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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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シリーズ/なぜ国際貢献なのか?・・・ (3) 国連は機能するか?

2007年11月 5日  tag:

 「国連が機能しない」という議論は少し乱暴にすぎる。実は実態をみればそうではないこともわかる。ただ、誤解なきように繰り返すが、私も国連に「はがゆい面」があることは認めた上で、以下の論を展開していきたい。

 例えば、湾岸戦争の時は、国連決議に基づき多国籍軍が展開した。当時の米政権は今のブッシュ大統領の父(パパブッシュ)の政権で、同じく共和党政権だった。私が当時、首相官邸で総理の演説担当や国会対策の仕事をしていたのは前にも述べたが、その時の米国務長官、ジェームス・ベーカー氏の獅子奮迅の働きぶりには目をみはるものがあった。

 彼は、武力行使の国連決議を得るため、「シャトル外交」と後に称されるほど各国の説得、根回しに世界を奔走した。中国や、あのシリアとすら直接交渉したのである。そして、90年11月、一月ごとに交代する安保理議長のポストが米国に回ってきたタイミングを逃さず、見事に「武力行使容認」の決議案を通したのである。国連嫌いで通る米国ですら、そうした努力をしたことがあったという事実は、少なくとも銘記しておかなければならない。

 ちなみに、政治家や官僚ですら知らない人が多くて困るのだが、国連安保理決議で「武力行使」を認める決議と解釈するためには、以下の三つの要件が必要不可欠である。
(1) 「国際の平和と安全に対する脅威」であることの認定
(2) 加盟国が「国連憲章第七章の下に行動する」との文言
(3) 「必要なあらゆる手段をとる」(take all necessary measures)との合意

 湾岸戦争には、この三つの要件が具備された国連決議があったが、アフガンのテロ作戦、ましてやイラク戦争には、こうした要件を具備した決議がなかったことは言うまでもない。先日、日本の要請で行われた「海上阻止行動」への国連の「感謝決議」も、その意味では同じことだ。

 さて、湾岸戦争以外にも、コソボ空爆等国連決議に基づく多国籍軍の展開は、90年代以降をとってみても10を数えている。国連決議に基づくPKO(国連平和維持)活動も、44にのぼっている(コソボ、ソマリア、東チモール等)。そして、そのいくつかには日本も自衛隊を派遣している。常任理事国のロシアや中国が反対して機能不全といっても、結構、国連は機能しているのだ。

 もう一度言う。この地球上では「国際社会の総意」というためには、国連安保理決議こそが唯一の客観的なメルクマール、基準なのだ。それはあたかも、会社の意思と言うためには、取締役会や株主総会の決議が必要ということと同じことだ。

 だから、日本が、この客観的なメルクマールを一つの判断材料にして、あくまでも主体的に自衛隊の海外派遣の是非を決めてもまったくおかしいことではない。いや、自衛隊が世界に祝福されて、求められて世界に派遣されるという意味で、むしろ望ましいことなのである。

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シリーズ/なぜ国際貢献なのか?・・・ (4) 自衛戦争への加担は危険