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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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再び『政党不信の時代』がやってきた

2007年2月 5日  tag:

 失言やスキャンダルが続き、それへの毅然とした対応、姿勢もみえない安倍内閣・自民党にも失望したが、かと言って、これに対峙する民主党もふがいない。
 「産む機械」発言の柳沢大臣や彼を守る安倍自民党も言語同断だが、それを口実に審議拒否し、国会を放りだして、ひたすら選挙パフォーマンスに走る野党・民主党もどうかと思う。
 そうした声が最近、私の周りでもとみに増えてきた。まさに自民と民主、「どっちもどっち」という状況が続いている。

 そして、それを象徴するかのように、注目の週末地方選(愛知県知事選、北九州市長選)は、与党、野党一勝一敗の痛み分けとなった。特に愛知県知事選で、柳沢発言の追い風があるにもかかわらず、野党候補逆転とまでいかなかったのは、この「どっちもどっち」という絶妙な有権者の判断とも言えよう。

 しかし、考えてみれば当たり前のことだ。今の「二大政党制」は、マスコミが半ば強引に囃し立て、造り上げたものだからだ。時代は、再び「政党不信」「既成政党離れ」の時代に突入しつつある。

 私は一貫して、今の政党政治は「ニセモノの政党政治」だと言ってきた。言ってきただけでなく、この3回の衆院選を、あえて不利な純粋無所属、いや「無党派党」として戦い抜いてきた。厳しいことは「勝って負けて勝って」の2勝1敗の戦績が証明している。

 誤解なきように言っておくと、私は、「議会政治が政党政治」で「政権交代可能な二大政党制」が望ましいことにも異論がない。

 ただ、30年間、行政や政治の世界に直接身を置いてきて、そのうち6年間は、首相官邸という政権の中枢から政党の正体、その裏表も見てきた。そして、今は、自民からも民主からも等距離の、あえて純粋な「インデペデント」として政治活動をしている。そうした者の叫びとして、基本政策ぐらいは一致させた「真っ当な政党政治」の実現、という至極当たり前のことを訴えているにすぎない。

 何回も言うが今の政党政治は「頭と胴体と手足がそれぞれ違う方向に動く動物」と同じだ。基本政策で「一本背骨も通っていない」。だから一歩も前に進めないのだ。こんな政党に入ってもしょうがない。それが私が今、無所属である理由だ。

 私も細かい政策のことは言わない。政党というのは、基本政策ぐらい一致させ、その政策でこの指止まれ、そして集まった同志が力をあわせてその政策を実現する、本来そうあるべきなのだ。しかし現実にはそうなっていない。自民も民主も「寄り合い所帯」「ごった煮」と言われる所以だ。

 郵政解散が見事にそれを証明した。時の総理総裁がこれだけはと訴えてきた政策、法案ですら、その総理総裁を選んだ政党からさえ反対者が出て否決される。まさに「政党政治の破たん」以外の何者でもない。郵政に限らず、年金でも医療でも安全保障でも、ありとあらゆる局面でこうしたことが実は起こっている。第三者、外部からは見えないだけだ。小泉改革は、それでも、その強烈な(パワフルな)「頭」だけで(逆らう胴体や手足を)強引に引っ張って、二、三歩進んだ改革だった。

 振り返ると、今の自民、民主の二大政党制は、「自民よりも右寄り」の小沢自由党が、諸手を挙げて「政策・人事丸呑み」で旧民主党と合併したことで始まった。それに英国仕込みの「マニフェスト」というお化粧直しが施され、完全にエセ「二大政党制」の大宣伝が始まったのだ。それにだまされ、今では当たり前のように考えられている二大政党制の雄・民主党も、生い立ちを見れば、元々、自民党以上に「寄り合い所帯」「ごった煮」状態だ。その機能不全は救いようがない。

 この「政党政治の欺瞞」を、小泉政治の5年半、小泉純一郎という個性だけで、「小泉劇場」という激辛エンターテインメントだけで、湖塗してきただけにすぎなかった。不幸なことにその間、本来の政党に組み替えよう、作り直そうという動きもなおざりにされ、マスコミがそうした動きに光を当て促すこともなかった。それが小泉さんという重しがとれた途端、小泉さんという「政党生命維持装置」がはずれた途端、白日の下にさらされ、元に戻るのは必然の成り行きだった。

 時代は、私が初当選した02年の衆院補欠選挙当時の状況に戻りつつある。その時、はじめて無所属で戦った私は、結果、自民、民主両陣営の得票を足しても及ばない高得票率で当選した。私の実力ではない。世が「自民党もどうしようもないが民主党もだらしない」という「政党不信」の風潮だったからだ。小泉改革の足を引っ張る抵抗勢力・自民党にも、代表選の論功行賞人事を露骨に行った鳩山民主党にも嫌気がさした、有権者の判断だった。

 これからの時代は「政党戦国時代」に入る。それを強く促す大きなきっかけになるのが、今年夏の参院選だ。今の政党政治は、無理に無理を重ね、もはやその正体を糊塗することもできない限界にきている。情けないことに「自民、民主、どちらが先に倒れるかの競争」。そして参院選のあとは何が起こってもおかしくない。

 そうした中でいかに「真っ当な政党政治」をつくりあげられるか、そして、本当に国民のためになる改革を進められるか。日本にとっても、私にとっても正念場の一年になる。

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また政治とカネ!カネ!カネ!