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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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公正取引委員長も元財務事務次官とは!・・・自由経済の番人

2013年2月12日  tag: ,

 日銀総裁人事の話題が花盛りだが、先週末、公正取引委員長の人事も衆参の議院運営委員会に提示された。またしても、杉本和行氏という、元財務事務次官を充てる案だった。

 私は、この人事を2月8日の予算委で取り上げ、公正取引委員会は「自由経済の番人」である以上、それとは真逆の、かつて銀行や証券会社の「箸の上げ下ろし」までガチガチに許認可で縛って、カルテル体質を助長してきた役所出身者にはもっとも適さない、予算配分を通じて民間経済をコントロールする技術に長じた方は、自由な取引社会の守り手には最も適さない、という理由で反対した。

 そもそも、公正取引委員会とは何か。内閣から独立した第三条委員会(独立行政委員会)で、「カルテル」や「不公正な取引方法」を行っている企業や団体を摘発し、資本主義社会の原点である「自由で公正な競争」を確保する役所だ。

 そのためには、「犯則調査権限」も与えられ、すなわち、現場への「立入検査」「事情聴取」「差押え」までもが認められる。そう、検察、警察類似機能が与えられているのだ。さらには、独禁法違反事例について審決、審判という裁判の一審機能まで担う。

 こういう公取の機能を勘案して、それにふさわしいトップとして、私がお仕えした橋本龍太郎政権では、それまでずっと、指定席のように歴代元大蔵省OBが占めていた委員長ポストに、96年、根来元東京高検検事長を据えたのである。

 件の杉本氏は、主計育ちの超エリート官僚だ。予算編成という、単式簿記(大福帳。宿帳形式)の世界しか知らず、日頃、仕事の相手といえば各省庁の役人、民間経済の生の空気を吸うこともなく、「切った貼った」の予算査定作業にたけてきた人にはとても務まるポストではないだろう。

 日銀総裁人事もそうだが、アプリオリに財務省OBだから、出身が出自がそうだからと100%否定するつもりはないが、当該ポストに求められる資質・能力に照らして、こうした元財務官僚には、そうした資質、能力がないと言っているにすぎないのだ。財務官僚には、まさに、財政規律の維持やムダづかいの解消等得意分野で活躍してもらえば良い。

 また、この予算委で、私は、昨年12月、政権交代のどさくさまぎれに、日本郵政の社長が財務省出身の副社長、坂篤郎氏へ交代した人事についても質した。菅幹事長代行(当時。現官房長官)はこの時、「財務省によるたらい回しで看過できない」と批判していたからだ。

 これに対しては、菅義偉官房長官が予算委で「自民党政権になることが分かっていた時で非常識だと思っていた」と批判したことを「政治家の発言は重いと考えている」と追認、安倍首相もそれを受けて「官房長官の発言は内閣を代表したもの。「当然重たい」とフォローしたことで、その見直しが現実的になってきた。

 日本郵政は100%政府出資の国策会社であり、株主は国一人、具体的には担当の財務省理財局次長が一人出席して、通常はシャンシャンで終わる。しかし、政権のトップとナンバーツーが同時に見直しを示唆したことで、今後、日本郵政の方から何らかの動きが出てくるだろう。

 何度も言う、なにも財務官僚を目の敵にしているわけではない。この国の統治機構は放っておけば、能力、資質にかかわらず、「財務省の植民地支配」がどんどんなされていくという現実にしっかり目を向けるべきだと言っているのだ。

 以前にも書いた。日本株式会社に経理部長(財務省)は必要だし、経理部担当の平取ぐらいはいても良いだろう。しかし、野田政権が典型であったように、今の日本は会長も社長も、専務も常務も、油断していると経理部出身で占められてしまう。

 そうした会社は当面底堅いかもしれないが。将来、市場のニースを敏感にかぎとって伸びていく会社は、企画部や研究開発部等が元気な会社だろう。そして、今の日本に、それはまさに必要なことなのだ。

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