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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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景気回復最優先の予算になっていない・・・来年度予算案

2015年1月26日  tag:

 半年間に及ぶ通常国会がいよいよ今週からスタートします。維新の党としては9月下旬の結党から一国会も経ずに解散総選挙を打たれ、「不完全燃焼」のまま今日に至ったので、本格的国会論戦が楽しみでしようがありません。


 何度も言ってきましたが、5月の連休明けまで、この国会論戦を通じて「維新の党ここにあり」、「維新カラ―」と言うか、維新の政策の旗印を高々と掲げて安倍政権に挑み、維新への国民の皆さんのご理解ご支援をより一層得る努力を最優先でしていきたいと思います。


 その最大の課題が「景気の本格的回復」です。安倍政権は口を開けば「経済最優先」と言いますが、来年度予算、14年度補正予算双方の内容をみても、その言葉どおりの内容となっていないのが一番の問題です。確かにアベノミクスで経済は多少成長しました。しかし、その成長の果実(4.5兆円税収増のうち2.6兆円が所得・法人税収の増)を「分配」するという視点が極めて薄いのです。


 なぜ、今、GDPは二期連続マイナス成長なのか。それは、昨年4月の消費増税、5%から8%への増税が完全に失敗だったからです。これは各種統計データからして明らかです。増税前の昨年1~3月期は、着実にデフレからの脱却が進みつつあり、デフレギャップは数兆円まで縮小していました。しかし、8%増税の後は急速に「消費」が冷え込み、それが大きく景気の腰折れを招来してしまったのです。そして今やデフレギャップは15兆円まで拡大してしまった。


 この15兆円のデフレギャップを埋めていかなければならないのに、本予算、補正予算とも、消費を喚起する政策、家計や国民の懐を潤す予算が極端に少ない。例えば、本予算では低所得者に6000円/人、子供一人当たり3000円で現金を給付することになっていますが、この予算額はたったの2300億円。「地方創生」と称して1兆円枠を設けたと言いますが、このうち7200億円が消費関連、補正予算で講じた交付金(4200億円)のうち2500億円(商品券や旅行券)をあわせても1兆円程度でしかありません。これでは十分な消費喚起策とは到底言えないでしょう。「商品券」の効果も過去の「地域振興券」の例からして景気回復効果が乏しいことが証明されています。


 ここはやはり、思いきって3.5兆円の補正予算全額を消費喚起策に充てるくらいの大胆さがあっても良かったのではないでしょうか。それが相変わらずの公共事業頼み(本予算6兆円+補正1.7兆円)。ここ数年、決算ベースで公共事業は10兆円まで積み上がっていますが、そのうち2~4兆円を使い残しているという惨憺たる状況なのに、です。あまりの「バラマキ」にアップアップで消化不良を起こしている公共事業に頼っても景気浮揚効果はさして望めません。こうした中で「整備新幹線」の前倒し着工にも疑問が残ります。


 さらに、世界一の少子高齢社会の日本で、放っておいても毎年一兆円ずつ増える社会保障費の抑制は必要ですが、しかし、議員や公務員が率先して「身を切る改革」なしでは、とても国民の理解は得られないでしょう。安倍政権になって、予算編成でもまったく抜け落ちてしまった大きな視点の一つです。


 たしかに、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の対GDP比率を10年度比で半減させるという目標を15年度予算案で達成したのは良しとしますが、アレシナの黄金律(OECD諸国調査=増税3:歳出削減7で財政再建達成)による、「歳出削減」の努力がまったく足りないのが安倍政権の問題です。こうした状況では、とても将来にわたって財政再建への道筋がついているとは言えないでしょう。ハーバード大学のアレシナ教授によれば、公務員人件費、公共事業費、社会保障費の削減が「財政再建」のためには必須ということになっています。


 いずれにせよ、この26日からスタートする通常国会では、まずは本格的な景気回復のため、こうした予算案、それを通じた「分配」「消費喚起策」、さらには「成長戦略」等をめぐる国会論戦を徹底的に安倍政権と戦わせていきたいと思っています。

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