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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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【週刊現代4/28号】財務省の「洗脳とメディア操作」を暴く 対談:江田憲司×高橋洋一

2012年4月23日 メディア情報 | 新聞・雑誌 tag:

(週刊現代4/28号)

財務省の「洗脳とメディア操作」を暴く
江田憲司×高橋洋一
 
 
―官邸も新聞社もこぞって「消費増税」に命をかける、そのウラとは?
 

江田
 大飯原発再稼働をめぐる政府の対応にはあきれましたね。科学的に判断すべき安全性について政治判断するとは何事かと憤っていたら、さすがに暫定(当面)の安全基準をつくると言い出したので少しはまともになったかと思ったんです。
ところが、たった2日後に安全基準ができて、さらにそのわずか4日後に、「大飯原発は基準におおむね適合している」と発表した。もうビックリですよ

 初めに結論ありきの、こんなサル芝居をやって国民を騙せると思っている神経が私には信じられない。
 
 
髙橋
  読めば一目瞭然ですが、あの安全基準は原子力安全・保安院の技官がささっと書いた、実にお粗末な代物(しろもの)ですね。
 
 
江田
  政治判断で安全性が保証されるのかと批判されて、あわてて経産省がシナリオを作ったんでしょう。不真面目極まり
ない話だし、総理や経産大臣に少しでも知見があれば、こんなサル芝居ではかえって逆効果だと思うのが普通です。

 ところが、そんなことすら気づかずに官僚の言う通りやってしまう。これはね、「おママゴト政治」ですよ。小学生並なんて言ったら、小学生が怒り出す。(削)
 
 
髙橋
  あの安全基準の中身を見ると、津波に対しての基準はあるけど、地震に関する基準はないんです。にもかかわらず
「おおむね安全」と言っている。国民の命を蔑(ないがし)ろにしてますよ。
 
 
江田
  だいたい大飯原発の再稼働が議論になるのは半年以上も前からわかっていた。それを今ごろになってドタバタして
いる。被災地のガレキ処理も昨年夏に法律ができたのに放っておいた。この政権はぎりぎりまで追い詰められた末に、
仕方ないから手をつけるんです。
 
 
髙橋
 それはね、野田さんの頭が消費増税のことで一杯だからですよ。江田さんの本の題名通り、「財務省のマインド
コントロール」が見事に効いている。
 
 
江田
  情けない限りですね。消費増税でまず私が野田さんに言いたいのは、増税したら増収になると思い込んでいることの
愚かさです。たとえば'97年に、私が総理秘書官としてお仕えした橋本龍太郎内閣で消費税を3%から5%に引き上げ
ましたけど、このときの国税収入は54兆円だった。その後いまに至るまで、この税収総額を一度たりとも上回っておらず、現在は42兆円ですよ。増税イコール増収ではなく、逆に減ってしまった。これが歴史の真実です。
 
 
髙橋
  だから、いまやるべきはデフレから脱却して経済を成長させ、それによって税収を増やすことなんですよ。増税は景気の足を引っ張るんですから。
 
 
江田
  だいいち、1000兆円もの国の借金を増税で返していけるはずがない。単純に計算すると消費税400%分ですよ。
だから、5%増税なんて「焼け石に水」です。つまり、1000兆円の借金を持続的に返していくには経済成長するしかないわけです。
 
 
髙橋
  借金が1000兆円もあるというのも、財務省の巧妙な洗脳ですしね。
 
 
江田
  そうそう。'09年度の国のバランスシートを見ると、確かに負債(借金)が1100兆円もあるけど、資産も800兆円近く
あるんです。ですから、純債務はざっと300兆円。トヨタだって19兆円の負債がありますが、同時に30兆円の資産が
あるし、ソニーだって10兆円の負債に対して13兆円の資産がある(いずれも'10年度末)。ところが、財務省は資産の
ことには口をつぐんで、「GDPの2倍も借金がある」と騒いでいる。
 
 
髙橋
  純債務で見ればGDP比は70%程度ですから、財務省は意図的にミスリーディングしているんです。
 
 
江田
  予算委員会でこれについて質問したんですよ。「野田さんは所信表明演説で、いま生まれてくる赤ちゃんはみんな
700万円の借金を背負っていると言われたが、同時にその子は500万円の貯金通帳を持って生まれてくるんですよ」と。そしたら安住淳財務大臣が何と言ったか。「いや、赤ちゃんは貯金通帳を持てませんから」って(笑)。
 
 
髙橋
 アズミンらしいね。
 

江田
 もう笑うしかなくて、それで質問するのもアホらしくなってしまって。

資産の話を続けると、日本の海外資産は252兆円で、これは世界最大。それから個人金融資産は1500兆円弱
ですけど、国や企業が持っている金融資産を全部合わせると5600兆円にのぼる。さらに経常収支は17兆円の黒字で、外貨準備高はどんどん膨れて、いまや100兆円ですよ。

 これだけのファンダメンタルズがありながら、財務省は増税しないと国家破綻するかのようなプロパガンダをする。
本当に悪質です。
 
 
髙橋
 同感です。中でも酷いのが、消費税を上げれば景気が良くなるというデマ。集めた税金を国が上手に使うから経済が
活性化するというんですが、いままでの失敗を棚に上げてどの口が言うんだか。ところが野田さんをはじめ、増税推進派の政治家はこのデマを信じ込んでいる。財務省のマインドコントロールここに極まれり、ですね。
 
 
江田
 では、なぜ財務省が増税したがっているかというと、端的に言えば、かつての栄華をもう一度ということだと思う。
つまり、自分たちの差配するおカネを増やして権限を強めたい、天下り先も増やしたいと。

しかも厄介なのは、財務官僚がそうやって財務省支配を強化することは日本のためになると本気で思い込んでいること
だと思うんです。なにしろ受験競争で勝ってきただけのKY連中の集まりだから、本気でそう思っている。これが実に始末が悪い。この分析、どうですか、財務省OBの髙橋さんとしては。
 
 
髙橋
 図星だと思いますよ(笑)。だって、財務官僚は「我ら富士山、他は並びの山」って、入省したら最初に教え込まれるん
ですから。実際、財務省の課長は他省の局長を平気で呼びつける。課長が受ける接待も、よその局長並み。ランクが1段
違っていて、それが当然だと思っていますよ。
 
 
江田
 予算折衝の時なんか主計局次長が他省の事務次官を呼び出すんだら、2ランク差ですよ。加えて、財務官僚が普段
つきあう相手は役人ばかり。経産省なら民間企業の人と会う機会も多いけど、財務官僚は他省の役人が持ってきた予算をぶった切るのが仕事だからね。そういう連中に、これからの日本の将来を切りひらくイノベーティブな政策を立案しろと
いうのは、どだい無理な話なんですよ。
 
 
髙橋
 本来、国の財務をあずかる者はマクロ経済に通じているべきですが、財務省はほぼ全員が「アホウ(法)学部」出身
だから、経済はもちろん、数学なんてチンプンカンプンな連中ばかりですよ。
 
 
江田
 しかも彼らは、自分たちの論理を官邸や他の省庁にまで押し通そうとする。私が役所にいたころも、翌年の経済成長率の予測値をめぐって、いつも財務省とケンカになるわけ。結局、経企庁が双方の中間をとって決めるんだけど、とにかく
財務省は経済成長率を低め低めにしたがる。高くすると、達成するのに財政出動が必要になるからイヤなんですよ。
基本的に財務省は経済成長が嫌いなんだ。
 
 
髙橋
 それはこういう理屈なんですよ。経済成長率を高く見積もると、税収も増える計算になるから、よその省庁からもっと
よこせという要求が強まる。これを避けたいんです。財務省としては、限られたおカネを配ることで力を見せつけたい。
もしも予想より税収が増えたら補正予算を組み、追加でバラまくことで恩を着せるわけです。これが基本スタンス。
そのためには経済成長率が高めだと具合が悪い。そういうケチな話でしてね。
 
 
江田
 年度末になると、決まって埋蔵金が出てくるのも、同じ理屈ですね。
 
 
髙橋
 そう。カネがない、ないと言っておいて、いよいよ出さざるを得ないとなると、恩着せがましくカネを出す。この恩着せ
がましくというのがポイント。
 
 
江田
 そうやって自分たちの権力を高めていくと。
 
 
髙橋
 他の役所に恩を売り、その見返りとして、特殊法人ができるとそこのポストをひとつもらう。それで財務省は、すべての
省庁の特殊法人に天下りしているわけ。要するに財務省がやっていることは、国家財政の私物化ですよ。
 
 
江田
 さらに財務省支配はIMF(国際通貨基金)にも及んでいて、あそこの副専務理事のポストは昔から日本の財務官僚が
就くことになっている。つまり、財務官僚の意向がワシントンのIMFを通して日本に通達されるという仕組み。日本は外圧に弱いから、財務省はそれをうまく利用して日本をコントロールしているわけですね。
 
 
髙橋
 江田さん、IMF本部の副専務理事室に行ったことあります? 私は官僚時代によく行きましたが、あそこは日本語が
公用語なんです。スタッフは全員が財務省からの出向だから、受付で「ハロー」と挨拶する以外は、日本語でOK。
 
 
江田
 えぇ~、そうなの?
 
 
髙橋
 だから日本人記者にとっては重宝なんです。日本語で取材できるし、IMFの分厚い資料を要約した日本語訳まで
用意してくれる。で、財務省のポチが生まれるという寸法です。
 
 
江田
 そういう財務省の手にかかれば、政治家を落とすのは簡単です。とくに、これといった思い入れのある政策もない野田
さんを落とすのはラクだったでしょうね。 野田さんのような国家主義的な思考の政治家は、思い込んだら天命だと考えて
しまう。彼の言動を見ていると、あ、この人、本当に思い詰めちゃったなと思いますよ。総理としての自分の天命は消費
増税をやり抜くことだと、みじんも疑っていない。だから予算委員会で増税の話になると、それまで虚ろだった目をパッと
見開く。あとのことは関心なし。
 
 
髙橋
 北朝鮮のミサイルが飛んでこようが、「よきにはからえ」。
 
 
江田
 その、よきにはからうのが田中直紀さんというのが、これまた困った話なんだけど(笑)。

 でも、野田さんや安住さんの場合、もともと確固とした考えがあったわけじゃないから、マインドコントロールというほど
立派なものじゃなくて、財務省が白地のキャンパスに自由自在に絵を描いたということかもしれないですね。
 
 
髙橋
 さっきIMFの話をしましたが、財務省に支配されているのは、政治家だけじゃなくてメディアも同じですね。

日本経済新聞なんか言うまでもないけど、最近は朝日新聞も社説やコラムを総動員して増税を応援している。増税
イコール増収と完全に誤解している記事もあった。財務省から言われたことをそのまま書いたんでしょうね。あんたは
給料を財務省から貰えよと言いたくなる。
 
 
江田
 朝日と言えば、今年の正月早々に、東京三菱UFJが国債暴落を前提にした危機管理対策を策定したと1面トップで
報じていましたよね。同様のシミュレーションは他のメガバンクが何年も前からやっているのに、それをあんなふうに
大々的に報じる。あれを見た読者は、いよいよ国債暴落が起きるのかと思いますよ。これも財務省のマインドコントロールに乗せられた一例でしょうね。
 
 
髙橋
 財務省がメディアを封じ込めるのは実は簡単で、国税庁を動かせばいいだけのことなんですよ。実際、朝日新聞や
東京新聞にも国税の調査が入ったようですが、国税が何を調べるかというと、記者の交際費です。いつ、どこで誰と
会ったか、領収書などをもとにして店や取材相手などの反面調査をやっていく。すると、伝票と食い違った事実の一つや二つ見つかるんです。プライベートで使った証拠だって出てくる。そして、それでアウトです。

 テレビ局のキャスターを落とすのも同様で、これをやられたら、テレビで財務省に対して威勢のいいことが言えなく
なってしまう。
 
 
江田
 まあ、財務省は一国の総理大臣をパペット(操り人形)にするくらいだから。いや、財務省は野田さんのことをパペットとも思ってないみたいですよ。これは本にも書きましたが、政治評論家の福岡政行さんが財務省幹部から、野田総理の
パペットについて「あれは、操り人形ではなくて、〝パーなペット〟という意味です」と言われて驚いたという話が
あるくらいで。
 
 
髙橋
 それで結局、この増税法案の見通しについて江田さんはどう見ますか?

江田
 多少の紆余曲折はあるにしても、野田さんも自民党の谷垣禎一総裁も同じ運命にある。つまり、9月に民主党の代表選と自民党の総裁選があり、野田さんは増税法案を通せないとクビだし、谷垣さんは解散させられないとクビ。ですから
表向きはともかく、これから民主・自民の増税大連立という流れになっていくでしょうね。
 
 
髙橋
 いや、もう手を組んでいるじゃないですか。先日、自民党がマニフェストに「当面、消費税率10%」を明記すると
発表した。そしたら、さっそく安住財務大臣が「高く評価する」だって(笑)。これじゃ、もう完全に表談合ですよ。
 
 
江田
 つまり、自民党も財務省のパペットなんですよ。野田さんはとても人柄のいいジェントルマンだけど、体の芯から財務省の言いなりです。
 
 
髙橋
 財務省から見たら、野田さんも谷垣さんも双生児なんですね。コピーみたいなものだから、あの二人が入れ替わっても
わからない(笑)。

それにしても、昨年の3・11以降、いろんな意味で国民の意識は変わったと思うんですけど、こうしてみると、政府も官僚も電力会社も以前のままで変わっていないですね。
 
 
江田
 たとえば、原発を止めると電力不足になると相変わらず言われているけども、昨年夏に官邸で開かれたエネルギー環境会議では実は6%の余裕があるという試算データが出ていたんですよ。ところが、このデータはまずいというので隠されてしまったんです。
  
 
髙橋
 電力需給については、たとえば夏場のピーク時だけ付加料金をつけることで電力需要を抑えるやり方もある。料金が
高くなれば使用量が減る一方で、特定規模電気事業者(PPS)など売電する側は供給を増やすだろうから、計画停電
なんかする必要がなくなると思う。

 
江田
 かつて日本人はオイルショックの危機を徹底したコスト削減と世界一の省エネ技術で乗り切った。今回の電力・
エネルギー問題も、われわれの底力で乗り切らなきゃいけない。

 問題はそのときに、いろんな規制が手かせ足かせになって何もできないことですよ。電力・エネルギーだけじゃなく、
福祉も農業もみんなそう。規制を撤廃するのにおカネはかからないのに、それがなかなかできない。
 
 
髙橋
 政治家というのは、票とおカネの既得権益を守ろうとするからね。
 
 
江田
 そういう構造に加えて、いまは政治が思考停止状態だから官僚の言いなり。はっきり言って、野田政権は財務省に政権運営を任せないと1日たりとも機能しなくなっている。民主党は基本的な考え方すら真逆の人たちの寄り合い所帯の
うえに司令塔がない。しいて全体を見て調整できるとしたら財務省です。したがって、政権運営を任せている以上、
野田さんは財務省の機嫌を損ねるようなことはできない。きわめてわかりやすい構図です。
 
 
髙橋
 私の見るところ、いま世の中を動かしているのは、増税三兄弟だと思う。野田さんと谷垣さんと財務事務次官の
勝栄二郎さん。
 
 
江田
 で、誰がいちばんお兄ちゃんなの?
 
 
髙橋
 そりゃあ、勝さんでしょう。その下に双子の野田さんと谷垣さんがいるわけです(笑)。
 
 
以上
 
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