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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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シリーズ/民主党政権に望む (1) ~高速道路の無料化は断念せよ!

2009年9月14日  tag: ,

「過ちては改むるに憚ることなかれ」。高速道路の無料化は、民主党政権がいの一番に撤回すべき政策である。単に、それが「バラマキ」だからではない。あらゆる角度から検討して採るべき政策ではないからだ。

 一番の理由は、政策の優先順位として、1兆3千億円もかけるに値しない政策だからだ。この世界一の少子高齢社会の日本において、それほどの税金をかけてまで優先的にやるべき政策なのか。

 民主党は、国際的には高速道路は無料だと強調するが、当の米国でもドイツでも最近では有料化の流れになってきている。米国は既に7千億円の有料化を図っているし、ドイツのアウトバーンも大型トラックは有料化した。やはり、少子高齢化が進む中で、国策の優先順位としては医療・介護、年金、子育て支援といった政策への財源優先で、高速道路無料は見直すべきとの声が強いからだ。

 公平性とか公正という観点からも問題だ。これまでは高速道路の利用者が受益者負担(通行料)で賄ってきたコストを、今後は税金でカバーするということは、免許を持っていない人や高速道路を利用しないお年寄りにまで負担をさせるということを意味する。また、なぜ、輸送機関には鉄道や船舶、航空等があるのに、車だけに1兆3千億円もの多額の税金を投入して競争条件を格段に利するのかという問題もある。

 さらに、自民党政権がとった「1000円週末乗り放題」からも明らかなように、新たな渋滞の発生で、救急医療やトラック輸送に悪影響を与えるという事情もある。

 ただ、最大の民主党政権の矛盾は、この高速道路無料化が地球環境へ著しい悪影響を与えるという点であろう。本来、民主党は地球環境重視の政党である。現に、その温暖化ガス排出量の中期目標では20年度、対90年度比で▲25%という野心的な目標を設定している。にもかかわらず、一方で、このような環境団体がこぞって反対する、ある団体の試算では運輸部門で4%ものC02排出増加となる、それに逆行する政策を平気で打ち出す。この辺が、民主党の政権担当能力に疑問符がつけられる理由であろう。

 「モーダルシフト」。これは、地球環境保全の観点から、物流を車(トラック)での移動から、なるべく鉄道や海運などの公共輸送機関にシフトさせようという世界的な流れであるが、この環境政策との整合性を民主党はどう図っていくというのであろうか?

 さらに、通行料をとらない民営化された道路会社は一体どうなるのか。民主党は、道路建設と維持管理など業務内容に応じて道路各社を再編するつもりのようだが、税金投入で運営するのであれば、それは民営化ではなく国営化なのか。株式上場はどうするのか、料金徴収で1.6万人、ETC等システム管理で0.4万人の雇用はどうするのか等々と疑問は尽きない。郵政各社の株式売却凍結もそうだが、あのフランスのミッテラン社会党政権がとった国有化政策が経済をダメにした二の舞に日本をしてはいけない。

 確かに、民主党はマニフェストを実現しないと公約違反という誹りを受けるだろう。しかし、一方で、そのマニフェストは評価しないという国民が過半数以上いる。高速道路の無料化にいたっては、朝日新聞の調査でも、賛成が20%で反対が70%近くだ。

 もう一度言う。「過ちては改むるに憚ることなかれ」だ。「君子は豹変す」とも言う。民主党政権が長期安定政権になるためにも、高速道路の無料化は断固撤回すべきだ。

 ちなみに「みんなの党」は、そのマニフェストで、「高速道路料金については、人気取りにすぎない『高速道路無料化』や『1000円乗り放題』ではなく、持続可能な、かつ環境にも配慮した、メリハリのある料金体系(混雑区間・時は高く、その他区間・時は安く等)を構築。天下り利権のため高価格になっているETCは民間解放して低価格化」と主張している。「ガソリンの暫定税率は一般財源化に伴い撤廃する」が、その財源は「環境税に組み替え」る。

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