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当面する政策三課題の党方針を決定!②原発政策に関する見解

2014年10月 6日  tag:

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、維新の党は、原子力発電に頼らない社会を実現するため、電力の再編自由化や原発推進施策の廃止等による市場メカニズムと再生可能エネルギーの普及促進等によって原発依存を減らし、最終的には原発をフェードアウトすることを基本方針としている。


 ただ、持続的な日本経済の成長と国民生活への影響、代替エネルギーの安定供給見通し等を総合的に勘案すると、「原発即ゼロ」を声高に叫ぶのは政治的に責任ある対応とは言えない。したがって、脱原発依存を実現する過程において、安全性確保を大前提として、どうしても必要となる場合の原発再稼働は否定するものではない。


 しかしながら、世界最悪レベルの事故の発生国として二度と同様の事故を起こしてはならず、原発稼働の安全性、事故リスクへの対処には万全にも万全を期さなければならない。また、使用済み核燃料の貯蔵容量が数年分しかないと言われる中で、処分方法の目途も立たないまま再稼働により核のゴミを増やすのは無責任の誹りを免れない。


 現存する原発については、少なくとも以下5つの問題を解決し、国民の不安を払拭しない限り、再稼働を認めることはできない。それにともなう電気料金の上昇は短期的には社会的コストとして受け容れなければならないが、一方で、LNGの調達コストの低減等によるLNGコンバインドサイクルの推進、火力発電所のリプレースによる高効率化、「総括原価主義」の見直しなどでそれを抑える取り組みを進めるべきである。


1. 欠陥だらけの新基準による審査制度

 事故時の避難計画について米国では再稼働の審査対象となっているが、日本では、原子力規制委員会が原子力災害対策指針を示すだけで、肝心の計画策定は災害対策基本法で自治体任せになっている。そのため、避難計画の策定は遅れており安全を担保できていない。また、新基準では事故時のフィルター付きベントや免震重要棟の設置を義務付けているが、加圧水型には猶予期間が設けられており再稼働の前提条件となっていない。


2. 再稼働の安全性を保証する責任主体が明確でない

 原子力規制委員会は新規制基準への適合を審査するだけで、「安全とは言わない。再稼働の判断はしない」と田中委員長自らが明言している。川内原発の再稼働に向けて国の責任を明確化する文書も発出されたが、「万が一の事故発生時には国が責任を持って対処する」と書かれているだけで、安全性の保証にはなっていない。


3. 地元の同意の下地ができていない

 原発事故を踏まえ、防災対策重点地域は半径8~10キロから30キロ圏に拡大されたが、再稼働の前提となる地元の同意についての「地元」の定義が法的に規定されていない。そのため、再稼働の手続きで必要な「地元の同意」を得る過程で混乱が生じている。


4. 見通しがついていない最終処分場

 政府は国主導で使用済み核燃料の最終処分場の選定に取り組む方針を示しているが、その目途は全く立っていない。処理方法の確立や場所選定までの行程表の提示もできていない状況で再稼働によって核のゴミを増やすことは、まさに「トイレのないマンション」という批判を免れることはできず、また、最終処分場設置の国民の理解と協力をさらに困難にする。


 最終処分場の問題の解決をめざすと同時に、最終処分の必要な使用済み核燃料の発生を劇的に減らす可能性のある統合型高速炉(IFR)をはじめ小型原子炉などの新技術の可能性を見極めるべく、研究動向を注視する必要がある。


5. 原子力損害賠償法の見直しが前提

 原子力損害賠償支援機構法成立時に付帯決議で約束された原倍法の見直し作業は進んでおらず、事故時の賠償の責任の在り方について、国民が納得できるルールが定まっていない。


 とくに、年内の再稼働が検討されている川内原発については、原子力規制委員会の審査を通過したとはいえ、

 以下の3つの理由で、現時点では再稼働を認める状況に至っていない。


1. 避難計画が不十分である

 原子力災害対策指針にのっとり川内原発周辺30キロ圏内の9市町村は避難計画を作成しているが、避難経路(狭隘な道路等)の安全性確保や、病院・福祉施設などの要援護者の避難方法、避難受け入れ先の自治体の対応などの計画は不十分で、その実効性が疑われる。


2. 地元の同意が得られていない

 再稼働の前提となる地元の同意について、鹿児島県や九州電力は立地自治体の同意だけで十分と主張しているが、防災対策重点地域である30キロ圏内の自治体からはすでに再稼働反対の意見書が出されており、意見が分かれている。


3. 火山噴火、事故対応設備の不安が払拭できていない

 川内原発の近距離に位置する桜島を含む姶良カルデラなどの大規模噴火の可能性は低いと判断した規制委の審査について、火山研究者からは多くの疑義があがっている。また、免震重要棟の完成は1年後、フィルター付きベント設備の完成は2年後であり、未設置のまま再稼働されることになってしまう。

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