは、辺野古の新飛行場からの将来的な海兵隊の撤退です。その道筋を米国との交渉でつける。東アジアの安全保障環境も変化していくでしょう、それに応じて米軍再編も進んでいく、そうした中での沖縄からの海兵隊の撤退ということも、なまじ絵空事ではありません。


 総理、当時、橋本総理は、沖縄県知事と直接、十数回、数十時間にわたって膝詰め談判をしました。関係者は地べたを這いつくばって地元住民、沖縄県民との対話を重ねました。この問題は総理が動かないと絶対に解決できません。是非、この「出口戦略」を含め、この普天間飛行場の移設問題の解決に賭ける総理の決意をお聞かせください。


(むすび)

 安倍総理。結いの党は、これからの国会活動においては「責任政党」として「反対のための反対」はしない、常に国家国民の立場に立って、政策、法案ごとに是々非々で行動していきます。


 今、一番、政治に求められているものは何でしょうか?安倍政権が、既得権益を打破して、真の意味での規制改革、地域主権改革を断行し、景気回復を本格的なものにしていく、さらには社会保障制度の抜本改革にも踏み込み、国民の将来不安を払しょくしていく、本当に実行されるなら我々も全面的に支援します。しかし、それが、自民党の支持基盤、既得権益、さらには族議員や霞が関の抵抗で骨抜きになるようであれば、結いの党は、それをしっかりと質し、それに代わりうる対案を安倍政権に突きつけ、国会論戦を通じて国民の皆さんの理解も求め、実現してまいります。そのことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

代表記者会見(1/28)
代表記者会見(1/29)