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発送電分離は日本再生のカギ・・・①一石三鳥の特効薬

2011年5月30日  tag:

 先週、「東電賠償スキーム」の一環として、「政治の決断で、特別立法で、東電の一時国有化を含む、大胆なスキームを打ち出すべき」と書いた。そして、そこに、「将来的な電力の再編・自由化、それによる電力の需給構造の安定化と転換、ひいては日本経済の再生も織り込む」とも書いた。その趣旨をこれから説明しよう。

 「一時国有化」のミソは、発送電分離という事業分割にある。こうした荒技は、東電の債務超過を前提とした国有化、特別立法でなければできない。

 そもそも、なぜ、電力会社に地域独占が許されているのか。それは莫大な設備投資の必要性が「自然独占」へと導く可能性が高い分野だと理解されてきたからだ。しかし、今や、技術革新等の進展により、そのロジックが通用するには送電部門だけになった。電部門には新規参入が可能で「分散型電源」が可能となっている。

 現に、こうした情勢変化を受けて、1995年以降、「電力の自由化」が進められ、卸電力や大口需要家への小売の自由化が図られた。しかし、そうした新規参入者が電力を供給しようにも、9電力が持っている送電線(網)を利用せざるをえない。しかし、そこには電力側の「優越的地位」による実際上の利用制限や、高い託送料(貸与料金)の存在があり、その拡大を阻害してきたと言われている。

 要は、発電部門と送(配)電部門を分離して、同じ発電ビジネスをやっているライバル企業が、同時に送電線を持っているという状況を打破することが肝要なのである。それはあたかも、電話回線、通信回線が開放され、電気通信事業者が新たに参入し、その結果、競争による効率化・コスト減で、大幅な料金引き下げが実現したことを思い起こせばわかる。

 日本には、鉄鋼や化学会社が保有する自家発電所等の、埋蔵金ならぬ「埋蔵電力」が6000万キロワット(東電の総供給能力に匹敵)程度あると言われている。こうした電力はコストの高い火力が多いため、非常用電源として使われる場合が多いが、今次経験したような、いざという時の計画停電を避けるための電力供給源としては、こうした電力の活用もすればいい。

 また、太陽光や風力といった新・再生エネルギーが日本で伸びていかない大きな要因の一つに、やはり、埋蔵電力同様、電力会社側の、こうした電力の「補完的電力」としての位置づけ、それによる各種縛り、制約等を指摘する声も多い。

 そういう意味でも、送電網を分離し、中立的な会社が運営するようになれば、こうした埋蔵電力も顕在化し、新・再生エネルギーの開発も一層促進されるようになるだろう。

 以上まとめれば、新規参入による競争で、世界一といわれる電力料金は、賠償で上がるどころか下がり、今回のように、災害で電源が失われても、他に代替する電源会社、あるいは埋蔵電力を活用すれば、電力の安定供給も確保され、そして、新・再生エネルギーの開発促で「脱原発依存」の電力供給構造転換を図っていくこともできるのである。

 いわば「一石三鳥」の特効薬なのである(来週に続く)。

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