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諸井虔氏を悼む・・・沖縄・省庁再編・分権で連携

2007年2月26日  tag:

 諸井虔氏(地方制度調査会長・元日経連副会長)のお別れ会が、2月20日に開かれた。良い意味での最後の「オーナー経営者」で、秩父セメントという、決して大きくはない企業をバックにしながら、財界のオピニオンリーダーであり続けた。

 私と諸井氏とのご縁は、通産省で「セメント産業の構造改善」担当課長補佐とその業界トップという関係で始まった。自分の会社の原価コスト等企業秘密にわたる部分は決して明かさない業界の中にあって、過当競争のセメント産業の将来をみすえ、自ら率先して情報開示し、合併再編の引き金をひいた。

 橋本政権では、そのよしみで、普天間基地返還等の沖縄問題や中央省庁再編、地方分権等で、常に私からご相談をかけ、その度に、適切なご提言、ご助言をいただいた。

 特に、普天間基地の返還では、外務、防衛といった官僚ルートでは決して入らない生の沖縄の声を総理に伝えていただいた。当時の大田沖縄県知事とじっくりと話した結果を、私が仲介し、自民党総裁室で橋本首相に取り次いでもらったこともある。
 「普天間を首脳会談で出せば沖縄県民の感情もやわらぐ」。それが、サンタモニカでの日米首脳会談につながった。当時、外務省が「普天間のような戦略的要衝の地を米国が返すはずがない」と強く反対していたのを押し切り、総理主導で返還まで持っていけたのも、諸井氏の存在が大きかった。

 中央省庁の再編では、官邸に置いた「行革会議」のメンバーになっていただき、常に、総理の意向を踏まえて、難しい「大蔵改革」や「郵政民営化」等の問題をさばいていただいた。「裏行革会議」ではないが、夜な夜なホテルの一室に集まり、戦略、戦術を一緒に練ったのもなつかしい思い出である。

 地方分権では、その推進委員長として厳しいお言葉もいただいた。「分権会議の委員がこれだけ日夜頑張っているのに、総理は一体何を考えているのか。このままなら私は委員長を辞める」と啖呵を切られた。分権に反対する中央省庁連合軍の目論みにまんまとはまりそうになった総理への強い抗議だった。早速、総理に伝え軌道修正できた。
 国と地方を主従の関係においていた機関委任事務の完全廃止や、国と地方の紛争解決機関の設置等が実現できたのも、諸井氏のおかげだった。

 昨今、サラリーマン社長の財界人が多い中、常に国家国益とは何かを自らの企業益とは切り離して考えられる、希有な財界人であられたと思う。まことに感謝にたえない。
 ちなみに諸井氏は、昨年亡くなった私の父と同じ、昭和3年生まれだった。

 心からご冥福をお祈り申し上げます。合掌。

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