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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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米の減反制度が廃止できるか?(上)・・・規制改革の一丁目一番地

2013年10月28日  tag:

 政府・与党が米の「減反制度」を、5年後を目途に廃止することを検討しているという。「減反」とは、米の需給調整措置で、国内の米余りからの値崩れを防ぐため、政府が関与して毎年、水田の作付面積を減らしている制度をいう。これが本当に実現すれば、日本の農業の再生、成長・輸出産業化へ向け、大きな一歩となるだろう。

 しかし、この減反廃止には、自民党の強固な支持基盤である農協、JAグループが強く反対しており、その結果、自民党内の農林族議員の反発も強い。なぜなら、今、一俵15000円前後で高止まりしている米が、需給調整廃止の結果、価格が4割下落、すなわち、1万円を割ってしまう可能性が高いからだ。そうなれば、農協(JA)は農家からの手数料で成り立っているため、途端に【米の価格×手数料○%】ではじかれる収入が激減する。また、減反に参加する農家には、1アール当たり15000円の補助金が税金から一律ばら撒かれてきたが、この補償措置もなくなるからだ。

 したがって、こうした頑強な抵抗、すなわち、「岩盤規制」を打ち砕けるか否かが、アベノミクスの今後の成否を占う試金石となることだけは間違いないだろう。

 OECDによれば、世界の人口は2050年には90億人(現在68億人)に達し、その食糧をまかなうためには、食糧生産を現状より7割アップしなければならないという。まさに食糧危機が叫ばれているのだ。ただ、そこに日本の農業の活路がある。

 北京や上海、シンガポールでは、3倍も4倍も高い日本の米が、おいしい、安全だ、品質が良いといった理由で飛ぶように売れているという。ちなみに、その中国のコメ消費量は年1億3000万トン(世界消費量の約3割でトップ)、うちジャポニカ米も4000万トンの市場があるという。日本の農業は、ここにターゲッティングすれば良いのである。

 そのためにはどうすべきか。そう、まずは、この官僚統制の極みである「減反制度」を段階的に廃止するのである。減反を廃止すれば、体力のない兼業農家から専業・主業農家への土地集約化も期待され、生産性の向上にもつながる。

 また、減反廃止は、先に述べたように、米価の引き下げにつながり、国際的に価格競争力が出てくる。海外、特に市場が大きい中国でいきなり価格差がなくなるということは考えにくいが、その差は縮まり、より一層売れるようになるだろう。

 ただ、それにより農業所得が下落した分は政府が当面補償する。いくら輸出で数量が増えても、価格が急降下すれば全体の所得としては農家には打撃になる。そこで、これからも農家で頑張ろうという意欲のある専業、主業農家を中心に所得補償(直接払い)し、当面当該農家を支えるのだ。私もこうした「戦略的な所得補償」なら賛成だ。

 ただ、こうした「農業再生・改革」「平成の農地改革」はこれだけでは完結しない。以上の減反廃止を含めたパッケージ案を来週提示しよう(次週に続く)

(注)民主党政権が導入した所得補償制度は、この減反廃止もなく、専業も兼業も、大規模農家も零細農家も、頑張る農家も頑張らない農家も、選挙の票目当てに一律に税金をばらまくもの。これではいつまでたっても農業の足腰は強くならない。それは、ここ数十年の農業保護政策の結果、岩手県分の農地が失われ、埼玉県分の休耕地が放置されてきていることからも証明済みだろう。

 さらに悪いことに、この戸別所得補償の導入で、全国各地でせっかく集約された「農地の貸し剥がし現象」が起きているという。「補助金がもらえるなら自分で飼料米を作るから返してほしい」といった具合だ。この影響で集落営農の解散も出てきており、これでは農地の集約化や生産性の向上に逆行する事態が続出することになる。

アベノミクスは早晩、頓挫する!・・・「規制改革」「地域主権」「自由貿易・投資」がカギ
米の減反制度が廃止できるか?(下)・・・平成の農地改革