国民一人一人の夢を実現できる社会を実現したい

江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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月刊誌「WiLL」9月号に寄稿「誰も言わない大問題」

2007年9月 1日 メディア情報 | 新聞・雑誌 tag: , ,


<年金問題 政治とカネの 「誰も言わない大問題」/h4>

(月刊『WiLL』 9月号 掲載)
 私は全衆院議員で唯一人、党派性のない「純粋無所属」の議員です。米国流で言えば、「インデペンデント(独立系)」といったところでしょうか。しかし、だからこそ参院選について、また今の政治の現状について発言できることがあると思っています。
 まず現在、国民の関心が最も高い年金問題ですが、年金記録の確認、統合対策については政争の具にすべきではありません。とにかく、安倍総理が来年の3月までに5千万件の「宙に浮いた年金」を解消すると約束しているのですから、国民の不安解消を第一に、与野党一緒になって知恵を出し合い、具体的な対策をつめて、一刻も早くその行程表を国民に示すべきでしょう。できるかできないかを「ああだこうだ」と議論している場合ではないのです。
 ただ、私がこの問題で重要だと思うのは、その年金の確認、統合作業にかかる莫大な費用を、一体誰が負担するのかという問題です。
 安倍総理や政府は胸を張って、「保険料は使いません。税金でやります」と言いますが、これはおかしいでしょう。国民の負担で社会保険庁の尻拭いをするということです。
 ですから私は先の国会で、この費用賠償や責任問題について政府を問い詰めました。しかし政府は、年金の確認、統合作業にいくらかかるのかを明らかにしないばかりか、賠償や責任問題については「年金記録問題検証委員会」で今後検討すると言うばかりです。
 国家賠償法という法律をご存じでしょうか。国の公務員が故意または過失で国民に損害を与えた場合には国が賠償しますが、そこには重大なミスを犯した公務員個人に対して求償できると書いてある。今回の確認、統合作業にかかる費用や年金が給付されない人への賠償については、この法理に照らせば、まさに公務員個人に求償してもいいような性格のものです。
 「宙に浮いた年金」問題は歴代社保庁長官、職員の重大な過失ですし、杜撰な管理を知った上で放っておいたのだから故意とも言える。現在、職員のボーナスを自主的に返還するなどと言っていますが、むしろ半強制的に国が求償してもよい。
 天下り先を渡り歩いた社保庁長官の退職金や歴代厚生労働大臣の給与やボーナス、退職金の返上も必要です。小泉前総理は「そんな金ないよ」と言いますが、何も知らなかったとしても、省庁のトップというのは問題が起こった時に責任をとるために存在しているのですから返上してもらうしかない。現職にもボーナスだけでなく、給与の一部を返上してもらう必要があります。
 こういう形で賠償問題について徹底的に追求して費用を弁償させ、それでも足りないということになったらそこではじめて、国民の皆さんに頭を下げて税金で賄わせてくださいというのが筋でしょう。それなら理解できます。
 さらに、かつて保険料を流用してグリーンピアや豪華官舎、庁舎を造っています。やりたい放題でした。こういうものは全部、売却し、それで得た収入も年金問題の対策費用に充てるべきです。社保庁自ら身を切ったという形を示してもらわないと、国民は到底納得できない。  もっと言えば 、確認・統合作業をすれば戻ってくる「宙に浮いた年金」どころか、本当に「消えた年金」と言えるグリーンピアに使った3700億円も賠償しろと国民は怒って良いと思います。

●ポンコツシステム問題
 以上のような「宙に浮いた年金」の確認、統合作業とは別に、社保庁のオンラインシステムが「レガシーシステム」という旧式ポンコツシステムであるという問題もあります。
 レガシーシステムとは、最近の主流である「オープンシステム」に対する言葉で、大型のホストコンピュータを専用の回線で端末と結ぶ、極めて特別仕様の、互換性や汎用性のないシステムです。このシステムと一般的なシステムを改良するのでは、オーダーメイドの背広と吊るしの背広くらいの価格差がある。
 それに、この膨大かつ重要なシステムにバックアップ機がないという問題があります。地震、火災等で被災すれば、すべての年金記録、給付システム等の機能が麻痺することを意味します。ただ、社保庁によれば「オンライン処理の稼働時間終了後にバックアップデータを作成し、遠隔地に保管している」ので、被災等による記録の滅失は避けられるようです。
 また、なぜ24時間の電話相談に応じているのに、システムは24時間稼働できないのかも問いました。答は「現在、オンライン処理と、オンライン処理以外で使用する他のデータベースへの当該更新情報の記録とが同時に実施できないシステムとなっており、オンライン処理終了後に一日ごとに社会保険オンラインシステムを停止して、当該更新情報の記録を行っている」ためだそうです。このデータ処理のあり方にも改善の余地がありそうです。
 以上の点は、他の政府、民間システムでも散見される問題ですが、社保庁固有の問題としては、政府でも一、二位を争う厖大なデータを扱うオンラインシステムを持ちながら、社保庁にSE(システムエンジニア)をはじめとする専門家が一人もいないということがあります。
 つまり、国民の重要な厖大な記録を預かるオンラインシステムについて理解している人間が社保庁にはおらず、すべてベンダーに丸投げしているということです。社保庁はベンダーの言いなりで毎年1000億円以上のお金を彼らに支払っていた。随意契約でコスト削減努力もせず、ベンダーの言い値ベースです。そして、それを背景に、十数人の社保庁職員がベンダーに天下っていたわけです。
 さすがに、この非効率な、税金を垂れ流すポンコツシステムは社保庁もまずいと考えたのでしょう、自民党若手研究会の後押しもあって、現在、このシステムは全面刷新中です。完成の暁(平成23年度)には年間三百億円程度の費用削減が図られるということですから、しっかり監視していかなければならない点です。

●「年金偽装国家」
 ただ、より重要な問題は、年金制度を本当に「百年安心」にするための仕組み、財源の問題です。この点について、参院選の自民党案、民主党案について検討してみたいと思います。
 私はもともと持論があって、基礎年金は税方式であるべきだと思っています。ですから考え方は、たまたまですが民主党案に似ています。
 というのは、高度経済成長の時代は、人口構成上、10人の現役世代が1人のお年寄りを支えていました。この時代なら、保険料を現役世代がコツコツ納めて、お年寄りを年金で支えるという方式が成り立った。しかし、今は4人の現役世代が1人のお年寄りを支えている状態です。そして20年後には、さらに少子高齢化が進んで、2人の現役世代が1人のお年寄りを支えることになります。
 これでは保険料方式が成り立たないことは明々白々。「年金偽装国家」と言っても過言ではない。ですから、どのくらいの額に設定するかは置くとしても、基礎年金、あるいは最低保障年金と言ってもいいですが、これは税方式にするしかない。
 ただし、財源の問題があります。
 今、基礎年金の部分に17、8兆円のお金がかかります。このうち、3分の1が税金で、3分の2が保険料で充当されています。ですから、この3分の2の部分、すなわち12兆円ほどの金額を何で賄うかということです。
 民主党は、この年金財源だけではありませんが、今回の参院選で公約している農業の戸別所得補償や子育て支援、高速道路の無料化等の財源も含め、一応、具体的な財源案を提示しています。
 例えば、各省庁の個別補助金を地方に一括交付すると共通経費などの重複部分がが浮く。さらに独立行政法人や特殊法人は原則廃止または民営化するので、そこへの拠出金4兆円の大部分の税金が浮く。それから、国家公務員の人件費を削減する。一般の国家公務員は32、3万人いますが、そのうちの21、2万人は地方運輸局、地方経済産業局のような地方ブロック機関で働いています。この地方機関は、徴税や金融検査関係等を除けば、都道府県や市町村と二重行政になっているところが多く、こんなものは必要ない。そうすれば10万単位で公務員が削減できる。そう主張しているわけです。
 私も今、政府にいないわけですし、民主党も野党ですから十分精査できないのですが、12、3兆円のお金が、徹底した歳出削減で出ないとは絶対に思えません。
 また、民主党案では、高額所得者については、基礎(最低保障)年金給付の一部ないし全部を制限するとありますが、私もその案には賛成です。1200万円も所得がある人なら、保険料の掛け捨てになってもいいのではないか。それだけ人生成功したと思って我慢してもらうしかない。少なくとも私個人はそれでいいと思っています。
 政府自民党の方針は、2009年までに、基礎年金部分の国庫負担を3分の1から2分の1に上げるというものです。その財源は、定率減税の廃止や歳出削減で賄うとしています。消費税の引き上げで賄うかどうかは明言しません。そして、あとの2分の1は、引き続き保険料で賄うというのです。
 私にはなぜ、政府・与党が「保険料方式」にこだわるのか、まったく理解できません。確かに、税法式だと、少なくとも基礎年金部分については保険料徴収業務がなくなるわけですから、社保庁の存在意義が大きく減殺されるわけです。しかし、この点は、自民党も「社保庁を解体する」と言っているのですから、もはや関係ないはずです。社保庁の顔を立てる必要もないわけです。
 財源を消費税以外で捻出するには、民主党の言うように、年金制度以外のところで抜本的な改革が必要ですから、それはそれで大変なことです。そこに政権与党として、まだ自信が持てないということなのかもしれません。
 「共助」というか、世代間の助け合いという「保険料方式」の理念を失いたくないという配慮もあるのかもしれません。将来的には、消費税の年金(福祉)目的税化という財務省が反対する荒療治が必要ということもあるのかもしれません。しかし、いずれにせよ、「保険料方式」が将来的には破たんするのが明白である以上、「いつ踏ん切るか」の問題だと私は考えています。

●天下りロンダリング
 官僚、霞ヶ関というのは財務省を先頭にした護送船団です。予算や権限をバックにし、情報も集中している、その財務省を相手に闘うというのは大変なことです。
 私は橋本内閣の時、総理大臣秘書官(政治・行革担当)として、中央省庁の再編や財政改革等の構造改革を推進しました。特に当時、大蔵・金融スキャンダルが続発し、大蔵改革が焦眉の急でした。不明朗な金融行政(護送船団行政)から決別するために、大蔵省から金融行政を分離し、今の金融庁を発足させる政府決定をしたのですが、陰に陽にものすごい反発がありました。表だった政策への反対から私個人のスキャンダル探しまで大変なものでした。
 さらに、総理や政治家だけでなく、オピニオンリーダーと言われるような人のところにまで周到な根回しが行く。そうして官僚は外堀を埋めていきます。
 本間正明前政府税務調査会会長のスキャンダルにしても、もちろん本間さんの脇が甘いというのはありますが、情報を流したのは財務省と言われています。
 それから東京証券取引所は先般、その自主規制会社の理事長に元財務事務次官を受け入れましたが、これも出来レースです。東証は自主的に元次官にお願いしたと言い、財務省も全く関与していないと言いますが、そんなことがあるわけがない。
 2003年に、西室泰三氏(当時、東芝会長)は、内閣府の地方分権改革推進会議議長でありながら、財務省の意向を受けて地方への税源移譲に消極的なとりまとめをし、当時の鳥取県知事が東芝の不買運動を起こしたことがありました。それくらい西室氏は財務省と蜜月でした。東証のトップになったのも、その関係からとも言われています。その人がまた、財務省に借りを返して、元財務事務次官を天下らせたという図式です。  この天下りが決定した日は、政府が天下り人事を規制することを盛り込んだ国家公務員法改正案を閣議決定した日です。これみよがしに財務省が天下らせ、政権への示威行動をしたわけです。
 安倍総理と渡辺喜美行政改革担当大臣が必死になって行っている官僚の再就職のための「人材バンク」ができても、企業は「自主的にお願いした」と言い、省庁は「知らない」と言えば、簡単に天下れるぞ、というわけです。
 今回の東証の自主規制会社の例は、お互い「知らぬ存ぜぬ」」で行いましたが、今後はもっと堂々と天下りするようになるでしょう。例えば、東証から「こういう人が欲しい」と人材バンクにあげさせる。財務省から出向している人材バンクの職員は財務省OBの再就職斡旋を行ってはならないことになっているから、経済産業省に頼み、あらかじめ「下ごしらえ」をした人材を登録させ、マッチングさせる。
 渡辺行革担当大臣は、「自分の親元の省庁OBの斡旋はさせません。そこにはファイヤーウォールをかけます」と言いますが、同じ部屋に各省から出向した人事担当者が机を並べて座っている。自分の親元のOBは駄目だから、「じゃあ、あんたやってよ。あんたの時は私がやるから」と隣の人に言えばいいだけで、お互い利害が一致する。一種の互助会です。
 しかも、今、年間八千人の退職が霞ヶ関から出ます。八千人の人材バンクなんて自分で運営できるわけがありませんから、各省庁が下ごしらえすることになる。その時は、今までと同じように補助金や許認可などをバックにして下ごしらえするわけです。
 これは、人材バンクを通した「天下りロンダリング」とも言えます。
 ですから、私は渡辺行革大臣に「あなたは甘い。まだ本気で官僚と闘っていない」と言いたい。官僚というのは決して正面攻撃はしてこない。わからないように落とし穴を掘って、知らないうちに政治家はその穴に落ちます。
 ペーパー一つをとっても、まともに反論はしてこない。「てにをは」を少しいじるだけで、次に出てくるペーパーに繋がるように書いてきます。その行間を読まないと、特に財務省と対する時は、すぐにだまされる。
 政治家の大部分は官僚の手のひらの上で踊っているのと同じなのです。そういうことが今、まさに起こっているわけですから、天下りの根絶などほど遠いと思わなければならない。
 この点でも、「人材バンク」を設けない、天下りの全面禁止に近い案を出した民主党案の方が優れています。
 ただし、民主党案の「五年間は利害関係先には転職させない」という点はいただけない。いくら優秀な人物でも企業は五年間も待ってはくれない。自民党が「役人一生塩漬け法案」だと批判していますが一理あります。利害関係先への規制は、それにより行政を歪めることを防止するためにあるのですから、利害関係先に転職しても親元への口利き等を禁止し罰則をかければ足りるのです。

●「政治とカネ」の二重取り
 今回の赤城農相の事務所費問題への対応一つとっても、いかに国会、永田町には「世間の常識」が通用しないかを、如実に証明しました。
 事務所費、光熱水費というのは経常経費ですから、電気代、ガス代、水道代、郵便切手代などです。ですから、金額も少ないし、年度間で、議員間でそんなに変動するものでもない。だから領収書がいらなかったわけです。
 それを逆手にとって、事務所費には領収書がいらないから、「ヤバイ経費」をここに入れようと考え出した。この考え方が全く世間の常識とかけ離れているから国民は歯がゆい。
 自民党は政治資金管理団体の5万円以上の支出、民主党はすべての政治団体の1万円以上の支出について領収書を添付すると公約しています。ただ、これもドングリの背比べで、私は1円単位で公開すべきだと考えており、実際、公開しています。政治活動費はさておき、経常経費ですから、これが当たり前でしょう。
 私は政治担当首相秘書官として政権政党を支えたこともあるため、少しは「政治とカネ」の裏表も知っているつもりでした。が、その私から見ても、前農相の自殺という衝撃的な事件までが起こり、ここまで国民が不信感を抱いている中で、なぜ自民党も民主党も1円単位で公開すると言えないのか不思議でしょうがない。
 ですから、そこまで隠すのは、どんなに批判されても表に出せない経費があるとしか考えられないのです。例えば、昔ながらに支持者にタダで飲ませたり食わせたりすれば、利益供与、買収罪です。そこまでいかなくても、国会見学にバスツアーでやってきた支持者に、議員会館の地下で昼食の弁当をタダで出しても、れっきとした犯罪です。はたまた、傘下の県議や市議に盆暮れに領収書のとれない資金を渡す、そうした費用が計上されているとしか考えられない。

●「政治とカネ」を判断基準に
 しかし、この事務所費の問題などはまだささやかなものです。「政治とカネ」と言えば、国民にとってもっと大きな問題があるのです。政党助成金と企業団体献金の二重取りの問題です。これを国民は「約束違反だ」ともっと怒るべきだ。
 細川政権の時、政治改革の一環で、お年寄りから赤ちゃんまで一人あたり250円、あわせて300億円超の政党助成金を税金で導入する代わりに、政治家「個人」への企業団体献金を禁止すると国民に約束したわけです。ロッキード事件、リクルート事件と政治家のスキャンダルは、この企業団体献金にまつわるものが多かったため、少なくとも政治家「個人」への企業団体献金をやめることにした。その代わり、その不足を埋めるために政党助成金を税金で設けた。
 にもかかわらず、個人はダメでも「政党」ならOKということで、政党政治家(共産党を除く)は皆、政党「支部」を雨後のタケノコのように全国に作って企業団体献金を受け取っている。その政党支部から自分の資金管理団体にお金を移し替えれば良いわけで、完全な脱法行為です。政治家という人種は、よほど悪知恵だけは働く天才のようです。
 これを国民を欺く行為と言わずして何と言えばいいのでしょうか。税金と献金の二重取りです。しかし、もはやあきらめているのか、政治家の「政治とカネ」の感覚のレベルは、それを是正するに程遠いと考えているのか、メディアはこの問題をあまり取り上げません。残念なことです。ただ、私は、事ある毎に、この問題を今後とも提起していきたいと思っています。
 小沢一郎民主党党首の資金管理団体が、十億円もの不動産を所有している問題もありました。
 この問題を受けて、与党は資金管理団体の不動産所有を禁止する政治資金規正法改正案を成立させました。しかし、実は、現行の規正法では、不動産以外にも、金銭信託、有価証券、出資による権利など、他にも利殖できる方法が公に認められているのです。政治資金は、政治活動に充てられるから無税扱いになっているわけですから、不動産を規制するなら、これらの利殖行為もすべて禁止すべきでしょう。更なる政治資金規正法の改正が必要だと思います。
 政治にカネがかかるのは確かです。しかし、そのために政党助成金等の税金が投入されている。仮にそれで足りなければ、政治資金をガラス張りにし、企業団体献金は全面禁止し、政治家が襟を正した上で説明責任を果たし、その増額をお願いすればいい。
 数年前、自民党や民主党の若手議員が一年間でどのくらいの政治資金がかかるかを公開したことがありますが、清貧な若手政治家と言われる人でも年間五千万円くらい、自民党の中堅からベテランになると年間一億円という結果でした。
 何に使っているかと言うと、秘書が公設秘書3人を含めて十人くらいは必要という。私の場合は現在5人です。一人当たり500万円とすると公設以外の7人分の人件費が3500万円、秘書給与だけでかかる。
 それから、政策や実績を訴える後援会報、パンフレット等を刷る紙代、印刷費も必要です。私の場合は今、すべてボランティアの人が、一枚1円の紙に自家印刷して、それを配ってくれているので驚くほど安くすんでいますが、上質な紙にカラー刷りとなると一部10円近くかかる。それを10万世帯に年4回郵送すると、その郵送代だけで3200万円かかる計算になります。
 ちなみに、私は無所属なので政党助成金もありません。また企業団体献金は受け取らない主義なので、年間1700万円程度で政治活動をしています。これは議員の中でも最低のラインでしょう。私のような極貧の政治活動を皆さんにやれとは言いませんが、年間5千万円あれば足りる。  国会議員は年間、文書通信交通費を1200万円、立法事務費(会派に支給)を650万円、政党助成金は政党に属していれば1500万円もらえます。ですから、あと1000万円くらいを、個人献金(カンパ)や議員の歳費の一部で賄えば良い話で、企業団体献金がなくてもなんとかなるのです。
 それでも足りないというのは、皆、選挙が不安だから地元で秘書をたくさん雇って、自治会や業界に張りつけて陳情、口利き政治をしているからです。顔写真と名前を大書したポスターも街中に張り巡らせもする。だからおくらカネがあっても足りなくなる。そこで、変なお金も貰うようになってしまうのです。
 昔から、政治家を堕落させるのは企業団体献金です。それは歴史が証明している。全面禁止しなければ、「政治とカネ」の問題は絶対に解決しません。
 参院選で国民は何を見て投票すればよいか。私はこの「政治とカネ」だと思います。これが政治家の正体を見破る一番いい方法だからです。「政治とカネ」の問題すらけじめをつけられない政治家が、どんなに立派なことを言っても全く信用できない。私は首相秘書官時代にいろんな政治家と付き合った経験があるので、断言できます。
 ですから、事務所費は一円単位で公開する人であることがまず大前提。その次に政策を見るべきです。改革、改革と言っても、こんなに簡単な「政治とカネ」の問題さえクリアできない人が、どうしてより困難な改革ができるのか。選挙中は皆、耳障りのいい政策を言うものですから、まずは「政治とカネ」を見ることが重要です。

●「エセ二大政党制」
 なぜ私が無所属なのか。これでも約30年間、官界や政界に身を置いてきました。そのうち数年間は政権の中枢たる首相官邸も経験させていただきました。議会が政党政治であることも誰よりも分かっているつもりです。
 しかし、その政党あるいは政党政治が「ニセモノ」なのです。政党というためには基本政策ぐらい一致させてもらわなければ困ります。よく私は今の政党政治を「頭と胴体と手足がバラバラの方向に動いている動物」に例えます。頭が右と言っても、手足が左に動いて一歩も前に進めない、結果、国民本位の改革が進まない。
 小泉政権時の「郵政解散」がその象徴的事例です。時の総理総裁が、これだけはやり遂げたいという政策ですら、足元の与党から反対されて法案が成立しない。首相が伝家の宝刀たる解散権を行使しないと肝いりの政策すら実現しないわけですから、まさに政党政治の破たん以外の何者でもありません。こういうことが、国政のあらゆる分野で陰に陽に実は起きているのです。
 それでは「小泉改革」とは一体何だったのかというと、小泉純一郎という強烈な個性、すなわち「頭」だけでグイグイ強引に引っ張って、やっと二、三歩進んだ改革でした。ですから、安倍総理のようなジェントルマンが「頭」になると途端に動けなくなるのです。
 私も100%、政党は政策を一致させろとは言いません。外交や安全保障といった国民の生命・財産を守る基本政策ぐらいは一致させた「真っ当な政党政治」を確立していく必要があるのです。
 「二大政党制」にも私は賛成ですが、そのためには選挙の時に「選択肢足りうる二大政党」でなければならない。こちらに入れれば右に行く、あちらに入れれば左に行くということが事前にわかってこそ、国民の選択、選挙でしょう。今のままでは「エセ二大政党制」です。選挙の後に、その政党がどこに向かうのかがわからない、選挙の時に訴えた信条や政策を平気で変えるなどもっての他です。しかし現実に、郵政造反組の復党などがありました。
 自民党も民主党も、こうした「ごった煮」「寄り合い所帯」政党だから、誰が首相になっても、小泉さん、安倍さんと同じ、あるいはそれ以上の苦しみ、悩みを背負うことになります。それは、剛腕、小沢一郎さんが首相になっても同じことです。
 私は、冒頭申し上げたとおり、自民党、民主党どちらからも完全に等距離の議員です。無所属で色がついていないのは私だけですから、「政界のリトマス試験紙」を自負しています。企業や業界、労組から一円のお金も一票の組織票ももらっていませんから、自民党案でも民主党案でも、国民にとって良いと思うものに賛成しています。
 参院選では、とにかく勝ち負けをはっきりさせて欲しい。そして負けた方のお尻に火をつけて欲しい。大部分の国会議員というのは「我が身可愛く」保身に走ります。次の衆院選挙では自分が危ないと思わせることが、心を入れかえさせ、国民本位の政治へ向かわせる原動力となるのです。情けないことですが、今の政治家のレベルのはそんなものなのです。一番よくないのは、どちらが勝ったのか負けたのかわからないといった選挙結果です。それでは、またぞろダラダラとした政治が続いていく。
 参院選の結果が、「基本政策ぐらい一致させた真っ当な政党政治」を実現するために、少しは今の政党状況を整理整頓できる力になることを強く期待しています。


月刊『WiLL』 2007年9月号

江田けんじ「身体検査」を語る(夕刊フジ 8/24)
朝日新聞(9/12)記事「イラク給油疑惑追及へ」