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経産省若手プロジェクト 空回りしないためには 日本経済新聞 電子版

2017年6月14日 新聞・雑誌 | 活動報告 tag:

 「『シルバー民主主義』を背景に大胆な改革は困難と思い込み、誰もが本質的な課題から逃げている」。経済産業省の若手30人による叫び声にも似たこんなリポートが話題になっている。「一律に年齢で『高齢者イコール弱者』とみなす社会保障をやめ、働ける限り貢献する社会へ」。霞が関の政策立案の現場に漂う閉塞感に正面から向き合って声をあげた彼らに、ツイッターなどで賛否が飛び交っている。

 霞が関の主要プレーヤーである経産省の仕事は「課題の指摘」だけでなく、利害調整をしたうえで「課題の解決」に向かうこと。若手の声を具体的な政策に落とし込むには、何が必要なのか。経産省の雰囲気をよく知るOBならうまく解説してくれるだろう。旧通産省出身で民進党代表代行の江田憲司氏と、2003年に省庁の同期メンバーと「プロジェクトK(新しく霞が関を創る若手の会)」を設立し、現在は青山社中(東京・港)で人材育成や政策提言に携わる朝比奈一郎氏に聞いた。

江田憲司・民進党代表代行

■首相官邸を巻き込んで情報発信を

――今回の若手提言をどう評価しますか。

「基本的な方向性は良いと思う。こうした提言を行うこと自体がよくも悪くも『経産省的』だ。実は経産省が法律も含めて明確な権限を持つのは資源エネルギー庁が所管するエネルギー分野と、中小企業庁が担当する中小企業政策ぐらいだ。予算と税を所管する財務省や、医療・年金・介護などを所管する厚生労働省と比べると、政策への権限は弱い。となると経産省は、他省庁の施策に口を出すシンクタンク的な機能を果たすしかない。こうした発信をしていかないと、昔からある『経産省不要論』が出かねない」

――常に情報発信をし続けないと、存在意義が問われかねないということですか。

「経産省は国内外の企業や他省庁にネットワークがある。オールジャパン、マクロの視点で物事が見られているという強みがある。そうした省庁は意外に少ないし、そこを発信していけばいい。ただ血気盛んで主張が空回りするのも特徴だ」

――今回の提言は空回りしてしまうのでしょうか。

「そうとは限らない。経産省の提言は良くも悪くも、使い勝手がいい。政権がうまく活用すればいい。経産省だけで提言を実現しようとすれば、他省庁との摩擦が起きるが、強い権限を持つ首相官邸が必要に応じて取り込む流れができればいい。官邸には今井尚哉首相秘書官や長谷川栄一首相補佐官な経産OBがおり、ネットワークはある」

朝比奈一郎・青山社中筆頭代表

■具体的な政策に踏み込め

――十数年前、若手提言をまとめました。

「私たちのときのものと、いくつかの違いを感じた。1つは内容についてだ。我々は提言を書籍化し、人事、政策の新評価制度を提示した。政府に総合戦略本部をつくり、予算編成を効率化することなども訴えた。今回の提言は具体的な政策をどうするかという点で、少し踏み込み不足の感がある」

「もう一つは検討チームの陣容だ。私たちは財務省や厚生省など他省庁の同期にも声をかけ。『オール霞が関』の枠組みをつくった。そうしないと『また経産省が』という冷ややかな空気になりかねないからだ」

――他省庁など外部の有志を巻き込んだ動きが必要になるということですね

「次のステップとしてそれが重要になるだろう。『その意気やよし』のプロジェクトなので、ぜひ外部との接点を増やして、深堀りしていってほしい」

(辻隆史)

日本経済新聞社 電子版 2017/6/13
経産省若手プロジェクト 空回りしないためには

【月刊文藝春秋/新年特大号】江田けんじのインタビュー記事が掲載されております。