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シリーズ/なぜ国際貢献なのか?・・・ (4) 自衛戦争への加担は危険

2007年11月12日  tag:

 自衛隊は、外国からみればれっきとした「軍隊」である。日本の憲法や法規、軍の規律等に照らせば、純然たる世界基準の「軍隊」とは言えないかもしれないが、現実に敵対する相手陣営からすると、そう見られてもしかたがない。このことは、小泉前首相も国会答弁で認めたことがある。

 その「軍隊たる自衛隊」の海外派遣に国連決議が必要とする考え方には、「国際社会の総意」という「大義」以外にも、もっと実質的な配慮というか、実際上の理由もある。

 それは、海外派遣された自衛隊に敵対する陣営が多いか少ないか、という要因である。敵対する陣営が多ければ、それだけ、彼らからの報復等で日本あるいは日本人が負うリスクも大きくなる。こうした現実的なリスク判断は、どの「普通の国」でも、軍隊を派遣する場合は当然考慮に入れていることだ。

 そういう意味で、米国であれ、どの国であれ、「自衛戦争」と位置づけている戦争に、後方支援といえども自衛隊を派遣することは、極めて危険なことだ。歴史上、最初から侵略戦争と言って始めた戦争はない。いつの時代も、自国に都合の良い理屈をつけて「自衛戦争」と言って始めるのが戦争だ。そういう「主観的な自衛戦争」に追随するリスクは大きく、国連決議=「国際社会の総意」に基づく戦争に比し、それだけ敵も多くなる。

 まさに、これが「テロ特措法」「イラク特措法」の問題なのだ。補給艦も護衛艦も敵からみればれっきとした軍艦である。敵陣営からすれば、日本の補給艦が米英等の軍艦と並走して給油活動をしている姿をみれば、「我々に弓を引いている」と思ってもしょうがないだろう。

 サマワに派遣された陸自も、「人道復興支援」と言いながら、敵からみれば立派な軍隊だ。フセイン政権打倒前のイラクの副大統領が「我々の一番の敵は米国、二番目の敵は英国、そして三番目の敵は日本だ」と言っていたことを思い起こす。

 米国は「世界の警察官」たる役割を実際上果たしてきた。これまでも、そしてこれからも世界中の紛争に介入していくことだろう。それだけの責任を負っている米国には心から敬意を表するが、その米国に日本が追随することで、どういう結果を日本国民にもたらすかに、もっと思いを致したほうがいい。

 米国は責任を果たす代わりに多大なリスクも背負っている。過去の米大使館の爆破事件等を思い起こすまでもなく、米国民は、普通に生活していても常に戦争やテロと向き合う国民になっている。今の政府・自民党のロジックを推し進めていくと、「後方支援」、あるいは「非戦闘地域」であれば、米国が自衛戦争という戦争に、地球の津々浦々まで自衛隊を派遣してよいということになる。

 それで良いのですかと、今、私は真剣に国民の皆さんに問いたいのである。日本及び日本人を、常に戦争やテロと向き合う国民にして良いのか、それだけの覚悟が今の日本人にあるのか、と。

 もう一度言う。なぜ我々は国際貢献をなすべきなのか。それは国際貢献を通じて諸国民との友好を深め、結果的に、我々日本人が、この世界において平和理に暮らしていけるようにすることではないのか。それが自衛隊を派遣したばっかりに、日本および日本人を日常的な危険にさらしてしまう。私が、国際貢献をしたばっかりに「本末転倒」という所以のものである。

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