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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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消費税増税をどう考えるか(下)・・・社会保障と税の一体改革

2011年2月 7日  tag:

 以上のような会社更生、リストラ策を徹底的に実行しても、まだ、即、製品(商品)価格をあげようということにはならない。なぜなら、リストラ効果でコストも削減されていることだろうし、何よりも、景気が悪い時に値上げでもしようものなら、途端に製品が売れなくなって、せっかくリストラしてもまた倒産危機に瀕し、せっかくのリストラが台無しになってしまうからだ。

 だから、将来、④どうしても製品価格を上げざるを得ない場合でも、その時の景気の状況をよくみなければならない。国で言えば、消費税増税をせざるをえない状況に追い込まれても、まずは景気回復、経済を成長路線に乗せてからということになるのだ。

 これが、みんなの党は、当たり前の、世界標準の考え方だと訴えているのだ。現に、民主党政権下で、あの会社更生法の適用を申請したJALは血のにじむようなリストラ努力をしている。

 この1月19日で経営破たんから1年を迎えたJALは、まず、①では、旧経営陣がほぼ総退陣した。そして②では、パイロットは30%、客室乗務員は25%の給料カットを行い、今年3月までにグループ内で1万6000人(4.8万人→3.2万人)を削減し、人員規模を2/3に縮小した。またOBの年金減額にまで踏み込んだ。③では、国際線と国内線合わせて不採算・赤字45路線を廃止するとともに、燃費の悪いジャンボ機も売却、官僚や役職員の天下り先になっていた子会社(110社)を売却・清算・統廃合で57社に減らす。まさに大規模なリストラを敢行しているのである。

 ただ、この過程では、JALは企業再生支援機構から公的資金3500億円の出資を受け、取引銀行には5200億円の借金を棒引きをしてもらった。これが当たり前の対応なのだ。今、航空運賃の引き上げなど、検討しただけで総スカンだろう。

 ひるがえって国はどうか。国は公的資金3500億円どころか、全額税金、公金で運営されている。どうしてJALのように、いやそれ以上に当たり前のことができないのか。それどころか、菅首相は、月給206万円のうち、たったの5000円カットで「国民に負担をお願いせざるをえない」と平然と言い放っている。

 そして、与謝野馨氏の「ムダ遣いを解消して、経済を成長させ、その後に増税と言うのは逃げだ。これらは同時に議論し実行していくべきだ」という論に内閣が引っ張られている。

 私が予算委(2月2日)で追及したように、つい一年前までは「「逆立ちしても鼻血が出ないほど完全にムダをなくした段階で(消費税増税は)議論し、必要であれば必要な措置をとればいい」と言っていた菅首相が、先般の本会議答弁では「無駄と言うのは永遠に生まれるものであり、無駄がゼロという状況が理解できない」「ムダ削減と同時に社会保障、消費税の議論をすべき」(今年1月27日・本会議答弁)と豹変した。

 なぜ、小泉政権時、一時は28兆円もあった基礎的財政収支の赤字が6兆円に減ったのか。増税したからではない。その当時、1.1%の名目成長があったからである。たったの1.1%成長でこれほど赤字削減効果があるのだ。なぜ、クリントン政権が3000億ドルの財政赤字を引き継いで98年には見事に黒字化できたか。当時、5.7%の名目成長があったからである。

 これが歴史の事実であり、世界の常識なのだ。しかし、財務官僚に洗脳されている政治家やメディアがこのことを理解しようとしない。これが自民、民主が主導してきた、いや財務省が主導してきた日本政治の致命的な欠陥なのだ。

 我々みんなの党も、将来にわたって絶対に増税まかりならんと言っているわけではない。その前にしっかり手順、プロセスを経ないと、国民の理解も得られないし、この国の経済もおかしくなってしまうと言っているだけだ。「増税の前にやるべきことがあるだろう」。その趣旨を正確に理解していただきたいものだ。

消費税増税をどう考えるか(中)・・・社会保障と税の一体改革
なぜ名目4%成長が必要か?(上)・・・財政再建のためにも