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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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シリーズ/復興財源、100兆円の外貨準備を活用せよ・・・②復興増税10兆円!

2011年8月 1日  tag:

 先週金曜日(7/29)、政府は「復興基本方針」」を決定した。民主党内の反対で明文化はとりあえず見送られたが、この5年間を「集中復興期間」として、13兆円の国費を投入し、そのうち10兆円を所得税、法人税等の増税で賄うそうだ。一年当たり2兆円の負担増となる。

 これに、社会保障と税の一体改革による消費増税5%(12.5兆円)を加えると、年間14.5兆円の負担増となり、国民一人当たりで計算すると14.5万円、家族4人だと何と58万円の負担増となる。

 今、日本は、言うまでもなく、デフレと大震災、原発事故というトリプルショックを受けて、瀕死の重傷を負っている。こんな時に、とどめを刺すような大増税。まったく狂気の沙汰としか言いようがない。

 それもこれも、この国のことより、財政や自分たちの権益の方が大事な財務省に、意のままに操られる民主党、自民党、そして、一部大手マスコミの責任が大きい。こんな大増税を許せば、完全に日本は終わってしまう。

 日本が本当に借金漬けで財政破たん寸前なら、どうして先週、円が76円にも値上がりするのか?この行きすぎた円高の背景には、確かに米債務問題、ユーロ危機等がある。しかし、そうでなくても、円高基調ということは、米国(ドル)や欧州(ユーロ)より、日本の方が信認できると市場が判断しているからだ。また、なぜ、破たん寸前の国の長期金利が1%そこそこと低いのか?日本国債がその信認ゆえに順調に買われているからだ。

 経済学者や評論家がいくら「狼少年の御託」を並べてみても、市場が証明している。経常(対外)収支が黒字で、借金と言っても国内(国民)に借金している国が破たんするわけがない。これが世界の常識なのに、財務官僚に支配されている日本では非常識となるのだ。

 世界的な経済学者、浜田宏一イエール大教授の論稿(日経新聞「経済教室」6/20)を引こう。

 「復興財源を増税で賄えば、日本経済に一層不況圧力をかける」「(復興増税は)まるで災害という傷を負った子供に重荷を持たせるのに等しい」「復興は現世代だけでなく将来世代にも恩恵を及ぼす。その一部を将来の世代が負担するのがむしろ公平」「拙速な増税よりも、十分な金融緩和によりデフレ、需要不足、低成長を脱することが先決」。

 まさに、みんなの党が従来より訴えている通りではないか。これが世界標準の考え方なのだ。

 みんなの党は、しかし、「ただ増税反対では無責任」との立場から、これまで、国債整理基金をはじめとした特会の剰余金の活用、政府資産の売却、議員や公務員の人件費削減、民主党のバラマキ4K予算の見直し等を提言してきた。

 そして、それでも足りなければ、復興債を発行し、それは日銀引受等で消化すべきだ、今回の大震災が百年に一度、千年に一度の大災害であるなら、その負担は広く薄く「今の世代も将来の世代も負担すべきだ」と訴えてきた。

 農地や漁港、道路等の復旧・復興が将来世代にも便益が及ぶ事業である以上、この一番悲惨な、この数年間という短期間の中で、自己完結型の増税を行うという考えは、浜田イエール大学教授の言を引くまでもなく、論理的にも破たんしているのだ。

 さて、今回の提案は、この復興債を、日銀引受の他に、100兆円にものぼる外貨準備の活用で、外為特会が引き受けるというものだ。政府がドル建て復興債を発行しても良いし、復興に携わる政府系金融機関等がドル建ての財投機関債を発行しても良い。それを満期になり外為特会に償還されてくる米国債の米ドル資金(毎年15兆円程度)で引き受ける。

 (来週に続く)。

シリーズ/復興財源、100兆円の外貨準備を活用せよ・・・①97年の米国債売却発言
シリーズ/復興財源、100兆円の外貨準備を活用せよ・・・③いかさまファンドが35兆円の為替評価損!