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財務省本、花盛り!・・・榊原英資氏に「財務省」は語れない

2012年7月15日  tag:

 増税が国政の焦点になり、「財務省本」の出版が盛んなようです。そのうちの一冊が、榊原英資さんが書いた「財務省」という本です。

 書店でさっと立ち読みしましたが、のっけから(はしがき冒頭の書きだしから)、江田憲司「財務省のマインドコントロール」(幻冬舎)が出てきます。私を「大蔵改革」、「当時の大蔵省から金融行政を分離した陰の立役者」としていただいているのは良しとして、他の「高橋洋一本」等も引き合いに出して、「多分に怨念とコンプレックス」に基づいていると、情緒的な批判をしているのはいただけません。反駁されるなら、一つ一つ、事実に基づき論理的に冷静に行ってほしいものです、いつでも、対談、公開討論に応じますから。
 
 何も、そういう批判のされ方をしているから書くわけではありませんが、たとえ、榊原さんが元財務官、財務省№2を務めた方でも、失礼ながら、傍流にいた方には決して財務省の本当のことは語れないものです。
 
 榊原さんは、たしかに国際金融の世界では多大な業績を残した方とは思いますが、主計(予算)局が主流の財務省で、しかも、榊原さんは若い時から新自由クラブから国会に出ようとしたり、埼玉大に出向させられたり。こういう「はねかえり」(失礼!)には、特に、その省の「闇」「秘密」の部分は決して教えないものなのです。これは、役所特有の防衛本能で、将来、事務次官になろうかという人、同期でいえば、せいぜい2~3人の一握りの人にしか情報は共有されません。

 こうした傾向が顕著なのが、財務省と外務省なのです。どちらも国政の中心、権力の中枢に係る役所です。だから、この二つの役所の事務次官は、なんと20年前から決まっている。およそ仕事の性格は、補佐、課長、局長と質的に違ってくるのに、そんな人事評価はお構いなしに、20年も前から決めてしまうのは、まさに、この保秘(対外的にはもちろん、身内と言えども知られたくない、その役所の秘密中の秘密)の観点からなのです。できるだけ早く将来の幹部候補生を決めて、情報の拡散を防ぐ。
 
 ですから、そこからオミットされた官僚は、たとえ同じ役所内のことでも通り一遍のことしか知らず、役人人生を終えてしまうわけです。榊原さんも例外ではありません。したがって、彼の本には一貫して財務省の「表の顔」しか描写されていないのです。

 私がいた通産省(経産省)も、ある程度、同期20人超から段々と将来の幹部候補生を絞りますが、さすがに20年前から事務次官という絞り方はしません。

 「信じられない!」という人には実例を出しましょう。
 
 今の勝栄二郎財務事務次官。私が海部・宮沢内閣時に官邸に出向して国会対応(内閣副参事官)をしている時、彼は私の財務省側のカウンターパート、大臣官房文書課の補佐をしていました。もう、20年少々前のことです。その当時から大蔵省では彼は「将来の事務次官」と言われていたものです。
 
 外務省。私は1987年~88年、ハーバード大国際問題研究所に留学していましたが、そこに同じく外務省から派遣されてきていた谷内さんという人がいました。彼のことは私の担当教授(もちろん米国人)ですら、「ミスターヤチは将来外務事務次官になる人だ」と言っていたのです。私が「なぜそんなことを知っているの?」と聞くと、「ミスターオワダがそう言っていた」と。「ミスターヤチ」とは、後に本当に事務次官(2005年~08年)になった「谷内正太郎」氏のことで、ちなみに「ミスターオワダ」とは、ご存じ、雅子妃のお父様でやはり事務次官(1991年~93年)になった小和田恆氏です。

 こうした同期の中でも一握りの官僚に「帝王学」を学ばせ、決して明かしてはいけない(墓場まで持っていく)秘密まで共有する。その排他的クラブからはずれた官僚に、その省の本当のことは語れないのです。

 じゃあ、なぜ、そんなことを江田が知っているのか、ですって?それが、政務(政治)担当の総理秘書官という仕事の性格でしたし、特に、私の場合は「大蔵スキャンダル」が吹き荒れる中、「大蔵改革」に取り組んだ、大蔵省と真正面から闘った経験があるから、としか言いようがありません。

 と言うわけで、この連休、どこにもお出かけの予定のない方、是非、拙著「財務省のマインドコントロール」(幻冬舎)をご一読ください。絶対、損はさせませんから。という宣伝で(笑)、この話は終わりにします。

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