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人の不幸を踏み台にして経済成長?観光立国?それが日本の「国柄」か!? ・・・シリーズ③何が「世界最高水準」のカジノ規制か!

2018年6月 6日  tag:

 他にも、カジノには問題点が多々あります。

 法案は、週3回(月10回)まで入場を制限すると規定しますが、週3回も行く人はすでにギャンブル依存症でしょう。我が国は特に依存症患者が多い(320万人・成人の3.6%・仏1.2%伊0.4%独0.2%)とされています。韓国では、すべてのギャンブルの中で、カジノが一番依存症になる比率が高く、10人中7人という統計もある(江原カジノ中毒症対策センター所長)そうです。

 入場料6000円も効果はあるでしょうか?一般の人が行かなくなるだけで、依存症患者は入場料を高くしても、それ以上、元をとれば良いと考えるので「▼6000円」から賭けを始めるだけの話です。それを取り返そうとのめりこむ危険さえあります。依存症患者(その可能性のある人)は通い続けるでしょう。

 こうした規制や監督を含めて、安倍首相は「世界最高水準のカジノ規制」と胸を張ります。どこかで聞いた言葉ではないでしょうか。そう、原発の安全規制でも安倍首相は「世界最高水準」と言います。しかし、米国等が安全審査の対象としている「住民の避難計画」を外して自治体任せにしておいて、どこが「世界最高水準」なのか。

 カジノ規制でも、前述したように、韓国では「内国人利用可のカジノ」は「公営」に限り、手軽にカジノを利用できる周辺の地域住民は月1回しか入場できません。また、「大都市(100万都市)」から車で2.5時間以上という設置基準も設け、日本より厳しい規制をしているのです。ちなみに、シンガポールの入場料は8000円。「ごまかし名人」の安倍首相、ここでもその面目躍如といったところでしょうか。

 ここまで書いてきて、それでは、競輪、競馬等の「公営ギャンブル」はどうなんだ!パチンコはどうなんだ!という声も上がりそうです。。

 まず、いわゆる「公営競技(ギャンブル)」ですが、競馬を除いて、競輪や競艇等は、戦後復興期、財政ひっ迫を受けて、特に地方自治体の財政難にこたえるためにやむをえず解禁したという背景があります。ただ、そこでは、今回のような「民営(民間企業)賭博」は許さず、「公設」「公営」「公益」に限定という法的措置をとって、刑法上の「賭博」という犯罪の違法性の阻却をはかったのです。

(特別法による違法性阻却)
① 施行者が地方自治体または政府全額出資の特殊法人であること(公設)
② 運営機関が非営利法人(自治体や国の外郭団体を含む)であること(公営)
③ 収益は社会貢献活動に使用すること(公益)
例えば、競輪は地方公共団体が施行している公営競技。

 今回ははじめて「公設・公営」「公共団体」以外の者、純粋民間事業者(しかも外資系企業)に認める「民営賭博」です。それがなぜ、従来の刑法の「賭博罪」の保護法益、法秩序と整合性のあるものなのか、私には到底、理解できません。従前の特別法,すなわち,競馬法,自転車競技法,小型自動車競争法,モーターボート競走法とは全く相違しています。こうした基本法ですら、法務省による政権への「忖度」でゆがめられてしまうものなのでしょうか。

(政府見解)
「(賭博罪は)国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあることから、社会の風俗を害する行為として処罰することとされている」
(刑法第35条=法令行為)
①賭博行為に伴う収益を公的主体が独占できること
②公的主体が担うことにより、限りなく不正を防止することが可能となり、公正さ、透明性を担保することができること
③悪や組織悪の介在を防ぎ、健全な賭博行為を国民に提供できる可能性が高まること
④射幸心を煽る行為を自制的に管理できること。

 次に、パチンコ(パチスロ)があるじゃないか、それはどうするんだというご意見もよく聞きます。日本のギャンブル依存症患者の多くもパチンコが原因です。しっかり規制・監督するのは当然でしょう。ただ、カジノは、射幸心をあおるという点からも、パチンコ(パチスロ)の比ではありません。

 パチンコ(パチスロ)の依存症患者が、年平均使うお金は約58000円と言われます。一方、カジノの掛け金は桁が違います。富裕層は一晩で数千万~億単位で賭ける。だからこそ深刻な依存症患者を生む。また、夜間は閉店するパチンコと違い、カジノは24時間、没頭することができます。次元が違う。少し前、某製紙会社の御曹司がカジノで大負けして、最終的には100億円以上を会社から引き出し「特別背任罪」に問われたことは記憶に新しいはずです。

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