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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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月刊「宝島」10月号にインタビュー記事「官僚は巧妙に罠を仕掛ける!」

2007年10月 1日 メディア情報 | 新聞・雑誌 tag: ,

宝島10月号記事 P28-29 江田憲司氏インタビュー記事
官僚経験ある江田憲司衆院議員が激白!

官僚は巧妙に罠を仕掛ける! 政治家は気づきもしない!!
衆議院議員・江田憲司
(えだ・けんじ)東京大学法学部卒業後、通産省(現経産省)入省。1994年、村山内閣で橋本通産相の事務秘書官、96年橋本内閣で総理大臣秘書官(政治・行革担当)を歴任した後、98年退職。2001年衆議院議員初当選。05年再選。

 霞ヶ関から永田町へ――。官僚経験のある政治家は数多い。だが官僚と血で血を洗うような戦いをした人物ともなると、そうはいない。江田憲司・衆議院議員(無所属)は橋本政権時代に首相秘書官として、官僚が躍起になって潰そうとした行政改革に尽力し、最強官庁・大蔵省を分割、官邸機能の強化を図った。政も官も知り尽くす江田氏に官僚たちの行う手口、そして制御方法を聞いた。

たった一言を答弁にもぐりこませてくる
 「官僚の恐ろしさは、見えない落とし穴をあちこちにつくること。政権に戦いを挑む時も表立ってはこない。一応、官僚の上司は総理や大臣ですから。そして政治家は知らぬ間にその落とし穴にはまってしまう。財務省がもっとも巧妙で狡猾です。
彼らの手口は、例えば総理や大臣の記者会見の発言メモに、自分たちに利する文言をまず潜り込ませる。だから秘書官時代の私は、彼らが作ってきた草案を眼光紙背に徹するの言葉どおり、行間まで読まないといけなかった。チェックしきれずに総理が会見で読んでしまうと、次に、さらにそれを発展させた、彼らに都合のいい結論が出てくる。気がつくと彼らの思惑どおりに事が運んでしまうわけです。
 実例をあげると97年春、大蔵省から金融行政を分離するか否かで官邸と大蔵省がもめていた時、民放番組の総理インタビューで、私が目を離した隙に、大蔵省が会見用メモに秘書官を通じ、それまで一回も使ったことのない『共生』という言葉を挿入してきた。この『共生』を認めると、次は『世界的な共生』すなわち『国際的な協調』が必要となり、さらに『国際的な整合性』という帰結が導き出される。そして、国際的には財政と金融は一体が多いから、大蔵省から金融分離はおかしいという結論にされるところでした。直前に私がそのカラクリを見破り、事なきを得たことがあったのです」
 このような手口は官僚の世界に身を染めないと見抜けないだろう。お友達で身を固めた首相の周りには、霞ヶ関を良くも悪くも取り込み、機微に渡る情報をとれる人材が見当たらない。

国家公務員改正法案は見通しが甘すぎる!
 そんな安倍内閣が参院選前に支持率アップを狙い、肝いりで立法したのが、国家公務員改正法案だ。渡辺喜美行革担当大臣が率先する新人材バンク構想で、内閣府による一元的な再就職の管理・運営を狙ったものだ。だが、これにも江田氏は厳しい。
 「人材バンクができたところで、各省庁の斡旋から内閣の一元斡旋に変わるだけ。安倍さんや渡辺さんは『バンクへの各省庁の影響力は遮断する』と言うが、本当に遮断したらバンクから人がはけず溢れてしまう。元々官僚OBが役員の公益法人や独立行政法人からは要請が来るでしょうが、今ですら各省庁の事務次官や官房長は再職先を見つけるのに大変苦労している。結局、各省庁の権限や補助金をバックに押し付けないと再就職は無理。血のにじむリストラ努力をしている民間企業から自発的に要請が来るわけがありません。
 50歳過ぎの役人を誰がありがたがるのか。役所に10年勤めたらまず使い物にならない。頭が下げられない、礼儀作法もなってない、営業もできない。何よりコスト意識がない。こんな人材を民間が引き受けるはずがない。
 渡辺さんは『経済産業省の職員を斡旋する時は経済産業省から出向する人材バンクの職員にやらせない』、これがファイアーウォール(遮断壁)だというが、子ども騙しにもならない。
目に浮かびますよ、人材バンクで各省庁の担当者が机を並べている姿が。当然、横で情報交換を行う。A省の人間が横のB省の人間に『下ごしらえはした。でも私が斡旋するわけにはいかないので、あなた頼むよ。そちらの時には私がやるから』と頼めばいいだけ。利害が一致するので互助会組織になるだけです。
 これで本当に『天下りの根絶』ができると考え推進している人は、官僚のしたたかさや習性を知らない、官僚と本気で戦ったことがない人たちですね」

青雲の志で官僚になっても管理職になると腐る
 江田氏は19年半の在籍で霞ヶ関を去った。勤続20年で退職金が2倍になったのに、だ。
「ひと言でいえば、嫌気がさした。秘書官時代、橋本総理の横で事務次官や局長の説明を聞いていた。当時は行革、省庁再編、官邸機能の強化と霞ヶ関に厳しい時代。先輩たちが何を言うかと思えば、組織防衛のことばかり。自分の10年、20年先の姿がこれか、と思うと失望感は拭えなかった。若手官僚の頃は志が高くても、管理職になる頃から陰に陽に省益を守れと指示が来る。新しい政策をつくるなら、団体を設立しそこに天下りポストを作れ、補助金を出すなら天下った人間の給料を潜り込ませろ、といった具合です。その指示を上手にこなした人間が出世する。青臭いと言われるだろうが、入省した時の気持ちを思い浮かべたらとても続けることはできなかった」
 官僚離れも進む。人事院によると、02年から06年までの5年間に天下りではない自己都合退職者は全省庁で292人に及ぶ。
「1年に60人。昔には考えられなかった数字です。最大の理由は世間からの官僚バッシング。評価が地に落ちてしまった。私が入省した頃は『日本は政治が三流だけど官僚が一流だからもっている』と言われた。そう評価されていたからこそ、月2万円で200時間の残業もこなせたし、大学同期で金融に行った人間と比べて半分の給与でも歯を食いしばって頑張れた。しかし今や官僚や官僚OBがまるで犯罪者のように扱われる。橋本政権では、ノーパンしゃぶしゃぶ接待に象徴される大蔵スキャンダル、小泉政権では外務省、最近の社会保険庁スキャンダル。世間から見たら、何様のつもりか、と怒るのも当然だろう」

霞ヶ関は誇りを持てる職場に戻れるのか
 東京証券取引所傘下の自主規制法人の初代理事長に、財務省OBの林正和氏が内定している。財務省も東証も「天下り」を否定するが、実質そうである。このように手を変え品を変え、天下りや税金の無駄使いが続くであろうことを国民は見抜いている。
「若手時代は薄給で深夜まで働き、50歳頃から天下りを繰り返す。黒塗りのクルマが毎朝自宅まで迎えに来るが、個室に入った瞬間から仕事がなく、朝刊各紙をくまなく読む――。こんな人生が幸せとも思えない。今の歪んだ人事制度が入省時の志を忘れさせ、天下り先でモトをとろうするセコい人材を育んでいるのならば抜本的に仕組みを変えるべき。実情は心もとない面もあるが、若手議員を中心に議員立法能力も高まり、官僚主導から政治主導へと変わりつつある。今後はこの先、政治家の質をもっと高めていかないといけないし、有権者の意識も上げていかないといけない」

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ニューヨークタイムズにインタビュー記事(9/14)「アフガン給油のイラク戦争への転用疑惑」
新聞各紙(10/2,3,5)に質問主意書