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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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「予算執行抑制で実害・・・財務省「言いなり政治」の象徴(上)」

2012年11月19日  tag:

 11月13日、私は民主党政権最後の予算委員会の論戦に立った。相手は、もちろん野田首相である。

 この野田「財務省言いなり」内閣は、あろうことか、9月7日の閣議決定に基づき、特例公債法案の成立の遅れを口実にして、これまで、国民生活や経済活動に重大な悪影響を及ぼす予算の執行をあえて抑制してきた。

 その主な費目と抑制額(9月~11月)は以下のとおりである。地方交付税/2.2兆円(9月)・4.1兆円(11月)、基礎年金
国庫負担/1.1兆円、協会けんぽ補助金/0.5兆円、国立大学・独法交付金/0.3兆円、私学補助金/0.1兆円等々。

 これらは現行財政制度、法律の枠組みの中で、まったく必要もない抑制策だ。財務省が、特例公債法案を成立させ
たい一心で、いつものように、こうした恫喝まがいの手法を用いて、愚鈍な政治家たちをマインドコントロールしたのだ。

 その結果、子どもやお年寄りの福祉サービス、地域の経済活性化、雇用、住民の安全、安心確保に支障が出ている。特に、地方交付税交付の抑制の結果、地方公共団体が穴埋めの資金を借り入れた額が6300億円、その金利負担が
5700万円(総務相答弁)に及ぶというのだから、現実に実害が出ているのだ。これを、野田政権と財務省とがグルに
なった「国家的犯罪」と言わずして何と言おう。

 なぜ、こうした抑制策が必要ないのか。それは、れっきとして、予算総則第8条に、まさにこうした事態に対応するための「つなぎ資金」として、20兆円を限度にして短期国債(財務省証券)の発行が認められているからだ。

 それを財務省は、これまで使ったことのないような屁理屈をこねて、わざと使わせないようにし、「困った、困った。この
ままでは財源が枯渇して、政府窓口閉鎖、予算執行の停止をせざるを得ない」と脅迫、恫喝したのである。これに見事に
はまってしまったのが、民主党、自民党、大手メディア等なのだ。

 財務省の屁理屈、それは「財政法第7条2項で、財務省証券は、当該年度の歳入をもって償還しなければならないと
規定」されているため、特例公債法案が成立して償還財源が確保されない限りは発行できない、というものだ。

 しかし、この論理は既に破綻している。国から地方自治体への地方交付税交付を抑制された結果、地方自治体では、既述のとおり、一時借入れが行われており、国もこれを認めているが、実は、この地方自治体の一時借入れについても、地方自治法第235条の3により「当該年度の歳入をもって償還しなければならない」と全く同じ条文が規定されているからである。

 つまり、国でも地方でも、短期国債であろうが一時借入金であろうが、現在、確かに確実な償還財源は確保されていないが、その同じ条文解釈として、地方自治体の一時借入れは合法だが、短期国債の発行は違法という論理は成り立
たないのだ。

 こうした「償還できるか否か」の可能性の問題については、政府が年度末(来年3月末)までに「特例公債法案」を成立
させるという不退転の決意を示せば足りる。国会の意思である予算総則の規定とも相まって、こうした形で一時的に短期
国債を発行したところで、司法が違法と断じることはないのである。

 結局これも、官僚が自分たちに都合よく、恣意的に法解釈をしたということだ。実は、私は、こうした政府解釈を決する
内閣法制局に若き官僚の頃、足繁く通ったことからわかるのだが、こうした、財政法の解釈は、具体的には内閣法制局
第一部が担い、その担当参事官は財務省出向の官僚なのだ。財務省の身内の解釈で如何様にも決められるのである。そんな実情を、そもそも行政知識の薄い野田首相が知ろうはずもない(来週に続く)。

※江田けんじの拙著「財務省のマインドコントロール」はこちら

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