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数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く②・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より

2012年9月24日  tag: ,

 ではなぜ野田政権はここまで増税に邁進するのだろうか。拙著『財務省のマインドコントロール』(幻冬舎)でも書いたが、それはひとえに財務省に"洗脳"されているからにほかならない。

 たとえば、財務省は「国の借金は1000兆円でGDP(国内総生産)の2倍。放置すれば国債が暴落し、金利が急上昇して日本の財政は破綻する」「一般歳出は約90兆円超なのに、税収は40兆円そこそこで、年間約44兆円も借金している。これで財政がもつはずがない」という論理を「何とかのふたつ覚え」のように言い募り、「だから増税が急務だ」と主張する。
すでに"教育"された野田首相や安住淳財務相が公の場で発言する際も当然、このロジックを用いる。

 だが、これはおかしい。「GDPの2倍もの借金がある」というが、借金がGDPの何倍になれば国家財政が破綻するという理論は、財政学にも経済学にも存在しない。

 げんに、2000年前後にアルゼンチンやエクアドル、ロシアが破綻したときの債務比率は、日本よりもはるかに低かった。一方、1950年代のイギリスの財政赤字はGDPの200%近くまで達していたにもかかわらず、破綻してはいない。

 重要なのは、借金の「量」ではなく「質」である。先の三国は国債の外国人購入や外貨建ての比率が高かったため、
自国通貨の信認が落ちたことで元利払いが急上昇し、破綻したのだ。しかし日本は、国債の95%を日本国民が買って
いるため、このようなことは起こりえない。

 ただ、これだけではない。そうした借金を、その国の経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)で支えきれるか、が次に検証されなければならない。

 じつは財務省は2002年に、日本国債の格付けを下げた海外の格付け会社に向けて、「日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」という意見書を出している。これはもちろん、現在でも通用する論理だ。そして、海外純資産は175兆円、外貨準備は50兆円、経常黒字は14兆円、個人の金融資産は1411兆円でいずれも世界最高として、日本は「強固なファンダメンタルズ」を有し、何ら問題ないと結論づけている。

 この数値は、2010年では、それぞれ252兆円、100兆円、17兆円、1488兆円で、状況は当時よりもよくなっているのだ。それでも国内に向けては「日本の財政はたいへんだ」と危機感を煽っているのだから、これは財務省の完全な「二枚舌」というほかない。

 もちろん、膨らみ続ける借金を放置していいわけはない。その点でいえば、小泉政権時代の新規国債発行額は30兆円、政権交代の直前でも33兆円だった。それを民主党は44兆円にまで増やしている。

 一方、税収は1990年の60兆円から、2011年には42兆円にまで減っている。この事実をみれば、方向性としては、「ムダ遣いやバラマキを廃し、税収を高める努力をすべき」であろう。(来週に続く)

(VOICE9月号に掲載された江田インタビュー記事)

※江田けんじの拙著「財務省のマインドコントロール」はこちら

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数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く①・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より

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