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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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民間事務局長さんへ・・・公務員制度改革推進本部発足

2008年7月14日  tag:

 先週金曜日(7/11)、内閣人事局の制度設計等を担当する公務員制度改革推進本部が、福田総理を本部長として発足した。そして、その事務局長には、すったもんだのあげく、元経団連専務理事の立花氏が就任した。

 当初は、清家篤慶応大教授(労働経済学)の就任が、一部報道で取り沙汰された。なぜ固辞されたのか、その真相はわからない。が、今度就任する立花氏には「本当にご苦労様です。頑張ってください」としか言いようがない。これからという時に、あえて批判することは差し控えたい。

 そこで、せめてもの応援として、これから公務員制度改革推進本部で起こることについて申し上げる。すべて私が担当した中央省庁の再編、それを検討する行政改革会議事務局で実際に起きたことである。

 まず、民間、外部人材たる事務局長は、肝心の情報からは疎外され、徹底的に干し上げられる。事務局次長(官僚OB・事務次官経験者)とその下に集う各府省からの精鋭のキャリア官僚との「霞ヶ関連合軍」に、いいように事務局が差配され本部の運営がされる。事務局長は体よく祭り上げられるのである。

 橋本政権下で官邸に設置した「行政改革会議」(議長:橋本総理)の事務局長には、前自民党行革推進本部で政界を引退した水野清氏にお願いした。官邸官僚からあがってきた事務局長候補は、官僚OBで今回と同じ元総務庁事務次官だった。

 ちなみに総理と私は、官僚主導の省庁再編と言われないためにも、本会議の委員にも官僚OBは排除し、官邸官僚から推薦のあった、役所の息のかかった学者や民間人もすべてオミットした。その上で「戦略は細部に宿る」、事務局人事も、水野氏が浮かないように、彼を首相補佐官に兼務させ、総理の意を直接体して仕事ができる環境を整え、同時に、本会議の委員にも任命して会議の進行にも役割を果たせるようにした。

 しかし、そこまでしても水野氏は干し上げられたのである。多分に水野氏の性格にも原因があったが、次長以下の霞ヶ関連合軍が、ことごとく水野氏を疎外した。その結果、事務局長案と事務局案が両方、行革会議に提出されるという、あってはならない異常事態も生じた。

 そこで我々は、今度は、総理と親しい学者(行政学)の方を事務局の調査員に任命し、そこから事務局の動き等の情報をとることにしたのである。そして、それを基に、臨機応変に総理から直接指示を出す。そこまでしないと、この霞ヶ関連合軍の厚い壁は破れない。総理が本気にならないと霞ヶ関改革などできはしないのだ。

 官邸官僚と事務局官僚のタッグがやったことは、会議の委員には、延々と「有識者ヒアリング」と称して他愛のない会議で時間をつぶさせ、その裏でちゃっかり、会議の議論とは関係なく、霞ヶ関連合軍のペーパーを書くことだった。それが露見し、一部委員が怒り、総理が執務室まで官邸官僚、事務局幹部を呼びつけ叱り、やっと、事務局主導が委員主導、会議主導ということになったということもあった。これは権力闘争そのものなのだ。

 同じようなことが今後、公務員制度改革推進本部事務局で必ず起こる。問題は立花氏の資質がどうかなどという話ではなく、まさに、総理が常に目を光らせ、側近が「見えない落とし穴」を事前に発見し、官僚主導の罠にはまらないことが肝要になる。総理にそれだけの問題意識があるか、側近に、総理の方を向いて仕事をする人間が何人いるか。

 いずれにせよ、公務員制度改革は緒に就いたばかりである。成功するか否かは、一に今後の制度設計次第である。福田総理が、どういう基本的考え方で、具体的にどのような公務員制度を作り上げようとしているのか、そこに明確な考えがなく官僚任せにするなら、どんな事務局を作り、どんな有識者の協力を得ても詮無いことなのである。

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