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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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消費税増税法案への代表質問(衆院本会議5/11)・・・「完全バージョン」(下)

2012年5月21日  tag: ,

 我々は、まだまだ、日本は経済成長できる、そのポテンシャルは大きいと考えています。具体的には、既得権益を
打破する規制大改革、技術革新への重点投資、2%のインフレ目標設定など大胆な金融緩和、この三つの大きな柱で
4%の名目成長を目指す。

 特に、規制改革については、福祉、教育・子育て、農業、電力・エネルギーといった将来有望な分野から、官僚の
手かせ足かせを取り払い、規制に守られ安穏としている既得権益を打破し、株式会社やNPOなどの「新しい血」、
新規参入を促進します。経済は「資本+労働+全要素生産性」で伸びていきます。この経済のけん引力、資本ストックの増強、設備投資の促進を図るのです。

 これら規制改革、既得権益の打破は、しがらみだらけの既成政党には絶対にできない!総理はこの点、口を開けば
「新経済成長戦略」としか言いませんが、この民主党政権肝いりの新成長戦略も「9割は効果がなかった」と自己評価
しているじゃありませんか。如何ですか?総理。

 このような議論に対しては、「もう経済成長は要らない」「成熟した国家ではそんな成長は見込めない」といった
「敗北主義」的な反論があります。しかし、そう言う人たちに私は言いたい。じゃあ、1000兆円になんなんとする大借金を
どうやって返していくんですか?と。1000兆円といえば単純計算すれば消費税400%分ですよ。増税で返すという人は、
一体いくら増税すれば財政再建できると言うのですか。まさに「焼け石に水」でしょう。

 みんなの党は、この大借金を持続的に返済していくためには成長しかないと考えています。「成長なくして財政再建
なし」。アメリカのクリントン政権が、前政権から引き継いだ3000億㌦の財政赤字を5年後にすべて解消したのも、
小泉政権が28兆円のプライマリーバランスの赤字を2007年には6兆円に減らしたのも、それぞれ、年平均5.7%、
1.1%の経済成長があったからです。総理、如何ですか?

 日本の財政事情をよくギリシャと比較し「決して対岸の火事ではない」と言われます。しかし、日本をギリシャに
例えること自体が大間違いです。ギリシャは、国民の四人に一人が公務員、しかも給料は民間の二倍、現役並みの
年金をもらい、国を引っ張る産業といえば観光業くらいしかない、そうした中で2006年~10年にかけて18%の消費税を23%に増税した。GDP統計をみればわかるように、ちょうど、その増税にあわせてギリシャ経済は奈落の底に落ちていくの
です。

 この二の舞を決して日本はしてはいけません。ギリシャの教訓は「増税しなければ財政破たん」ではなく、「公務員天国を放置し、成長戦略もなく増税すれば国家破たん」と捉えるべきなのです。まさに、今の民主党政権を見るようです。
総理、如何ですか?

 総理、なぜ、IMFに、外為特会の資金から5兆円もの巨額資金がポンと拠出できるのですか?私も国際貢献に反対するわけでは更々ありません。しかし、私が言いたいのは、なぜ、こういう使い方をする前に、日本のために、被災地のために使わないのか!ということです。

 具体的には、米国債が満期になって償還されてくる15兆円規模のドル資金をドル建て復興債で引き受け、為替スワップで相場になるべく影響を与えない形で復旧・復興に使おうという提案を、私は予算委員会で何度もしました。しかし、
安住大臣や財務省は全否定。一方では、こうした巨額のIMFへの拠出は簡単に行う。ユーロ危機対応に27億ユーロ、
韓国への通貨スワップで700億ドルです。今回のIMFへの資金協力要請に、米国は財政が厳しいからと出し渋っていると言います。そんなことを言ったら日本の方がはるかに厳しいのではなかったのですか!?お答えください。

 私は97年、総理側近として、前回の消費増税のプロセスに直接立ち会いました。当時は、来るべき増税に堪えられる
経済の体力をつけるため、景気に十分すぎるぐらい配慮した。すなわち、増税に先行するところ3年間、年5.5兆円規模の
所得・住民減税を実施し、その結果、当時の統計で、経済は95年には2.2%、96年には3.6%成長し、株価は何と2万円を
超えていたのです。そして、増税の半年前には「橋本5大改革」を打ち出し、かつ、総選挙で増税を訴え勝利した。
国民の理解を得たんです。

 しかし、今の野田政権は、こうした丁寧なプロセス、手続きをすべてすっ飛ばして、「何が何でも増税」「増税一直線
路線」をひた走っています。日本を取り巻く経済の状況や国際的な危機には、前回と今回とでは彼我の格差があります。
十数年デフレが続き、かつ、マイナス・ゼロ成長、株価も9000円前後に落ち込み、目の前にはユーロ危機がある。その上、
前回の増税時を上回る14.2兆円の負担増で、日本という国がいよいよ破滅への道を歩むことにもなりかねません。

 野田総理、あなたや財務省のやり方では絶対に増税はできない!最後に、前回増税時の生き証人の一人として
断言して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
 
【今週の直言】消費税増税法案への代表質問(衆院本会議5/11)・・・「完全バージョン」(上)
 
 
【参考】
 ・本会議代表質問の様子はこちら
 ・前回(2012年3月6日)の予算委員会の質問はこちら(代表質問の内容をさらに細かく追及しております)
 ・江田けんじの拙著「財務省のマインドコントロール」はこちら
 
 
20120511本会議代表質問.JPGのサムネール画像 

消費税増税法案への代表質問(衆院本会議5/11)・・・「完全バージョン」(上)
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