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安倍首相への代表質問(3)・・・維新の大改革①「平成の農地解放」

2015年3月 2日  tag:

 そして、アベノミクスの一番の問題が、「成長戦略」=「第三の矢」が飛んでいないことです。維新の党は、その「一丁目一番地」が「規制改革」と「地域主権改革(分権改革)」だと位置づけていますが、これも何のことはない、歴代政権が取り組んできたことです。


 そう、安倍総理もおっしゃったように「要は、やるか、やらないか」、「行動」なのです。しかし、これまでの自民党政権でできなかったことが、どうして安倍政権ならできるのか、ここがポイントです。規制で守られた人たちから票や金をもらい、中央集権の下で甘い汁を吸ってきた官僚に支えられている自民党に、本当に「規制改革」や「地域主権改革」ができるのか。これは、人間の本性、人間社会の根源的な問題にも係るところです。


 だからこそ、「ここに維新の党あり」なのです。旧いしがらみや既得権益からまったく無縁の、維新の党だからこそできる本当の改革、「身のある改革」、それが「規制改革」であり、「地域主権改革」なのです。


 安倍総理のおっしゃるとおり、単なる批判の応酬からは何も生まれません。維新の党は、しっかり「対案」を示しながら、総理のいう「改革」について質してまいりますが、それにしても総理、「戦後以来の大改革」とは大見栄を切られたものです。「戦後の改革」とは、戦争放棄、国民主権の確立、教育の民主化、農地解放、財閥解体といった「国のかたちを根底から変える改革」でした。残念ながら、総理の改革は、とてもその域には達していない。はっきり最初に申し上げておきます。


(規制改革)


 さて、「規制改革」です。農業や医療・福祉、電力・エネルギーといった日本の将来を切り拓く成長分野ほど規制でがんじがらめ。この民間活力をそぐ「手枷足枷」をはずしていかなければなりません。


〈農業・農協改革〉


 まずは、「農業改革」「農協改革」です。


 維新の党は「農業は守るが農協は守らない」。農業を輸出・成長産業にする、そのために頑張る農家、特に専業、主業農家は支援する。これが基本的な方針です。


 今、JA全中の監査権の廃止ばかりがクローズアップされていますが、この程度の「組織いじり」の、どこが「農政の大改革」なのか。「大改革」とおっしゃるなら、実際に農業の将来を切り拓いていけるだけの中身がなければ意味がないでしょう。全中の監査権を廃止しても、それをそのまま「監査法人」に衣替えし、身内のお手盛り・馴れ合い監査は続ける。「監査権」は「総合調整権」と名前を変え、かえって全中は何でもできるようになる。


 そして、自民党の選挙マシーン=都道府県中央会には手をつけず、見事に温存です。こうした、いつもながらの自民党のお家芸=「看板の掛替え」や「お化粧直し」で、日本の農業の危機的状況が打開できようはずがありません。


 地域の農協の創意工夫が重要だと言うなら、同じ地域に第二農協、第三農協の設立を促し、競争させた方がはるかに効果的でしょう。あえて「よそ者」を入れる、異業種連携・融合から新しい知恵は生まれてくるのですから、農業生産法人の要件緩和はもちろんのこと、株式会社にも農地所有を認める。お年寄りや若者も、最近は地方に行って農業をしたいという人も増えているのですから、どんどん受け入れる。これは農家の担い手不足解消にもなります。そのためには、地の人で固めて、よそ者を入れたがらない農業委員会の改組も必要です。「農業委員会」は別名「転用委員会」とも言われ、その「転用期待」が農地の集約・大規模化が進まない阻害要因にもなっています。


 こうした、いわば「平成の農地解放」を断行すべきと考えますが、総理の見解を求めます。


 「農協改革」を言うなら、今やメガバンク並みになった金融部門を農協から分離し、金融庁の監督下に置いて、他の金融機関との公正な競争を促すべきでしょう。JAバンク・共済による収益が農協の本来事業を支えているという構図は、あたかも民営化前の郵政三事業と同じです。さらに言えば、農協の正組合員(四六一万人)より准組合員(非農家五三六万人)の方が多いという現状は、どう考えても法の趣旨を逸脱しています。独禁法の適用除外や税の優遇も、農協が「農業者の協同組織」だからこそであり、准組合員の利用制限も含め、その抜本的な是正策は避けて通れないでしょう、総理。それとも農協や自民党内の抵抗勢力を恐れて手をつけませんか?


 また、政府は食糧自給率の向上を目指しているのですから、減反も本当に廃止してコメをどんどん作れば良いじゃありませんか。政府は「減反廃止」を言いますが、その実は「形を変えた減反政策の継続」「名ばかり廃止」です。確かに国が音頭をとって生産目標を配分する制度は一八年度に廃止されますが、コメ以外の作物に転作する奨励金を増額して実際にはコメの減反を促す。こうした需給調整でコメの値段を高止まりさせて農家の所得を維持する、いや補助金(税金)で増やす。損をするのは高いコメを買わされる国民、消費者という、いつもながらの図式です。


 日本のコメは「美味しくて安全」、海外でも飛ぶように売れています。減反という需給調整を本当になくせば、コメの値段はさらに下がり、もっと輸出できるようになるでしょう。ただ、その分だけ農家の所得は下がる、そこは税金で一時的に直接支払い(所得補償)をしても良い、頑張る農家は支援する、欧米では当たり前のことです。そして、七七八%もの関税は段階的に廃止していく。     


 総理、この数十年間、日本の農業は、ウルグアイラウンド対策費で六兆円の税金をばらまいても、コメに異常な高関税をかけても、衰退の一途をたどってきました。その間、岩手県分の農地が失われ、滋賀県分の耕作放棄地が増えた。そして、農家の平均年齢は今や六六歳です。このまま自民党の保護農政を続けていたら確実に日本の農業は壊滅してしまいます。総理、発想を抜本的に転換して、維新の党が提案する真の「農政の大改革」を断行して、ともに日本の農業の将来を切り拓いていこうではありませんか。(次週に続く)。

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