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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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地球環境問題を考える・・・(1) 「環境省」登場!

2008年1月28日  tag: , ,

 今年は「地球環境イヤー」である。夏(7月)の「洞爺湖サミット」は「環境サミット」と位置づけられ、国際社会で日本がリーダーシップを発揮できるかどうかの試金石となる。国内的には福田政権の運命を左右する(続いていれば)分水嶺ともなる。

 昨年秋に出されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によれば、今世紀末の温度上昇は、経済成長と環境対策の両立が図られたケースでも1.8度、引き続き石油・石炭等の化石エネルギーを重視するケースでは4度と想定され、その結果、海面は59cm上昇する。

 過去100年の温度上昇0.5度と比較すれば、いずれにせよ今世紀、地球温暖化の流れは止まらず、対策が遅れれば遅れるほど、気象の激変による災害、生態系への影響、水不足、農業被害、感染症の増大等の悪影響に人類は見舞われることになる。

 そこで、今週から連載で、この「地球環境問題」を取り上げてみたい。私も総理秘書官時代、中央省庁再編の一環として、国会議員が誰も応援してくれない中、橋本首相を補佐し「環境庁」を省に格上げするために奔走した。私の出身省庁が、その環境省と敵対する通産省(現経済産業省)であるために意外に思われる向きがあるかもしれない。

 しかし、当時の橋本首相自身が「環境族」のはしりだった。いち早く地球環境問題の重要性に気づき、国会ではまだまだ数少ない環境政策に理解のある議員の一人だった。

 その薫陶をうけたこともあるが、私は通産官僚時代から「通産vs環境」という百年戦争を散々みてきて、端的にいえば「色男、金も力もなかりけり」の環境庁が負け続ける構図に、ある種、危機意識を持っていた。どの分野でも「チェック&バランス」という要請はあり、「経済と環境が両立する社会」でなければ「持続可能」ではないという強い問題意識を持っていた。

 そこに幸運にも、橋本首相という政治家との遭遇と「中央省庁再編」というチャンスが巡ってきたのである。橋本首相と私は、ほとんど自明のこととして、21世紀を「環境の世紀」と位置づけ、「地球と人の安心・安全」を包括的に所掌する官庁として「環境省」をデザインしようとした。

 残念ながら、「大蔵改革」や「郵政民営化」を焦点とする省庁再編の中でメディアや世間の関心も引かず、また、むしろ公共事業等の事業実施官庁、その利権ばかりに目ざとい議員たちの圧力を常に受けながら、当初目論んだ「大環境省構想」(食品衛生や検疫、製品安全等も統括。もっと言えば「人間の安全保障」を所掌)は潰えた。

 しかし、当の環境官僚さえ本当には実現すると思っていなかった「省」と「地球環境部の局」への格上げが成ったのである。それもひとえに、橋本首相の確固とした信念の賜物だった。私は安心して、私のパソコンの中にある省庁再編原案から、環境「省」を削ることは最後までなかったのである(その経緯は拙著「誰のせいで改革を失うのか」新潮社に詳しく書いた)。

 さて、地球環境と言えば、まず、この世界のバイブル、テキストになっている「京都議定書」から話を始めたい。この国際条約上、はじめて日本の都市名を冠した条約を採択したのは、橋本政権時の97年12月のことだったからだ。            (続く)

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