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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区)

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【週刊金曜日】佐高信氏と江田けんじの対談記事が掲載されました。

2016年1月20日 メディア情報 | 事務所からのお知らせ | 新聞・雑誌 tag:

週刊金曜日に、佐高信氏(評論家/週刊金曜日 編集委員)と江田けんじの対談記事が掲載されました。皆様どうぞご一読下さい。


対談 安倍政権を動かす「霞が関の嫌われ者」


安倍政権を牛耳るのは経済産業省だ、という見方がある。しかし、元通産官僚で、橋本龍太郎総理の秘書官を務めた江田憲司衆議院議員は「そうではない」と言う。一部の経産官僚が強い力を持っているのは事実だが、経産省には豪腕の"ヤクザ"がいなくなった、というのだ。評論家の佐高信・本紙編集委員が話を聞いた。


佐高 作家・城山三郎さんの「官僚たちの夏」(新潮社)に出てくる風越信吾こと佐橋滋(1913~1993年)は、直線的に進む人でした。江田さんも元通産官僚ですが、佐橋という人間をどんな風に見ていますか。


江田 佐橋さんは僕らの世代の通産官僚にとって伝説の人でした。無定量で無際限、泥臭い官僚だったと思います。僕らの世代は「官僚たちの夏」を読んで、通商産業省(現経済産業省)の入省試験を受けた奴らばかりですよ。


佐高 そうでしたか。

「官僚たちの夏」には風越と同期入省の玉木という人物が出てきます。原綿輸入の自由化推進派で、この点で風越と激しく対立しました。ご承知の通り、玉木のモデルは元通産次官の今井善衛(1913~1996年)です。

安倍晋三首相の政務(筆頭)秘書官、今井尚哉(1982年、通産省入省)は善衛の甥っ子にあたるそうですね。

安倍政権の経産省主導


佐高 もともと霞が関では大蔵省(現財務省)が政治に一番近い存在でした。しかし昨今、今井尚哉が安倍官邸を動かしていると指摘されるところをみると、大蔵省・財務省支配の時代は終わったとみていいのでしょうか。

橋本龍太郎内閣(96年~98年)で江田さんが政務秘書官を務めた時期を起点に、官邸の様相が変わったように見えます。


江田 今井尚哉さんは通産省で私の3年後輩にあたるので、よく知っています。官邸にはもうひとり、私の3年先輩にあたる長谷川榮一内閣広報官(76年、通産省)もいます。

経産省出身の二人が安倍政権の中枢にいることで、安倍政権は経産省主導だという指摘が方々でされるわけですが、私も事実だとは思います。ただ、構造的なものではありません。

私はハシリュウ(橋本総理)の秘書官を務めていた時も、大蔵サイドからは「通産帝国論」などと揶揄されました。当時私がいたポジションに現在は今井尚哉がいる。だからまたそういう指摘がなされるのだと思いますが、私は今でも大蔵省・財務省支配が続いていると見ているんです。

財務省というところは日本株式会社の経理部にすぎない。会社には確かに経理部が必要です。しかし会長、社長、副社長、専務、常務など枢要なポストをすべて経理部出身者が占めている会社って、どうなんでしょうか。それは堅実かもしれないし当面は安定するかもしれない。だけど、日本みたいに高度経済成長の時期を通り越して、それなりに成熟し、これから人類が経験したことのない未来を切り開いていこうとしている国では経理部ではなく、企画部とか研究開発部が元気でなければならないと私は思う。

安倍首相の大蔵省嫌い


江田 にもかかわらず、高度経済成長期が終わった90年代以降も、霞が関や永田町を取り仕切っているのは相も変わらず大蔵省でした。これに私は大きな違和感を抱いたのです。

大蔵省の仕事は予算の査定だけじゃない。税制、国税の査察、当時は金融まで握っていました。これではとてもじゃないけれど、ほかの省庁や政治家が束になったって太刀打ちできない。みんな大蔵省のお世話になるわけですから。

たまたま90年代には大蔵官僚の過剰接待、ノーパンしゃぶしゃぶスキャンダルなどが明るみにでて大騒ぎになりました。世間の大蔵省への厳しい目がある中で、私は不明朗な金融行政をぶち破ろうと思って、誰もやろうとしなかった財金分離(財政と金融の分離)に取り組んだのです。


そもそも私は「大蔵省」という名前からおかしいと思っていました。大蔵という蔵に、民とも思わぬ民から搾取した穀物や反物を収納していたのが大蔵の意味でしょう。なぜこの時代に大蔵という呼び名が残っているのか。この名が大蔵官僚たちの誤ったエリート意識を下支えしているんだと私は主張したんです。

それで「財務省」という名前に変えたわけですが、ネーミングしたのは私でした。

もちろん「大蔵省解体」には、それまで大蔵省と二人三脚でやってきた自民党の重鎮たちがこぞって反発してきましたが。

安倍首相にお会いした際にこうした過去の話をしましたら、身体を乗り出して「いやあ江田さん、よくそんなことできましたね」と言ってきました。その時、安倍さんはやはり大蔵省が嫌いなんだなあと思ったものです。

インベーダー官庁


佐高 財務省というのはスタティック、静態的ですね。経理部長が倒産した会社や銀行に入って、うまくいった例はありません。

一方、経産省はというと下剋上的でダイナミックです。この国の原理はスタティックなものからダイナミックなものへと変わりつつあるということでしょうか。


江田 よく言えばそうなるのかもしれませんが、経産省にはレゾンデートル(存在意義)がないんですよ。財務省には予算や税制があり、厚生労働省には社会保障や労働行政などがありますが、経産省にはない。

確かにかつてはインダストリアル・ポリシーの時代がありました。急激な円高で困っている業種や、オイルショックで原材料費が高騰してあえいでいる業種を指定し、補助金や税制でサポートしたり、独占禁止法のカルテル除外をやったりという手法で、通産省が特定の業界を支えるんです。そんな風に役所が経済に介入する時代があったのですが、こうしたターゲティング・ポリシーは米国など海外から厳しく批判され、もうやらないことになっています。

現在の経産省について、私はよく「他人のふんどしをしめて、他人の土俵に上がって闘っているようなものだ」と表現しています。だから通産省、通産官僚は他の省庁からよく嫌われる。

田原総一郎さんが「新・日本の官僚」(文春文庫)という本の中で通産省のことを「インベーダー官庁」と書きました。よってたつ基盤がないから、他の省庁に土足で上がりこんで、その省庁にあるツール、ふんどしをしめて闘う―― そんな通産官僚たちの姿がインベーダー(侵略者、侵入者)に見えたのでしょう。

グローバリゼーションの拡がりで経産省の活躍の場が増えているような印象を抱きがちです。しかし実態はどうか。TPP(環太平洋経済連携協定)や中国の台頭で知的財産権の保護が重要課題に掲げられていますが、知的財産の分野を所管しているのは文部科学省です。商法上で企業政策、産業政策をやろうとしたら法務省になります。独占禁止法を持っているのは公正取引委員会でしょう。

ことほどさように、経産省にあるのはせいぜいエネルギーと特許くらい。日本の産業は発展し、成熟しました。経産省が動くべき場は減っている。昔は「行政指導」がありましたが、今の経産省には基盤と政策ツールがほとんどないのが実情です。

しかし、政権にとっていちばん使い勝手がいいのも経産省です。彼らはよく勉強しているし、民間企業や研究者とも頻繁に接触している。オープンマインドで、素早く問題点をとらえ、政策提言ができる。こんなに使い勝手のいい政策集団はありません。

それが今はたまたま今井尚哉であり、長谷川榮一であり、菅原郁郎事務次官(81年、通産省)らだということです。彼らが安倍政権にアイディアを出し、政策をつくっている。良い悪いは別にして、一億総活躍なんていうのは昔ながらの通産省の発想です。

経産省にレゾンデートルはない。けれど、求められれば政権にアイディアを出す。そんなシンクタンクのような存在なんです。


佐高 でも本来、役所のありかたってそういうものじゃないですか。自分たちが前面に出ることはせず、民から求められた時にだけ出ていく。極端な話、なくなってもいいというのが本来の役所、官僚のありかたなんじゃないかと私は思うわけです。その意味では、大蔵省は前に前にしゃしゃり出てくる役所ですね。


江田 いちばんしゃしゃり出てくる役所です。ただね、受験戦争を勝ち抜いて東大法学部に入り、司法試験もパスし、役所相手に予算を査定してきただけのような人たちがこれからの国際大競争時代に対応できるでしょうか。

政治主導の意味をはきちがえた民主党


江田 私が通産省に入省したのは79年でした。日本経済団体連合会の元会長で、ミスター日経連と呼ばれた櫻田武さんが「この国は政治は三流だけど官僚は一流だ」と言ってくれた時代ですよ。

ただ、私は確たる問題意識を以て通産省に入ったわけではありませんでした。公益というか、少しでも国民の役に立ちたいと思った時、脳裏に浮かんだのは政治家ではなく官僚だったのです。
 それこそ誤ったエリート意識と見られるかもしれません。自分たちが法律を作るのだという気負いもありました。

だけど、佐高先生がおっしゃるように官僚が前に出ようとするのはおかしいんです。本来は政治がもっとしっかりしていなければいけない。官僚は、政治が作った法律を粛々と執行する行政官にすぎないわけですから。


佐高 民主党政権のふれこみの一つが「政治主導」でした。でも、私なんかからすると、あれは財務省主導に戻っただけのように映りました。それで失敗した。


江田 民主党政権は政治主導ではなく「政治家主導」でした。政治主導というのは、簡単にいうと内閣総理大臣主導です。民主国家において選挙で選ばれた代表が総理大臣である以上、民主的正当性を持った総理大臣が主導していかなくてはならないんです。日本丸の船長は総理大臣なのですから。

民主党は政治主導の意味をはきちがえ、官僚に任せていい部分まで政治家がやろうとしました。大臣や副大臣が電卓をたたいて計算していたなんて話もあるくらいです。立ちゆかなくなるのは当然でしょう。

結果的に財務省に主導権を握られ、消費税増税の道筋をつけてしまいました。菅直人政権が失敗の象徴でした。


佐高 菅直人とは20代の頃からの付き合いですが、あんなに易々と財務省に取り込まれるとは思いもよりませんでした。


江田 私も菅さんとは長い付き合いですが、佐高先生と同じ印象を抱きました。あんなに軽々と財務省にもっていかれるとは。

しかし、官僚が何かを為そうとする時の"絨毯爆撃"はそれだけ強力でもあるのです。

特に財務省の根回しはすごい。墜とすべき人間のリストをつくり、その人の係累、親戚、縁者、これまでの仕事内容、その関係先など調べあげ、それぞれ役割分担して担当者がいっせいに"爆撃"していきます。墜ちない人はまずいません。

威勢のいいことを言っている人をみるたび、私は思います。もしここで官僚らに取り囲まれて10分レクチャーを受けたら、みんなコロっと変わるだろうなと。自民党議員だろうと民主党議員だろうと同じです。麻生太郎さんのように「官僚は使いこなさないといけない」と言いながら実際は官僚に使いこなされている政治家はたくさんいるのですから。


佐高 大蔵省と衝突しながら行政改革に手をつけた橋本龍太郎は、小泉純一郎よりはマシだと私は思ってきました。小泉さんは基本的には大蔵族の人でしょう。


江田 はい、小泉さんは大蔵族でした。ただ、小泉さんは官僚的でもないんです。その点、ハシリュウには官僚以上に官僚のようなところがあった。

社会保障制度について熱心に勉強していて、制度の細かいところまで把握していました。外交や防衛でもそうです。防衛庁の装備局長などと装備品について話をする時だってハシリュウの知識には叶いませんでした。戦闘機のハッチがどこについているとか、戦車や戦闘機の性能に至るまで頭にしっかり入っているんです。

小泉さんは空を見て森を見ない。ハシリュウは木を見て森を見ない・・・・・・二人を足して2で割った形がいちばんよかったんじゃないかと私は思っているんです。

経産官僚は"ヤクザ"たれ


佐高 官僚から政治家に転身する人の数も、いつ頃からか経産官僚が財務官僚を上回るようになりましたね。知事になる人も多い。


江田 たしかに知事になる人は多いですね。ただ、国士的な官僚はいなくなりました。佐橋滋のような人間は皆無でしょう。経産省に限らないのですが、官僚がサラリーマン化しているんですよ。

私がさいきんとくに不満なのは、経産省幹部たちがみんなジェントルマンなんです。経産省はインベーダー官庁で、霞が関の嫌われ者。権限もお金もないのだから、"ヤクザ"でないとダメでしょう。

現在の菅原事務次官は紳士だし、前の立岡恒良次官も、その前の安達健祐次官だって、みんなマジメなジェントルマンでした。


佐高 牧野力さん(1938年生まれ。96年~97年まで通産次官)という方がいたでしょう。


江田 牧野さん! あの人は"ヤクザ"でした(笑)。


佐高 ねえ。私も牧野さんには親しくしてもらったんです。上司とケンカして左遷されたり、歴代の課長が敬遠した業者と堂々と会ったりしました。


江田 そういう官僚がいなくなりましたね。今井尚哉という人間、好きか嫌いかといえば私は好きな方なんです。昔から"ヤクザ"でしたから。

彼は第一次安倍内閣が崩れたときから第二次安倍政権の準備を周到に進めてきていました。政権運営をみていると「敵ながらあっぱれ」と思わされることが多い。

安倍政権の中枢には今井さんがいて、菅義偉官房長官がいる。逆ではありません。私からみると、この政権のナンバー2は今井尚哉ですね。

神奈川新聞にインタビュー記事が掲載されました(2/3)
【月刊文藝春秋/新年特大号】江田けんじのインタビュー記事が掲載されております。