消費税増税をどう考えるか(中)・・・社会保障と税の一体改革
2011年1月31日 tag: 消費税
誤解なきように言えば、私も財政危機への認識や財政再建の重要性は人一倍共有しているつもりだ。しかし、どこの世界にバランスシートの右側、すなわち負債のところだけ取り出して「大変だ、大変だ」と騒いでいる企業家や会計専門家がいるだろうか。
国のバランスシートは数年前はじめて作成され、ざっくり言うと資産が700兆円で負債が1000兆円だ。その資産負債差額は300兆円で、この額が「純債務」ということになる。ちなみに、1000兆円のことは「粗債務」という。
それでも300兆円の純債務があるのだから、それをどうでも良いとは私も言わない。しかし、普通の企業なら、会社更生のために、やるべき手順、プロセスがあると言っているだけなのだ。
国民の皆さんにも、よく考えてもらいたい。今の日本は倒産の危機に瀕している会社と同じだ。そうした時に、いきなり消費税の増税をすることは、いきなり製品(商品)価格を値上げするのと同じことなのだ。そんなことをすれば、一層売上げが減り、赤字幅が拡大し、会社は確実に倒産してしまうだろう。国で言えば、消費税増税で増収をねらったら、かえって景気が悪くなって減収になった、と同じことなのだ。
じゃあ、どうするか。まず会社自身が身を切るリストラをしなければ始まらない。そのためにはまず「隗より始めよ」、①社長や役員が給料をカットしボーナスを返上する、当たり前のことだ。国で言えば、みんなの党が昨年秋の国会に提出した議員立法で提案したように、国会議員の給料3割カット、ボーナス5割カット(今年のボーナスに限っては全額返上)だ。しかし、民主、自民他各党はこの提案を一顧だにしなかった。
そして、その上で、②従業員に給料、ボーナスカットを求める。それでも足りない時はやむを得ない、整理解雇、人員整理まで進む。国で言えば、国家公務員の総人件費2割削減や国会議員、公務員の定数削減だ。
しかし、この点でも民主党政権は、次期衆院選までの国家公務員の総人件費2割削減はあきらめ、国会議員の定数削減は、菅首相が昨年秋表明した「本年末までに衆院定数80減」ですら検討もされずに終わっている。
そしてまだある。③会社の遊休資産や不採算の子会社の売却、事業の効率化等による負債の圧縮だ。国で言えば、民主党も主張していた「ムダ遣いの解消」「特別会計や独立行政法人の埋蔵金の発掘」「事業仕分けによる不要施策の廃止」等だ。子会社の売却は独立行政法人の全廃がこれに当たる。この点でも極めて不十分に終わったことは、民主党の財源論が根本的に実行不可能となっていることから明らかであろう。
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