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シリーズ/なぜ国際貢献なのか?・・・ (5) 日本は米国のポチか?

2007年11月19日  tag:

 こう言うと、「いやいや、何も米国の言うことを何でも聞く必要はない。日本が主体的に、その時々に判断すればすむことだ」といった反論が聞こえてきそうである。しかし、私は、このような政権の中枢の実態を知らない論に与するわけにはいかない。

 まず、日本政府は、特に外務省は、米国の、特に米軍のすることには「何も言えない」というのが実態だった。それが、これまでの政府、外務省の長年染みついた体質だった。その意味では、小泉政権が9.11テロ以降、米国の言いなりになってきたこと(「米国のポチ」化)は、ある意味、当然の帰結だったのである。

 私の実体験からいくつかのエピソードを紹介しよう。

 今から十年前の96年4月、橋本首相・クリントン大統領との間で、沖縄の「普天間基地の返還合意」をした。この経緯についてはあちこちで既に書いているので詳細は省略するが、当初の外務省の反応は「そんな戦略的要衝の地の返還を、首脳会談で持ち出すだけで総理、恥かきますよ」といったものだった。

 当時の状況は、沖縄が、海兵隊員の少女暴行事件をきっかけに、基地負担の軽減を心底から訴えており、市街地の中心部に陣取り、ヘリの離発着で輻輳を極める同基地の返還を求めることは、象徴的な意味合いもあった。

 しかし、「日本よりも相手国重視」「事なかれ主義」の外務省は、米国との間で話を持ち出すことすら頑として応じなかった。対米に限らず、対中にしても、相手国の嫌がることは極力避けるという外務省の体質(「○○スクール」の存在等)について、ここ数年来、散々証明される事例があったので、ここでくどくど言い募る必要もなかろう。それでも「普天間返還」が合意されたのは、橋本首相の決断だったとしか言いようがない。

 この時は、「海兵隊の削減」も沖縄の強い要望だった。問題の発端が海兵隊の起こした事件ということもあった。私は、官邸内で一人、「将来的な海兵隊の削減」を主張した。これだけ沖縄が熱望する問題には真摯に応えなければならない、今後の北朝鮮や中台海峡情勢の変化を見通せば、この地域で頑として海兵隊を一兵たりとも削減まかりならん、ということにはならない。少しでも沖縄県民の感情を和らげるためにも、海兵隊削減を日米間のアジェンダの一つに載せるべきだ、と主張した。

 が、これは外務省はもとより、橋本首相の採るところともならなかった。外務省幹部が「国家公務員と同じように、海兵隊にも定例の定員削減というのがある。それを「削減」と称して、沖縄に高く売りましょうか」と持ちかけてきたが、そんな姑息な案に、私が「うん」と言うことはなかった。その幹部とは、後に北朝鮮問題で名を馳せた幹部だった。

 しかし、十年経ってどうなったか。むしろ、米国側からの提案で、海兵隊8000人の削減だ。なぜ日本側から、中期的な展望の上に立って、米国に働きかけていくというダイナミックな政治、外交ができないのか。経済問題は格別、軍事的な米国の要求を突っぱね、主体的に日本が判断するなどといった対応は、今の政治家や官僚に、到底、のぞむべくもないのである。

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