国民一人一人の夢を実現できる社会を実現したい

江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

文字サイズ
Home  > コラム  > 今週の直言  >  解散総選挙・・・地域主権(2)

カテゴリー月別

解散総選挙・・・地域主権(2)

2009年7月27日  tag: , ,

ただ、この「地域主権」については、国民に具体的なイメージがわかないという声が多い。住民に何のメリットがあるのか。確かに、今の「地方分権」や小泉政権下の「三位一体改革」は、エセ「地域主権」だから実感がないのも当然だろう。

 ちなみに、小泉政権下の「三位一体改革」は、その方向性は良かったが、財務省主導の財政再建重視の進め方に最大の問題があった。確かに、4兆円の国の補助金のうち3兆円が地方へ税源移譲されたが、一方で地方交付税が5兆円も切られ、それが地域の疲弊を深刻化させた。3兆円の税源移譲も、国の補助率を1/2を1/3にする等相変わらず国の「ひも付き」、すなわち、国が口を出す権限を残したままの移譲で、地方の自由度を高めるという分権の趣旨を全うしたものではなかった。

 さて、「地域のことは地域で決められる」ということは、税金の使い道も含めて、住民に身近な市区町村長が決められるということだ。救急車のたらい回しに象徴される「病院崩壊」や「介護現場の崩壊」、子育ての支援や教育現場の建て直し等々、その地域での政策の優先順位を地域で決め、地域で税金の重点配分ができる。地域のことは地域の住民が一番知っているのだから、「住民参加」もしながら、地域で決めていく。これを「住民自治」という。東京の霞が関でふんぞり返っている官僚に「地域」のことはわからないし、関心もないのだ。

 一方で、夕張市の例をひくまでもなく、そうなれば、首長選びを含めて、地域の責任も重くなる。税金の使い方を身近でチェックできるようになるということは、それだけ地域の首長や住民の責任も重くなるということになる。財源が足らないということになれば、増税という選択肢も地域が検討することになる。しかし、それが民主主義の当然の帰結だろう。

 もっと具体的に述べよう。「3ゲン」のうち、一番重要で抵抗も強いのが「税源移譲」だ。この点では、各省庁の「ひも付き補助金」(19兆円)と「地方交付税」(16兆円)を廃止し、それに見合う財源を地方自治体に移譲する。その第一歩として来年度には、知事会の要望通り、国と地方の税源配分を5:5する。その後、順次、権限移譲に伴い地方配分比率を上げていけばいい。今、正確に予測することは困難だが、道州制導入の暁には、この比率が1.5:8.5または1:9程度にまで高まる。

 同じく知事会が廃止を要望している、国の直轄事業の地方負担金は、直轄事業そのものを段階的に縮小・廃止・地方移管することで達成する。とりあえず、来年度から維持管理費負担金は廃止する。そもそも地域主権型道州制になれば、国の直轄事業そのものがなくなるのだ。

 さらに、地方交付税の廃止にともない、国主導ではない自治体間の財政調整の仕組み(例えば「道州会議」の設置)を設けたり、以上の「地域主権」への進め方については、国と地方自治体との協議の法的枠組みを設ける必要もあるだろう。

 いずれにせよ、10年後を目途に、あらたな「国のかたち」、地域主権型道州制に移行すべきである。そのためには、大変な困難と長い時間も必要となる。したがって、政府の不退転の決意を表すため、内閣に担当の専任大臣を設置し、実現までの工程を明記した「道州制基本法」を早急に制定する必要があるのだ。

いよいよ解散総選挙へ・・・『地域主権』とは?
「解散総選挙・・・増税の前にやるべきことがある!」 ── まず国会議員や官僚が身を切るべきだ ──