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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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ブルームバーグ(7/20)インタビュー記事

2007年7月20日 メディア情報 | 新聞・雑誌 tag: ,

 

【参院選07】与党過半数割れば08年春までに衆院解散 - 江田憲司氏

 7月20日(ブルームバーグ):江田憲司衆院議員(無所属、神奈川8区)はブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、参院選の結果、与党が過半数を維持できなかった場合、安倍晋三首相が仮に続投しても2008年春までに衆院解散に踏み切るとの見通しを明らかにした。安倍首相が退陣に追い込まれる「責任ライン」に関しては「(自民党の獲得議席数が)40台前半だったら辞めないだろう」との見方も示した。インタビューは18日に行った。

江田氏は旧通産省出身の官僚だったが、橋本政権(1996-98年)で政務担当の首相秘書官を務めていた。

――― 自民党の獲得議席が橋本政権の退陣につながった1998年参院選の44議席を切ったら安倍首相は退陣すると思うか?

 「切っても辞めない。40台前半だったら安倍さんは辞めないだろう。ただ、党内では非主流派の突き上げがあるし、政界再編含みとなる。たとえしのいだとしても予算が通った後の重要法案がまったく通らなくなる。そこで解散を打つしかない」

 「なんで300議席以上あるのに解散するのかという人がいるが、それは小泉(純一郎前首相)さんの郵政解散とアナロジーで考えると分かりやすい。あの法案は参院で否決されたが解散された。参議院が反対から賛成した。インパクトはないが、あのぐらいのことをやるしかない」

 「(与党が衆院選で勝って)過半数を維持するよりも、小沢一郎(民主党代表)さんが衆院で過半数を取れなかった事実が重くなる。結局、小沢さんが参院でやっていたことは全部信任されなかったということになり、小沢民主党も下手なことはできなくなる。それを狙って安倍さんは衆院解散するしかない。解散は遅くとも来年春。政界は大混乱だ。経済への波及が心配される」

――― 安倍首相の政権運営をどう見ているか?

 「一言で言うとクレディビリティー(信頼性)を失いつつある。いろんな政策の積み重ねではあるが、政治と金の問題で、自殺するまでした大臣の後任の大臣が、同じ(政治と金に関係した)スキャンダルにまみれて、いったい官邸はどうなっているのかと」

 「年金問題でも半年以上前に(該当者が不明の)5000万件の問題を安倍首相が知ったにもかかわらず、何ら対策を講じなかった。5月になってマスコミも5000万件の問題を大きく取り上げたことで、あたふたと急ごしらえで対策を打ち上げた。国民の目から見ると官邸の危機管理能力は一体どうなっているのと。ことの重大性に対する認識はどうなっているのか、情報が官邸にしっかり入っているのか」

 「7月5日に打ち出した年金対策は今考えられ得るベストに近い対策を出している。にもかかわらず、支持率が上がらないどころか下がるというのは、これは部品、政策のコンポーネントに問題がある、なし、というレベルではなくて官邸の危機管理能力を含む政権のクレディビリティーの問題にまで来ている。だからいくら年金で矢継ぎ早に対策を出しても、なかなか国民からは信用されない、スパイラルに陥っている」

 「安倍さんはもう、臨界点を越した感じがある」

――― 民主党の状況は?

 「自民党の支持率が下がっているのに、民主党の支持率がその分、上がっていないというのは、端的に言えば民主党が受け皿足り得ていないということ。要因はいくつかある。一つは小沢さんがトップであること。いわゆる小沢さんという政治家のイメージが、国民一般から見るとアンシャンレジーム(旧体制)のいわゆる古い政治家ではないかとか、そういったイメージがまだまだ払しょくしきれていない。これがまだ、例えば前回の参院選の顔である岡田克也さんとかまじめで清新で実直で裏表もない、こういった人が民主党の顔であれば、もっと支持率は伸びているであろうと思う」

 「政策的な問題としてどうしても納得できないのは、昔のバラマキというか大きな政府に結局戻ってしまうのではないか、という懸念が今のマニフェスト(政権公約)の随所に見られる。農家の戸別所得補償制度と高速道路の無料化などだ」

 「私は戸別補償を一切するな、という立場ではない。中山間地とか、環境対策とか、自民党が言っているような集約化・合理化であるとかいったところにインセンティブを与える形の戸別所得補償という形でならまだ分かるが、まったくその道筋が分からない。なんで例外なく零細企業、零細農家に一戸、一戸、所得補償していけば農家が生き返って自給率100%になるのかまったく分からないから、バラマキとしかいいようがない」

 「高速道路を利用する人も利用しない人も無料化ということは税金で負担するということ。高速道路を使ってもない人の税金からそんなものをやるという考え方が基本的には間違っている。基本的には政府のように通行料で将来的に賄っていく方向は正しい。そういう意味で必ずしもバラマキばかりではないがバラマキの萌芽というか、財源も民主党は示しているが、いったんこういった政策の方向付けをしてしまうと今後どんどん膨らんでいく。それについては語っていない。民主党が伸び悩んでいるというのはこうした大きな政府、バラマキに戻っていくのではないかと、本当に政権を取ったときにやっていけるのか、という懸念があると思っている」

――― 小沢民主党代表のイメージは?

 「私も小沢一郎さんにあこがれた時期があって、『日本改造計画』までは心酔していたような時期もあった。民主党の代表になったときは期待も大きかった。しかし、その後の党首討論であるとか、国会をすっ飛ばして、参院選の1人区回りだと称して予算案の採決まで欠席した。何をやっているかというと業界の締め付け、労組の締め付け、あいさつ回りと称して古い選挙手法でやっている。しかも党首討論は開かない、開いてもぱっとしない。どうしたんだ小沢一郎はと」

 「昔の小沢一郎の力強さ、日本改造計画を出したときの政策的な清新さ、改革の姿勢みたいなものがこのところ選挙、選挙といって裏の人にまた戻っている。表舞台でない裏の世界で回っていく。それが払しょくできるかどうか」

 「国会の党首討論、日本記者クラブでの議論。21世紀臨調での討論。まったく精彩がなかった。やはりこの人は裏の人ではないかと、表ではなくてね。というイメージが広がった。意外だったのは月曜日(16日)のテレビ番組。久しぶりに小沢一郎を見たという感じだった。それまでは下を向いて紙を読んでいたが、真正面を見て司会者の質問にもいい答えをしていた。力強さを感じた。そういう小沢一郎像を出していければ、そうでなくても民主党は追い風なんだからもっと爆発的になる」

――― 消費税増税について?

 「消費税をうんぬんしなければ責任ある対応ではない、という議論の方がおかしい。橋本政権は消費税を5%に上げるということを1996年の総選挙で公約し、曲がりなりにも勝った。はっきり言えば、今の社会保険庁に代表されるような税金の無駄遣い、天下り、談合、こういったものがある以上、消費税の増税なんて国民に理解を求めたってとても理解されない」

 「2011年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を確実にバランスする中で消費税を上げるなんてことは考えない方がいい。国民だって10年後、 20年後に消費税が上がっていることなんて当然、想定している。ただ政治的な手順が要る。まず徹底的に税金の無駄遣いを、天下りを、談合を正す。その上で乾いた雑巾を最後の一滴まで絞りましたと言って、首相が記者会見をして消費税の増税をお願いする、こういう道筋でないと絶対理解できない。参院選で消費税を増税しますと言う方がおかしい」

――― 参院選で議論すべき政策課題?

 「年金は避けて通れないし、年金、医療、介護を含めて本当の意味で100 年安心の社会保障が議論されるべきだ」

 「政治と金の問題は大きい。しかも政党や候補者の正体を見破るのにこんないい方法はない。みんなが安倍政権に苛立っているのは結局、世間の言葉が通用しない、世間の常識が通じない。永田町・国会というのは、われわれの常識は通じないのかと。政治と金の問題について、けじめがつけられない候補者が何を立派なことを言おうが信用できない。これは国民の反応だと思うから、少子高齢化社会のいろんな対策の以前の問題として、政治と金の問題を徹底的に国民は判断材料にするだろう」

――― 政界再編を目指すというが、イメージは?

 「政界再編は今回の参院選で一挙にはできない。ただし、その第一歩というか、一里塚というか、胎動というものは必ず起こる。5年以内には必ず政界再編は実現すると思っている。場合を分けて考えないといけない。まず与党が今の情勢では過半数を割る。国民新党だとか無所属を入れて過半数を超える場合は起きない。だらだらとした今の政治が続く。(自民党の獲得議席数が)40台前半で、与党が惨敗すると安倍さんが首相であろうがその他の人が首相になろうがまったく政権運営ができなくなる。そうなると自民党は民主党まで手を突っ込まざるをえない」

 「逆に小沢民主党としては参議院で過半数を握ったわけだから、次の衆院選に向けてウルトラCで自民党の非主流派の大物議員を担いで首班指名という挙に出る可能性も否定できない。逆にいうと民主党が自民党に手を突っ込む。ましてや清和会(町村派)政権は保守亜流だという認識があり、保守本流を自称している宏池会(古賀派、谷垣派)、平成研(津島派)というところが小沢民主党と手を組んで政界再編を起こすことは十分考えられる」

 「起こるとしたら次の衆院解散のときか、一番早いタイミングは小沢さんが宏池会や平成研の中から今の非主流派の議員を担いで首班指名をやる。小沢民主党が名を捨てて自民党の非主流派を首班指名するとなれば、臨時国会冒頭から政界再編になっていく」

――― そういう可能性も?

 「ある。小沢民主党がまず参院で過半数を取る。自民党の不平不満分子は宏池会を中心にいっぱいいる。首班指名するからといって20-30人連れて行くことも考えられるし。全部仮定の話だがいくらでも政界再編の火種は与党が過半数を取らないと出てくる。逆に今回、民主党が過半数を取れなければ、民主党は分解して野党が再編される。それは明らか。小沢でも政権が取れないと思うと、民主党という旗印が賞味でなく消費期限切れになる。与党が勝とうが負けようが政界再編の火種はいっぱい出る」
 

日経新聞(7/17)「江田議員の質問が公務員制度改革を後押し」
朝日新聞(7/22)インタビュー記事「参院選のチカラ/問われる政権の信用性」