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シリーズ⑤「日本には『大義なきイラク戦争』への総括がない」・・・賛成・支持した政治家に安保を語る資格はあるか?

2015年11月 2日  tag:

 この連載中に、次のようなニュースが飛び込んできた。


 [ロンドン 10月25日 ロイター] - 英国のブレア元首相は25日に放映された米CNNとのインタビューで、在任中の2003年に始まったイラク戦争が過激派組織「イスラム国」の台頭につながったと認め、戦争に踏み切る際の計画にミスがあったと謝罪した。
 

 同戦争がイスラム国台頭の主な原因だと思うかとの問いに、ブレア氏は「いくらかの真実」があるとコメント。当時のフセイン政権を倒した米主導の有志国が現在の状況と無関係だとは言えないと認めた。


 専門家らは、米国が旧イラク軍の解体を決めたことで、国内の治安に空白が生まれ、それが後にイスラム国誕生につながったとしている。


 英国でも、当時の首相ブレアーがイラク戦争の間違いを認め、国民に謝罪した。この連載でもふれた「イラク戦争を検証する独立調査委員会」の報告書の公開が間近とされ、予想される批判に先手を打ったものとみられている。やはり、英国でも「民主主義」は機能している。それに引きかえ我が日本は、、、、。


(注:開戦当時の記述です/拙著「小泉政治の正体」/PHP2004年11月刊より)


 自衛隊の海外派遣の是非を考えるには、「集団的自衛権」の問題を抜きにしては語れない。「集団的自衛権」とは、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国への攻撃とみなし、実力をもって阻止する権利」とされる。要は、米国のような同盟国が他国に攻撃された場合、日本も自衛隊を派遣して、一緒に戦う権利のことだ。


 これまで政府は、「国際法上、集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であるが、憲法第九条で許容される自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超え、憲法違反」としてきた。


 私も、「集団的自衛権」の行使は認められるべきではないと考えている。これを認めると、同盟国米国に追随して、地球の隅々にまで自衛隊を派遣できるようになり、その結果、日本は、常に戦争やテロと向き合わなければならなくなる。それだけの覚悟や準備が、今の日本や国民にあるだろうか。先の大戦で被った惨禍、多大なる犠牲、そこから得た貴重な教訓は、一体どこにいってしまうのだろうか。賛成派の方々には、よくよく考えていただきたい。


 一方で、私は、国連による「集団的安全保障」には、国連決議に基づく国際社会の総意があることから、自衛隊の派遣も含め最大限貢献すべきだと考えている。もちろん、日本国民の生命・財産を守る「個別的自衛権」の内実を確固たるものにすることは当然のことだ。また、日本周辺有事の際、出動する米軍への自衛隊の協力等を定める「周辺事態法」(ガイドライン法)は、「集団的自衛権」の問題ではなく、日米安保体制の中味を埋める「個別的自衛権」の範疇に入るものと考えている。


 私が、アフガン攻撃に後方支援するための「テロ特措法」に反対したのは、それが、米国の対テロ・自衛戦争に協力する「集団的自衛権」行使に踏み込むものだったからであり、有事関連法案に賛成したのは、問題はあるものの、日本の防衛を図るための「個別的自衛権」の内実を埋めるものだったからだ。


 また、イラク戦争やアフガン攻撃を巡り、私が執拗に「国連決議」にこだわったのは、それが、国連安保理決議=「国際社会の意思」に基づく安全保障の枠組み(集団的安全保障)への我が国の協力なのかどうか、その性格付けをはっきりさせたかったからである。
この点での小泉首相最大のごまかしは、一方で、「集団的自衛権の行使は認められない」という従来の政府解釈は維持しながら、他方で、憲法改正や解釈改憲の宣言すらなく、なしくずし的に自衛隊を派遣することで、本来認められない「集団的自衛権の行使」に踏み込んでいることだ。


 米国の立場ははっきりしている。アフガン戦争は、「九・一一テロ」への自衛戦争だと位置づけ、イラク戦争は、大量破壊兵器の拡散やアルカイーダ等テロリストとの関連を理由にあげて、自衛のための「先制攻撃」だとしている。その同盟国の「自衛戦争」に、後方支援と言おうが、兵タン業務と言おうが、ロジスティクスと言おうが、加担・協力する、兵力を派遣することは、「集団的自衛権」の行使に他ならないと私は考える。


このような安全保障政策、いや国の根幹に係わる政策について、国民への明確な説明もなく、既成事実だけを積み重ねていくというやり方に賛成するわけにはいかない。


シリーズ①「日本には『大義なきイラク戦争』への総括がない」・・・賛成・支持した政治家に安保を語る資格はあるか?
シリーズ②「日本には『大義なきイラク戦争』への総括がない」・・・賛成・支持した政治家に安保を語る資格はあるか?
シリーズ③「日本には『大義なきイラク戦争』への総括がない」・・・賛成・支持した政治家に安保を語る資格はあるか?
シリーズ④「日本には『大義なきイラク戦争』への総括がない」・・・賛成・支持した政治家に安保を語る資格はあるか?

シリーズ④「日本には『大義なきイラク戦争』への総括がない」・・・賛成・支持した政治家に安保を語る資格はあるか?
シリーズ⑥/日本には「大義なきイラク戦争」への総括がない・・・賛成・支持した政治家に安保を語る資格はあるか?