国民一人一人の夢を実現できる社会を実現したい

江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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毎日jpに田中秀征さんとの対談記事掲載(5/10)

2010年5月11日 新聞・雑誌 | 活動報告 tag: ,

ニュース争論:「みんなの党は本物か?(2)」
田中秀征・元さきがけ代表代行VS江田憲司・みんなの党幹事長

                                                     毎日jp 2010年5月10日(月)

立会人 普天間は?

江田 普天間基地の返還は、ご承知のように、私が橋本総理の指示を受けて動いて合意したものです。特に移設先の工法、最近急浮上した「杭打ち桟橋方式」は、当時私が立案したものです。だから突然、この案に回帰してきたことに少しびっくりしていますが、さはさりながら、鳩山首相や閣僚がここまでパンドラの箱を開けてガラス細工をひっくり返してしまった以上、じゃあ「それではまた県内で」といったって、それはある程度、冷却期間をおかなければ、誰が後任になっても難しいですよ。

 ただ一つ言いたいことは、仮に普天間を県外に移設するという時には、日本政府がオバマ政権に対し、オバマ大統領が海兵隊をちゃんと抑えられる、具体的な材料をきちんと与えてやらないといけない、ということです。橋本政権でなぜ普天間基地の返還が実現できたかというと、サンタモニカでの初の首脳会談で、外務官僚等の猛反対を押し切って、橋本首相がクリントン大統領に「普天間返還」を持ち出したからです。クリントン大統領もさるもので、その3日後にぺリー国防長官に検討を指示した。ペリーさんというのは沖縄の従軍経験があって、その実情にも詳しかったので、彼が海兵隊を抑えてくれた。駐日大使にもモンデールさんという大統領とも直接話せる大物がいて、こういう首脳レベルの連係プレーで実現したのです。

 ふりかえって、今はじゃあそういう外交をやっているかというと、やってない、まったく。もっと言いたいのは、今、オバマ政権に無理難題を言って、いったん合意した案を変更できるような状況ではないんですね。アフガンもあり、イラクもあり、大統領として海兵隊に大変な苦労をかけている中ですから。じゃあ、どうすればいいんだとよく聞かれるのですが、私なら、オバマ大統領が海兵隊を説得する、軍を説得する材料を与える。例えばアフガン協力なら、現地の警察力強化、治安維持に日本がさらに協力するとか、資金的協力をもっとするとか。オバマ大統領が核軍縮とか核不拡散の問題を本気で国際的に進めるのなら、日本がそのパートナーとしてもっと実質的な球を与えてやるとかね。

 要はオバマが海兵隊を抑えて「いやいや、いったん合意したけれども、これだけ日本が困っているから、これだけ日本も協力してくれているから、じゃあ移設先を再検討しよう」とか、こういう、外交というのは駆け引きというかバーゲニングなんですよ、もっと大きなパッケージの中でディールしなければならない。それがまったく出来ていない。とにかく「ゴミ処理施設をどこかに移しましょう」レベルのことしかやっていないというのは情けない限りです。

 みんなの党としてどうするんだと言われても、ここまで事態が悪化すると、もう白地では議論ができないですよ。そこをあえて「白地で今議論しろ」と言われれば、なるべく埋め立てみたいな土砂利権が絡んで生態系も根本的に変えるような環境破壊の案ではなく、「杭打ち桟橋方式」の方がまだ良い。やはり沖合に出して、住民の安全とか騒音を軽減できる、それから杭打ちだから、その間を海流が流れるから生態系もさほど変えない、そして、これがミソなのですが、いざとなれば撤去可能だと。基地の必要性がなくなれば撤去可能な案をもう一回追及してみたいとは思うけれども、ただ今の段階になってくると、とてもじゃない。8万、9万人の反対集会があり、県議会も全会一致で反対決議をし、名護市長も反対派に代わった。こんな状況で、「県内にもう一度」といってもそれはちょっとすぐにはできない。誰がやってもこれは。そして普天間の危険だけが残る。最悪です。それほど鳩山首相の罪は重いわけです。

立会人 なるほど。その通りだと思う。憲法と集団的自衛権の枠組みはどうか?

江田 みんなの党のマニフェストにも書いてあるように、自衛隊の海外派遣については、原理原則を定める法律を策定するべきで、そこでは、海外での武力行使はしないと明言しています。もう一つは、米国追従の、ある国が自衛戦争だと位置づけている戦争には自衛隊を派遣しない。ということはすなわち、集団的自衛権は行使しないと、慎重だということです。ただ問題は、集団的自衛権と個別的自衛権のマージナルな狭間のところがある。抜け落ちている部分。ここはね、検討すればいい。例えばよく言われるのは三陸の方で、北朝鮮のミサイルが上空に来たときに打ち落とすのは集団的自衛権だって言うけど、そんなことはないだろうと。北朝鮮がミサイルを発射したときに、それは精度の高いミサイルだったらいいけど、日本の上空を飛んでいるわけだから、いつ落ちてくるかもしれない、それは個別的自衛権の範疇に入るという議論も当然成り立つ。そういう限界事例はもっと議論しないといけませんが、基本的には集団的自衛権の行使には慎重だと。

立会人 田中さん、今の聞いてどうですか

田中 それは党内で議論して明解な姿勢を出してくれればいい。個人的な希望で言うと、度の過ぎた国家主義みたいなものには、ならないと思う、そういうものが求められていると思わないから。リベラルって言葉はあまり僕は使ったことないんだけれども、いずれにしても、きちんとした歴史認識を持ってやってもらいたい。僕は細川さんと行動を共にするときに一番時間がかかったのは歴史認識だった。それは、明確に打ち出してもらった方がいい。さきがけの綱領もそうだったけど。

江田 国政政党であるからには、外交・安全保障、そのよって立つ国家観、歴史観というものが一致しないと政党の体をなさないし、政党同士も連携できないですよ。そういう意味では、たちあがれの平沼赳夫さんに代表されるような国家主義的なお考えの方とは連携できないし、それから日本創新党にしても、中心メンバー2人が持っている国家観、歴史観っていうものは、まさに平沼赳夫さんと共通している。だからそことも連携できないんですよ。まさにここを外しちゃったら、我々が言っている政治理念や基本政策でね、政界再編をして本当の意味での真っ当な政党政治を目指すという根本のところが崩れちゃう。そこは我々しっかり気をつけないといけない。

田中 同じ新党でも93年の時とは違いがある。両方とも政治不信なんだけど、93年の場合は背景にあったのは、政治腐敗なんですよ。だが、今回は政治劣化なんですよ。腐敗より劣化の方がはるかに・・・。

立会人 罪が重い。

田中 うん、大変なことで。それは国民生活に結びついてきちゃってるもんだから、その劣化現象が。だから有権者が本当真剣なんだ。だから我々、日本新党やさきがけっていったころとは違うんですよ。新しければいい、さわやかであればいいっていう感じではないんだ。非常にその、渡辺さんの言うとおり、アジェンダっていうものに対して。

立会人 アジェンダセッティング?何を基本政策として設定するか。

田中 うん。しかも、何て言うかね。前政権の定額給付金、それから今回の現政権のバラマキと揶揄されるような政策についての支持が弱いでしょ。少ないでしょ。これだけの賢明な有権者を持っているんだよね。この判断は、新党の人たちはよく心得ておかなきゃいけないし、もう一つの大きな違いは、状況的にね、93年の場合はバブルがはじけた直後だけど、まだまだね、GDPが世界二位だとか、そういう状態にあったわけだよ。ね。それで、立て直してまた何とかなると、中国もまだ今ほど台頭してきていない。そういう状況にあったんでね。経済状況や社会状況が違うということとね。だから今回は本当にね、新党を厳しく見極めるよ。非常に厳しく。だから、新党でも作ってみるかっていうのは参院選前に淘汰されちゃう、と僕は思う。そのくらい厳しい。

江田 タレント候補を立てても、多分今度はあんまり票は集まらないと思う。それだけ有権者の目が肥えてきた。

立会人 その厳しい目に耐える自信はどうですか。

江田 それはね、もう私が憎まれ役になることです。みんなの党は組織も金もないから知名度があるに越したことはないですが、あえてそれを捨ててまで、私が悪者になって、厳しく、検査というか、ちゃんとマニフェストの踏み絵を踏ませて、しかも口先だけじゃなくてね。舛添さんの新党というのは、舛添さんとその他4人の考えが全く違うんですよ。だけど口先だけは合わせてる。選挙を乗り越えければならないから。そういうことはちゃんと見抜かないと。真贋をね。それは私の役目で、幹事長としてはね。それはまあちょっと厳しすぎるといわれるところがあるけど、そこを踏み外しちゃったら、1個腐ったリンゴ掴んじゃったら皆腐っちゃうから。

立会人 相当排除して来てるんですか

江田 もう十分排除してますよ。大変ですよ。

田中 厳しすぎるってのはさきがけの時に僕が言われたんだよ。僕一人が反対で、入れなかった人も何人もいる。ここはね、とにかくすっきりくっきりね。えって首をかしげるような人が入った途端にね、これだけ賢明でね、当時よりもだよ、厳しく見ている人から見たらね、それだけで応援する気がね、うんとゆるくなるの。だから少数であればあるほど、純化していなきゃ広がりはないよね。100人くらいになったらね、多少の石が混じってもいてもいいんだけども。これだけは気をつけてくれよ。

江田 そこは気をつけてやっているつもりです。自民党を落ちた人だけでも、もう10人以上はねてるんですよ、実はね。ただまあ、自民党で落ちたからっていうだけではねる理由にはなりません。中には何人か入れてますよ。それはね、我々のさっき言ったアジェンダの公務員制度改革を渡辺喜美さんと一緒にやってきたとかね。要は来し方を見て口先だけで判断するのではなく、我々のアジェンダ、基本政策をちゃんと当選したらやってくれそうな人っていうのをちゃんと見極めたうえでやっている。そこはちゃんと対外的にも納得する説明ができるという前提でやっています。

立会人 シングル・イシュー政党と陰口たたかれていることはどう思う?

田中 僕はいいと思う。それでいいと思う。それでいいんであって。僕は当時ね、結局寄り合い所帯だからっていうんで、政治改革関連法案挙げるための政権っていう形で細川政権を作ったんだけども、やっぱりあの行政改革政権ね、行革政権っていうものを作るような原動力になってもらいたい。

立会人 この人(江田)は官僚出のエリート中のエリート。どうですか、できると思いますか。

田中 脱官僚ってね。僕はあんまりその言葉つかわないんだけども、要するに、官僚組織の応援を受けないで政治をやっているからね。だから、そういう人たちが最近、相当数出てきたってことはいいことだ。官僚組織に向き合うっていう政治家っていうのは、組織の手の内を良く知っているからね。だから、どうしても必要な人材だね。岡田克也さんなんかもね、僕はそういう期待をしてきたんだけど。特にね、霞が関の中でもね、財務省と外務省以外は統治者意識ってないですよ。俺達が国を動かしているんだって意識は。だから、割に日銀とか通産省っていうのは、供給源になっているんだろうっていう風に僕は思ってるんだけどね。いい意味で。行政分野を動かしているんだって気持ちはあってもね、国を動かしているんだという統治者意識。これがいけないんだ。国の基本政策を左右しようとするところが問題なんだという風に思うよね。だから、事務能力とか、組織の内部をよく知っているという意味でね、官僚と向き合う、逆に言うと対決を辞さない、そういう人たちが政界に出てくることは非常に望ましいと思う。

立会人 リクルートする際に官僚であるかないかってのはあるか。

江田 別に官僚出身でもいいけど、脱藩していることが大事ですよね。私が2、3年前、「脱藩官僚の会」っていうのを作ったのもその趣旨です。我々が見ると分かるんですよ、母屋にまだお世話になっている人と、もう全然縁を切ってやっている人。だからね、官僚の手の内を知っているってことだけじゃなくて、やっぱり母屋と縁を切って利害関係がないと、だからこそずばずばとモノが言え、実行もできると。いわゆる官庁文学をはじめとしたいろいろな落とし穴、そういったものを発見してですね、それでやっぱり本当の意味での政治主導をしていくような、そういったまあ知恵袋になれるような人材はいる。別に官僚出身だけで排除しませんけど、そこは私も政府に長くいた人間だからしっかり審査してます。

立会人 秀征さんは、さきがけ作って、政界再編をして、権力を握ったわけですよね。しかし、途中で権力を失った。こうった経験から、みんなの党がこれから進む中で、注意すべきこと、配慮すべきこと、助言は。

田中 僕は大好きな高杉晋作がね、功山寺の挙兵する直前の演説に言ったと言われているね、「政治勢力というのは異論を抱え込むと弱くなる」。基本的なことだよ。そうするとその人たちに遠慮して、その問題を棚上げするようになるんだよ。民主党がそれだから。結局民主党の弱さってのは異論ばかり抱え込んだために、重要案件であるほどその意思統一を棚上げにしたんだ、選挙のために。それが全てここに来て出てるんであってね、やっぱりそれは昔からね、異論を抱え込むと政治勢力は弱くなる。

江田 そうだと思いますよ。今、既存の政治家がいろいろ擦り寄ってきますが、我々は、まさにそういう目でしっかりと見分けているし、むしろ永田町の血を入れ替えるというか、我々の本当に同志というものを作っていく。国民自体がもう既存の政治家や政党に対して辟易しているわけだから、まあいいチャンスですから、我々も多少時間がかかるんだけれども、この参院選と、来年春の統一地方選と、そして次の本番の総選挙で、異論をはさまないっていうか、同志をとにかく作り出していく、ということが我々の使命だろうと思います。だから最初言ったように、「この指止まれ再編」というのは大事なんですよ。政治理念、基本政策の軸で、それでしっかりと合致したところをね、100%一致させる必要はないけども、その背骨のところはちゃんと一致した「この指止まれ再編」をやって、真っ当な政党政治を作るということですよね。

 だから、政治の劣化とおっしゃったけど、私がもう少し別の言い方をすると、さっき言った政党政治の機能不全なんです、これはもうね。自民党、民主党ね、誰がヘッドになったって、さっき言ったように、同じ政党の中で基本政策についてさえ反対の意見の人がいるわけだから、それで足引っ張られて。誰がなったってですね、結局もう政治が機能しないっていうところまできているんですよ。政権交代は果たした、このプロセスは絶対必要だった。しかし、我々は当時から政権交代+再編って訴えてきた。政権交代後の今の鳩山政権の実情というのは、我々の結党宣言で全部言い当てているんですよ。手前味噌ですけど。読んでいただければ、公務員労組依存だから行革ができないとか、こんなにばら撒いたら財政がおかしくなるとか、外交安全保障も一致しないし、党内ばらばらで官僚につけこまれないのかとか。

 政権交代は確かに今の日本の民主主義の発展のためには不可避なステップだった。だけどこれから必要なのはプラス政界再編ですよ。政界再編っていうのは国民の目から見たら非常に迂遠なね、政治家同士のゲームみたいに見られるかもしれないけど、まさに政治の劣化、政党政治の機能不全が一番の問題になっているんだから、これをやっぱり再び機能させる。それが本当の政治主導。それをやるのが、みんなの党の歴史的使命かなと。

田中 ある意味で政治が劣化し、経済が劣化してるってのを止めがたいような感じなんだけど、僕はね、今度の参院選の時点っていうのは、土俵で言うと徳俵でね、徳俵に踏みとどまって、押し返す最後のチャンスだと思ってるんだよ。だから、今存在している新党をとにかく育てる他にないんだ。この国の政治は。老朽住宅と仮設住宅しかないんだから。これを打開していくにはね、今の新党を育てる以外にないんだ。だからうんと厳しい目で見る。置かれている条件がね、93年と全然違うし、新党でも作るかっていう話じゃないんでね。そういうところでね、やっぱり厳しくこれからね、政策もそうだし、人材もそうだしね、選択して、やっていってもらいたい。それは有権者は必ずそれに答えるよ。

立会人 江田さんは有権者の目をそんな風に感じることありますか

江田 私の選挙区(神奈川8区)は、無党派層の多い都会型のインテレクチュアルな、本当に政治を見る目は厳しいところで、もう散々鍛え上げられました。ただそういった厳しい目というのが、どんどん今全国に広がっている。地方にも広がっている。見せ掛けのパフォーマンスとか、見せ掛けの知名度、タレント、それはもう「NO」ですよ。だから、私どもの今までの候補者、予定者を見ていただければ分かるんですけど、知名度のある人はあまりいません、正直言って。ただね、今後もう続々ね、この記事が出る連休明けくらいには、東京も千葉も埼玉も決まって、後は大阪だって北海道だって京都だって、いろいろ出てきます。例えば我々は経済成長戦略ですから、若手経営者カルテットとかね、そういう人たちが出てきます。みんなの党の経済成長戦略をまさに現場で、経営者としてやってきたっていう人たちのカルテットがある。それから医療とか介護とかそういったものに精通している医療介護崩壊防止チームみたいなもの。

 それから手前味噌ですが、私とか小野次郎さん、小泉首相の秘書官だとか、中曽根さんの秘書だったとか。まあ官邸というか、政権中枢みたいなところのメカニズムをわかっている人。幹事長として売り出し方はいろいろ考えてますが、そういう意味でね、知名度はないかもしれないけど、やっぱりそれなりにちゃんと我々のアジェンダや政策を実行できるような人材を集めています。ということをやっていけばね、私は今の有権者の厳しい肥えた目は応えてくれると思うんですよ。

田中 みんなの党がね、なぜ新党の中で期待感があるかっていうと、民主党の絶頂期にそれに巻き込まれないで、暗い海に2人で乗り出していったっていうね。政治生命をかけてね、どうなるか分からない状況の中で乗り出した。この信頼感ってのは大きいんだよ。これはさきがけについても同じだったわけだよ、当時ね。だからあの当時、民主党みたいなわーっと華やかなものはなかったよ。なかったから僕は得しているのかもしれないけども、あの民主党の絶頂期にだよ、それに巻き込まれないでね、やっぱり旗を掲げてね、2人で政治生命をかけて乗り出したって。要するに、何の得にもならないことに命がけになったという信頼感っていうのがね、原資ですよ。経過を見ているんだよ。渡辺喜美さんの、江田憲司さんの今までの行動知っていて、それが最大の資産、信頼感なんだよ。だからそれに、沿わない、うん?っていうようなことさえしなかったらね、これはもう期待の星ですよ。

立会人 さきがけを彷彿とさせる感じ?

田中 今のみんなの党から比べれば非常に未熟だったなという風に。

立会人 何が一番最大の失敗でしたか?

田中 やっぱりあの、その後もそうだけど、異論を抱え込んでいったんだろうね。それともう一つは、内部にね余計な功名心を持った人間がいるとね、結局人気が落ちる度にざわつくし、そういうところあるから。そういうところ見るとね、2人のとった行動ってのは功名心があったらできない行動なんだよ。渡辺、江田の取った行動は。この信頼感。だから功名心のある人間を抱えていったら大変だよ、これから。それから今の抱えてきた候補たち、あるいは既になっている人たちまでね。色んな紆余曲折がある中で、自分の功名心で行動を起こすっていうようなことがあると困るから。だから将来的にも考えて、本当に常識人をね、選んで。指導者しっかりしてと。そしたらやっぱり徳俵に踏みとどまると思うよ、日本の政治も。

立会人 ところで、5月政局どう見てらっしゃるか。5月から参院選にかけて。

江田 うーん、いやよく分かりませんね。5月政局ねえ。まあいずれにせよ、5月末に普天間を決着しなきゃ。でなければ総理辞任に値すると思うけれど、しかし辞めてすむものでもないでしょうっていうのもあります。それだけ鳩山首相は罪深いと思いますけど。いずれにせよ我々みんなの党は、鳩山さんと小沢さんが続投しようが辞めようが、新体制になろうがね、やっぱりわが道を行くしかないと思っているんですよ。今まで本当にあっぷあっぷだった。おっしゃるように、大海に小船で乗り出す覚悟で、乗り出した途端に「のりピー」が自首しちゃって、報道でも黙殺されちゃったし。今は「たちあがれだ何だ」って、ワイドショーもニュースも新聞も連日報道してくれるのに、我々は、もう昨年8月8日結党した夕方に「のりピー」で、全然報道してくれなかった。テレビ討論にも出してくれない。それでかろうじて衆院選で300万票取って生きながらえて今がありますからね。本当に生きるか死ぬかの瀬戸際まで行って。だからね、もう我々には失うものはないんでね、おっしゃるように、功名心とか欲張りとかね、そういうものを捨てられるかですよ。だから、とにかくきれいごとじゃなくて、僕自身が純粋無所属で選挙を自民・民主と戦ってやってきましたからね、4回も。国民を信じてやれば、活路は必ず開けると思うんです。変に右顧左眄して擦り寄ったり、民主党と連立だみたいなことは言わないこと、絶対に。

田中 そうだと思いますよ。とにかくわが道を行く。立派なね、日本の政治を引っ張っていける機関車を作っていくと、そういう気持ちでいいと思います。どの車両を引っ張っていくかっていうのは余計なことだ。そんなことは後で結果的に決まっていくことだから。

立会人 参院選の結果を見て、何かいろいろ聞かれたときにはどう答えるんですか。連立するかどうかについて。

江田 これはまだね、本番に向けての一つのプロセスに過ぎないんですよ。小沢さんがやめるだ、鳩山さんがどうだ、参院結果がどうかはね。我々は参院選でホップ、来年春の統一地方選でステップ、そして次の総選挙でジャンプって明確に言ってて、ジャンプの本番の総選挙のときに、民主・自民を含めたガラガラポンで政界大再編を実現する。そのときに我々が核になって、第一極というか、政権与党になるという戦略を立ててますから。それまでの過程ではね、いろいろあるんですよ。だからそういうね、それぞれの過程にね、やっぱり基本線を踏み外すような、連携をしてみたり連立をしてみたりすることはしないと。そういうことが大事なんですよ。じたばたしないと。早急に結果は求めないと。

 だから少なくとも、参議院では我々は30~40人の候補者を立てますから、選挙区と比例あわせて最低でも10、できれば20近くに議席を伸ばしたいと思っています。そして民主党の単独過半数を阻止するというのが一つの明確な目標です。その後は、自民党はすでに融解、崩壊過程にあって、民主党は負けたことによってですね、小沢さんの求心力もなくなるし、彼が辞めようが辞めまいが、「院政力」も失ってくる。今でも小沢vs反小沢で深い溝がありますが、それがどんどん深まり表面化してくる。

 それから私に言わせれば、民主党政権は来年度の予算が組めないから、組むためには約束をもっと反故にするか、もっと借金をするか、増税するか。どんどん次の総選挙に向かって支持率はもっと下がっていくでしょう。そうすると、衆議院議員というのはね、選挙目前にしたらねお尻に火がついちゃうから。そこが狙い目ですね、そこで自民、民主含めたね、我々が核になるガラガラポン。この指止まれの政界再編が絶対できると最近確信しているんですよ。私個人的にね。つい数年前までは、同じことを言っても「青臭いだ」「バカだ」って言われましたけど、その大目標に向かって、右顧左眄せずにゴーイングマイウェイで行きます。

立会人 民主党は衆院で300議席持っているから参院でみんなの党と連立すればいいと、足りなければ公明党からもらえばいいと、民主党の小沢さんだったら多分思ってますよ。

江田 うん、そういう風なね、甘い誘惑も来るかもしれないけれども、そこはもう毅然としてね、我々のアジェンダというか、それを理論的に言ったら全部丸呑みすればやるかもしれませんが、民主党は丸呑みできないから絶対。我々のね、今出している自民党が丸呑みした我々の公務員制度改革法。民主党は公務員の労組依存だから絶対丸呑みできないし、郵政民営化だって、我々は促進だからこれもできないだろうし。経済成長戦略だって、基本的に市場経済というものをどう見るかっていう根本的な差ですから。私は今の民主党は、超大きな政府、大負担、大増税の社会主義路線だと思ってるんでね。ミッテラン社会主義政権の再来だと言っているわけですよ。だから、こういう路線と我々の小さな政府路線っていうのは違うから。だからもう民主党との連立もありえないと。

立会人 みんなの党って名称。率直に言うとさえないなと思うが。

田中 最近ようやく口から出るようになった。自分でね。最初ね、正常な感覚として、口から出なかった。恥ずかしくって。だけどそれが最近出るからね。慣れって恐ろしいね。

江田 プラスとマイナス両方あります。これほど意見が分かれる党名もない。好き嫌いも人によって激しいですしね。でも、だからこそみんなの党って皆覚えてくれたって言うのもある。あの当時のまさにね、大海に小船で漕ぎ出す嵐の中をね、ってところでは、例えば命名のベストセラーを書いた著者が、どこかの新聞紙上で、みんなの党ってのは、ものすごいインパクトのある名前で、これは票を取るだろうって投票日前に評価してくれた。300万票のうちね、やっぱりみんなの党という党名で、かなり入れてくれた人があると思います。ただね一方で、思想性がないとか、ちょっと子供っぽいとかいうのがあって。これはもういろいろあると思いますから。我々の気持ちとしては、常に国民の側に立った政治を実行していくんだという決意の表れとしてね。そういう意味をこめたつもりです。しかも改進党だ民政党だ、もう出尽くしているわけですよ、もう。当たり障りのないような名前にするよりも、もうがらっとね。まさに我々の政党というのは既成概念、既成政党の常識を覆すところに意味があるんだから、「みんなの」って「の」が助詞に入ってるなんてね。「党」に「の」が、助詞がかかっているなんていう名前ないですよ。まあそういうことで、名前についてはそういう意見があることも十分わかっております。

立会人 衆院選では自民、民主に代わる勢力になるってことですよね。第三極ではなくて。

江田 それはもう、衆院選、次の本番では政権与党になると。だから民主、自民から我々のアジェンダっていうか、基本政策に合致している人をちゃんと集めて、まあやっぱり議会政治は数なんでね、政権与党にならないと我々の政策実現できませんから。脱官僚、地域主権、実現できないですから。だからわれわれはもう次の本番に。3年後くらい。そこでもうしっかりと政権を獲るということですよ。

立会人 統一地方選もやるんですか

江田 統一選も全国でやりますよ。例えば私の地元では既に公募しています、神奈川は。もう全域で立てます、県議、市議。それからまあお陰さまでね、最近は地方選で圧勝してますから。今もう公募が殺到してますよ。応募者が。それから地方議員の中で、どんどんみんなの党に入りたいっていう人が出てきていますから。これはね、次の総選挙のためには全国に足場を作るために絶対必要なステップで、重要だと考えています。だからそれはもう全国で県議、市議をつくっていく。

立会人 渡辺さんと江田さんの両雄相並び立たず。後2、3年持つのかとの心配もあるが?

江田 それはないと思う。ちゃんと役割分担をしていますし、基本的に僕が渡辺喜美さんを立てていますから。たとえば、僕が憎まれ役で候補者選びも厳しくしているし、候補者の発表なんかは全部渡辺さんに任せている。それから渡辺さんという人はね、最初僕は二世だし、あんな重鎮の二世だから、もっと古臭いと思ってたら全然違うから。さばさばしてる人だから。ちょっとさばさばし過ぎるくらいさばさばしてる。それがいいんですよ、私にとっては。

田中 これね、菅、鳩山と違うんだよ。菅、鳩山の場合は両方ともトップになりたい。こっちは2人ともね、トップになりたいって感じじゃないんだよ。その欲ないんだよ、2人とも。本当にそう思う。

立会人 さて、ここで今日のテーマ。みんなの党は本物かっていう結論を出してもらわなきゃ。

田中 結論はまだ出ないよ。これから参院選までの間に、さっき言ったような体制を整えられるかということに尽きる。そういう方向で努力しているっていうことが認められるけども、やっぱり参院選までにね、もう少し、この混乱を収束できるようなね、信頼感っていうのを手にしてもらいたいというか、そういう期待感はあるね。

立会人の「聞いて一言」

 縦糸が田中さんの新党あるべき論、横糸が江田さんの新党作り奮戦記となり、ほどよく織り上がったのではないか。ニュース争論には、真正面から火の粉を散らす激論もあれば、補完的にテーマを深化させる対論もある。今回は後者だった。新党にとって基本政策の一致がいかに重要かを田中氏はしつこいぐらいに強調、江田氏が候補選定での徹底した政策本位の実情を報告した。後進を諭すべき田中氏がいつの間にか大応援団になっていた。新党を立ち上げた者同士の時代を越えた連帯感かもしれない。(倉重)=この争論は2010年4月28日に毎日新聞社内で収録されました。

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