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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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TPPへの疑問、懸念に答える・・・②貿易自由化はTPPではなくFTAやEPA等二国間交渉で進めるべきだ

2011年11月 1日  tag:

 反対派議員がよく使う「問題すりかえ」の手口だが、自ら墓穴を掘っていることがわかっていない。TPPのような「多国間」より、FTAやEPA等「二国間」の方が、はるかに反対派の懸念する具体的案件が提起される可能性、危険性が高いからだ。

 少しでも通商交渉や多国間交渉をした人なら容易にわかることだが、FTAやEPA等二国間交渉は「何でもあり」の世界だ。二国間の「力関係」「特殊な事情」等がストレートに反映される。米韓FTAが象徴だ。

 それに比べ、WTOやTPPのような多国間交渉では、一国で提起できる問題にも自ずから限界があり、そして、その合意は、当然のことだが「最大公約数」の範囲内にとどまる。

 ちなみに私が通産大臣秘書官として携わった日米自動車交渉(二国間)は、世界の耳目を集める一大ニュースとなり、日米交渉では稀な「ガチンコ」の「熾烈な」交渉となったが、そのわけは、米国が、あろうことか市場経済のルールに反する「数値目標」を要求してきたからだ。

 すなわち、「日本車に占める米国製の部品のコンテンツ(含有)率をいついつまでに何%にまで増やせ」「米国車を扱う日本でのディーラー数を何年までに何店舗にしろ」といった理不尽な要求だった。およそ、自由主義経済国で政府のコントロールの及ばないことまで要求してきたのだ。これも「二国間」だからこそ、である。

 この時も、米国相手に突っ張ると日米同盟、安全保障に悪影響を及ぼすといった、いつもながらの外務省からの横やりはあったが、当時の橋本龍太郎通産大臣のぶれない対応もあり、この数値目標をはねつけた。こんな要求を日本がのめば、「明日は我が身」のEUやASEANとの共闘を取り付けたことも大きかった。あの散々米国にやり込められたSII(日米構造協議・これも二国間!)の悪夢は避けられたのだ。

 だから、反対派が懸念する「食品安全」「医療」等の問題も、TPPなら議題にならなくても、日米FTA交渉なら「何でもあり」だから、提起される可能性はある。この脈絡で、よく反対派は、米韓FTAで韓国が米国から押し込められた例を引き、「だからTPPでも懸念あり」という説明をするが、まったく理由になっていない。「二国間がそうだから多国間でもそうなる」という理屈は、以上述べた「二国間「多国間」の国際交渉の枠組み、ルール、プラクティス(交渉の現実・現状)への無知からくる。

 先週開かれた民主党政権のTPP会議でも、あの緒方貞子さんが、反対派議員へ、この無知に基づく主張の誤りを指摘したところ、その議員は窮して「二国間ならいつでも抜けられる」と答えたという。そう、反対派は「貿易自由化」は必要だと口では言いながら、本音は貿易自由化などやる気がないのだ。「TPPではなくFTAやEPAでやるべきだ」という反駁は、農協等の「目先の百票」がほしいだけの、反対派議員の「逃げ口上」であることがわかった一瞬だった。

(シリーズ/TPPへの疑問、懸念に答える)
 ①TPPは米国の陰謀、日本狙いうちの輸出倍増策だ

TPPへの疑問、懸念に答える・・・①TPPは米国の陰謀、日本狙いうちの輸出倍増策だ
TPPへの疑問、懸念に答える・・・③一旦TPP交渉に入ると離脱できない