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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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壊された法制局・・・忘れられない、あの事件

2022年9月14日  tag: , , , ,

 内閣法制局は壊れてしまったんですね。あの事件以来。

 「あの事件」とは、当時の安倍首相が、安保法制を通したいがために、従来の自民党政権を含めた憲法9条の公権解釈(「集団的自衛権は違憲」)を変更したいがために、自分と同じ考えの外務省出身の官僚に長官の首をすげ替えた事件です。

 私は20代の頃、法案作成が本務の通産省官房総務課という部署にいて、連日、その法制局に通っていました。その時の残業時間は月200時間!。過労死レベルどころではありません。

 法制局に行くと翌朝までそこに缶詰。「法匪」のような法制局参事官を相手に「てにをは」やどこに「、」を打つかまで、徹底的にしぼられ、宿題を山のようにもらい役所に帰ってくる。そこから宿題返しの作業をして、本当に睡眠時間は毎日2~3時間ということもありました。
(この辺のことは共著「脱藩官僚、霞ヶ関に宣戦布告!/朝日出版出版」に書いています。)

 また、橋本政権の時は、案件は忘れましたが。橋本首相が当時の大森政輔法制局長官(法務省出身)を官邸に呼んで議論を仕掛けましたが、大森さんは法律論を駆使し、頑として持論を曲げませんでした。当時、私は総理秘書官として、何と頭の固い人だと憤ったものでしたが、今では、法制局かくあるべしと思っています。

 私は「橋本行革」で政治(官邸)主導、内閣人事局等の施策を推進した張本人ですから、総理が官僚の人事権を行使することに異論はありません。しかし、その行使の仕方が間違っているのです。

 法制局は極めて法律的専門知識が必要なところです。ただ、外務省出身と言えば、ほとんど法律を作ったことのない、条約の世界の人ですから、その知識も経験も無い、誰が見ても不適格なわけです。湾岸戦争時に「国連平和協力法案」を外務省担当にして見事に廃案になったのが象徴的事例です。

 だからこそ、それまでの長官は、法務省や自治省(旧内務省)、大蔵や通産といった法律の大所の省庁出身者がトップについていたわけです。

 法制局と言えども、所詮役人です。一度、時の首相に逆らえば、こうした人事が行われると知ると、そう、「忖度」が横行するわけです。ですから、今回のように、国葬の法的根拠は内閣府設置法という見解も平気で出すわけですね。

 ああ、昔の法制局がなつかしい!でも、二度と行きたくはありませんがね。

国葬・・・民主主義国家、法治国家として大切なこと
本日の国葬・・・民主主義の根幹に関わる重大な欠缺あり