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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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自民党の傲慢さが見えてきた・・・「0増5減」案の強行採決

2013年4月22日  tag: ,

 先週金曜日(4月19日)、政府与党によって、いわゆる一票の格差是正のための「0増5減」案の採決が委員会で強行された。民主、維新、生活といった野党各党は欠席し審議拒否したが、みんなの党は出席し、その理由を述べた上で反対した。

 その理由とは何か。それは、この法案が通ったとしても違憲状態が解消されないからだ。直近の人口調査で、この法案による選挙区割りを実施しても、既に格差2倍以上の選挙区が10近くにのぼることが判明している。したがって、将来、 この区割りによって総選挙しても、再び裁判所に違憲判決を下される可能性が高いのだ。それがわかっていて、なぜ、 政府与党はそんなに急ぐのか? 国会会期はまだ二カ月も残っている。

 みんなの党は、これまで「一票の格差是正」「大幅な定数削減」「選挙制度改革」の三位一体での「抜本改革」を訴えてきた。しかし、そんな我が党も、各党の案がマチマチで今国会中に成案が得られそうにない中で、この局面では、自らの選挙制度改革案(全国集計の比例代表一本)にはこだわるつもりはなかった。

 次善の策として、「一票の格差是正」に限って、最高裁が問題とした「一人別枠方式」廃止を前提とした「18増23減」の区割り案も用意していたのだ。各党が、こうした柔軟な姿勢で違憲状態を真に解消する結論を今国会中に得ればいい、 そうした方針でのぞんだ議長仲介下での与野党幹事長会談も決裂したのだ。

 その原因は一点だけだった。「一票の格差是正」だけでなく、定数削減や選挙制度の改革を各党間協議で「今国会中に結論を得る」とするのか、「結論を得るよう努力する」とするのか。当然、野党は、先の民自公三党合意(昨年の衆議院選直前)でも「今国会中に結論を得る」となっているのだから、そこから後退させないように、この文言を法案の附則で担保することを求めた。しかし、自公及び衆院議長が「努力する」以上に約束できないと突っぱねたのだ。

 この問題だけではないが、こうしたところに、高支持率を背景にした、自民党の傲慢さが出てきたように思える。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉を贈りたいほどだ。

 石破幹事長は口を開ければ「衆院選前、0増5減法案に賛成した政党は、その実施法たる区割り法には賛成する責任、義務がある」と言う。しかし、与野党幹事長会談の場で、私は彼にこう言った。「成立した法律を粛々と実施すべきというのは、行政府ならそうだろう。しかし、我々は立法府だ。その法律が間違っている、不適切であることが後に判明したなら、その法律を直す、あらたな立法措置をとることこそ立法府の責任だろう」。こう言ったら即座に、与党・公明党の井上幹事長からも「江田さんの言うとおりだ」と賛同をいただいた。

 たしかに、民主、維新、みんなは昨年秋、0増5減法案に選挙前の緊急避難的措置としてやむをえず賛成した。しかし、その後、高裁段階でいくつもの違憲判決が出て、その中には、この0増5減では違憲状態を脱せない、この0増5減が前提としている「一人別枠方式」は最高裁も違憲と指摘している、最近の調査では、これを通しても10近くの選挙区で格差が 2倍を超える、といった事情がわかってきたのだ。こうした事態を目の当たりにして、国会議員は、問題のある法律を粛々と実施していくしかないのだろうか。

 そして、我々が一番恐れるのは、自民党の常だが、これで「一件落着」とすることだ。大幅な定数削減や選挙制度の抜本改革はこれで打ち止め、0増5減だけの「喰い逃げ」で終わらせてしまうことだろう。野党が多数を占める参院で否決しても、60日間がたてば衆院に戻して再可決、そこで国会会期末がきて参院選に突入。そうしたシナリオが見えるからこそ、我々は「今国会中に結論」にこだわったのだ。国民の皆さんのご理解を是非いただきたいと思う。

(注)「一人別枠方式」
衆院の小選挙区300議席のうち、まず47都道府県に1議席ずつを「別枠」として割り当て、残り253議席を人口に比例して配分する方式。

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