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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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TPPへの疑問、懸念に答える・・・③医療が崩壊する

2013年4月 8日  tag:

 最後に、医療、特に、「日本の国民皆保険が崩壊する」といった荒唐無稽な批判もある。ここまで来ると、悪質なデマゴーグとしか言いようがない。

 この医療制度を含む「社会保障制度」は、WTOのサービス交渉でも、既存のFTAやEPAでも対象外であり、現に、TPP交渉でも、医療保険、混合診療の解禁等は議論されていない。

 少しでも米国政治の内情を知っている人からすれば、この「健康保険制度」が米国にとって極めて「センシティブ」(敏感)な問題であることは自明のことだ。あのクリントン大統領時代に、その奥さん、ヒラリーさんが、日本と同じような皆保険に近付けようと相当努力したが頓挫したのだ。

 ご承知のように、米国には「メディケア」「メディケイド」、高齢者・重度障害者と所得の低い層の人にしか公的な保険制度がない。それをクリントン政権は改革しようとしたのだが、共和党等の反対に遭ったのだ。そんな政治的なセンシティブなマターをわざわざTPPの場で米国が提起するわけがない。それは米国にとっては「返り血」を浴びる話だからだ。現に、カトラー米国通商代表補の東京での講演(2012年3月)でも、混合診療や営利企業の医療参入を含め、TPPで公的医療保険は取り上げないと述べている。

 この関連で、よく米韓FTAで、韓国の特定地域で、外国人による外国人専用の病院や薬局の開設のみ外資参入を認めていることが引き合いに出される。しかし、このケースは、米韓FTAが交渉される前から存在した韓国の国内法を、米韓FTAの中で確認したにすぎす、FTA交渉とは何ら関係ない。

 また、ニュージーランドやオーストラリアが採用する「公的薬価制度」がTPPで議論の俎上にのったことは事実だが、両国とも「我々はいかなる貿易交渉においても我々の保険制度を交渉する気はない」(貿易相)と拒否している。日本も今の薬価制度を変更したくなければ、この両国と共闘して反対すればいいだけの話である。前に述べたとおり、TPPのような多国間交渉では、この3国が反対している内容が協定に盛り込まれることはない。

 この「医療が危ない」プロパガンダは、農産品を守りたい農協が、自分たちだけでは心もとないとして、医師会まで仲間に取り込んで「国民的運動」に仕立て上げたというのが実情だ。ここまでくると「開いた口が塞がらない」。「TPPお化け」という言葉があるが、私に言わせれば、TPPの幻影を作為的につくって、シャドーボクシングをしているようなものだ。

 国民の皆さんには、こうした作り話に惑わされず、ぜひ冷静に考えていただきたいと思う。

【シリーズ TPPへの疑問、懸念に答える】
 ①ISD条項
 ②食品安全が脅かされる

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